赤血球 erythrocytes
形態の
特徴
・両面がへこんだ円盤状(中央の明るい部分が直径の1/3を超えることはない)
・核、リボソームがない(⇒細胞分裂、蛋白合成はしない)
・ミトコンドリアがない(⇒Embden-Myeerhof解糖系による嫌気性解糖やペントースリン酸回路でエネルギーを獲得)
血色素
Hb
・ヘム…鉄を結合したポルフィリン(ポルフィリン鉄錯塩)
※生体内の鉄の量は3〜4gで、1日の所要量は1mg。体内の鉄の約2/3がHb内のヘム鉄で、残りが貯蔵鉄となっている。鉄は十二指腸・小腸の上部で吸収され、トランスフェリンと結合し運搬される。赤芽球にはトランスフェリンに対する受容体があり、この受容体を介して鉄の授受が行われる。なお、赤血球1mlには約1mgの鉄が含まれている
・グロビン…4つのペプチド(α鎖、β鎖、γ鎖、δ鎖の4種類)から構成される蛋白質。成人ではHbA(2本のα鎖+2本のβ鎖)が大部分を占めるが、胎児ではHbF(2本のα鎖+2本のγ鎖)が大部分を占める





酸素解離曲線
・右にシフトする(酸素に対する親和性が低下する)条件…pH↓(PaCO2)、温度↑2, 3-DPG↑
   ←代謝の亢進により酸素需要が増大している場合と、HbO2+2, 3-DPG⇔Hb-2, 3-DPG+O2の平衡が右に傾いた場合
・左にシフトする(酸素に対する親和性が上昇する)条件…pH↑(PaCO2↓)、温度↓、2, 3-DPG↓
造血の
場所
・胎生第2週頃〜第2月頃…胎児の体外にある血島(中胚葉組織)
・胎生第2月頃〜第7月頃…肝・腎
・胎生第4月頃〜出生後一生…骨髄



骨髄球系幹細胞
      IL-3
BFU-E
EPO←腎のPaO2↓により産生が増加する
CFU-E
EPO
前赤芽球
(EPO)
赤芽球(有核。好塩基性→多染性→正染性と分化していく。正染性赤芽球に至ると、細胞分裂できない)
   脱核
網赤血球(無核だが、ミトコンドリア・リボソームを有する。末梢血中で全体の約1%)
   1〜2日
成熟赤血球(無核)
寿命・短命であり、約120日でアポトーシス。脾や肝で処理される
・鉄は再利用されるが、鉄のとれたヘムは最終的にビリルビンとなって胆汁中に排泄される

   ⇒赤血球系の異常をきたす疾患はこちら
白血球 leukocytes
骨髄系の白血球
 顆   粒   球単球
好中球好酸球好塩基球
形態の
特徴
顆粒はピンク色に染まる。ライソゾーム酵素・ペルオキシダーゼ(PO)・エラスターゼなどを含むアズール顆粒と、ALP・リゾチームなどからなる特殊顆粒を有する。核の形態により悍状核と分葉核に分けられるが、急性感染症では悍状核優位となる(左方移動)顆粒は好酸性(赤く染まる)で、好中球よりも大きく、比較的粒がそろっている。核は典型例では2分葉顆粒は好塩基性(青く染まる)で、好中球よりも大きい。表面にIgEレセプターを有する血球の中で最も大きな細胞で、数ヶ所の浅い切れ込みをもつ不規則な形態の核をもつ。ライソゾーム酵素・リゾチーム・PO・エラスターゼなどを含むアズール顆粒をわずかに有する
機能炎症巣に直ちに走化し、そこで病原微生物を貪食して細胞内に食胞を形成し、その食胞をライソゾームと合体させる寄生虫胎退治とT型アレルギーにおける遅延型反応に関与している生体における存在意義は不明。IgE抗体の架橋が起こると、脱顆粒減少を起こす血管外に出てMφとなり、抗原提示細胞として働く。つまり、炎症巣に走化し、病原菌を貪食した後、抗原のプロセッシングを行い、MHCU上に提示する。それをヘルパーT細胞が認識し、免疫機構が作動し始める
存在比50〜60%2〜4%0〜1%3〜8%
増加する
主な疾患
細菌感染症、心筋梗塞、熱傷、骨髄の増殖性疾患、ステロイド服用中寄生虫感染症、アレルギー疾患(特にT型)、CML、Hodgkin病まれ(CML、真性多血症、本態性血層板血症、骨髄線維症etc.)感染症(特に発疹性感染症)、血管疾患(単球性白血病、CML、MDS)、慢性疾患
減少する
主な疾患
骨髄の造血機能が低下する疾患、抗腫瘍薬服用中、多くのウイルス性疾患、腸・パラチフス、粟粒結核、膠原病の一部腸・パラチフス、ステロイド服用中重症敗血症、悪性貧血



骨髄球系幹細胞
      IL-3
CFU-GM
GM-CSF
CFU-G
G-CSF
骨髄芽球(顆粒のない大型の細胞)
前骨髄球(アズール顆粒出現。細胞分裂
  が盛ん)
骨髄球(特殊顆粒出現)
後骨髄球(細胞分裂停止)
好中球(桿状核球→分葉核球へ分化)
骨髄球系幹細胞
      IL-3
CFU-Eo
好酸球
骨髄球系幹細胞
      IL-3
CFU-Ba
好塩基球
骨髄球系幹細胞
          IL-3
CFU-GM
GM-CSF
CFU-M
M-CSF
単芽球
単球
マクロファージ
寿命6〜7時間(血中)
1〜2日(結合織中)
8〜10日
(結合織中)
1〜2週間24時間程度

リンパ系の白血球
 リンパ球
T細胞B細胞/形質細胞NK細胞
形態の
特徴
リボソームを大量に有するため、淡く青みがかった細胞質をもつ。多くの場合には顆粒は存在しないが、約10%のリンパ球は微量のアズール顆粒をもつ
機能CD4陽性のヘルパーT細胞(Th)、CD8陽性の細胞傷害性T細胞(CTL、Tc)と、サプレッサーT細胞(Ts)からなる。Thはさらに細胞性免疫を発動させるTh1と、液性免疫を発動させるTh2に分かれる。Tcは、MHCT上に病原体由来のペプチド抗原を発現させている標的細胞を認識し、接着した後、パーフォリンを用いて標的細胞に小孔を開けたり、Fas抗原に働きかけてアポトーシスを誘導したりする表面に免疫グロブリンを発現している。Mφと並んで抗原提示細胞として働く他、Th2により分泌されるIL-4、IL-5、IL-6により活性化され、形質細胞となって抗体産生を行う。一部のB細胞は形質細胞にまで至らず、メモリー細胞として保存される抗原非特異的に標的細胞を攻撃する。パーフォリンやグランザイムBを用いて標的細胞に小孔を開けたり、Fas抗原に働きかけてアポトーシスを誘導したりする
存在比25〜35%
(うち2/3がT細胞、1/4がB細胞、残り数%がNK細胞)
増加する
主な疾患
急性感染症・急性中毒症の回復期、リンパ性白血病、マクログロブリン血症、リンパ腫、Basedow病、Addison病、生理的(小児期)、好酸球減少症をきたす種々の疾患
減少する
主な疾患
急性感染症の初期、悪性リンパ腫、結核、再生不良性貧血(重症例)、SLE、免疫不全



リンパ球系幹細胞
proT細胞
preT細胞
(←negative/positive selection)
T細胞
リンパ球系幹細胞
proB細胞
preB細胞
(遺伝子の再構成)
B細胞
形質細胞
 
寿命4〜20年数十日

   ⇒白血球系の異常をきたす疾患はこちら
血小板 blood platelet
形態の
特徴
・かなり小さい細胞で、碁石のような形態をしている
・活性化するを、突起を出して不規則な形態に変化する
・核がなく、中心部に赤紫色に染まる粒子をもっている



骨髄球系幹細胞
      IL-3
CFU-Meg
トロンボポエチン←肝で合成される糖蛋白
巨核球(核は分裂するものの細胞体が分裂しないために、DNA量が通常の8〜16倍の多倍体となっている)
血小板(1個の巨核球から約2000個の血小板ができる)
顆粒・濃染顆粒…血小板の凝集に不可欠なADPなどを含む
・α顆粒…vWFや血小板由来成長因子(PDGF)などを含む
止血機構・一次止血…血小板が粘着し、凝集することによって一次止血栓を形成。一次止血能は出血時間に反映される
粘着血管内皮下組織のコラーゲンと、血小板表面のGPTb/\複合体、血漿中のvWF、血小板が複合体を形成。粘着能の検査はガラスビーズ管法にて行われる。粘着能が障害される疾患としては、von Willebrand病Bernard-Soulier症候群がある
放出粘着した血小板は活性化され、偽足を出すとともに、ADPなどを含む細胞内の顆粒を放出する。その他、トロンビンの活性化や、TXA2の産生も行われる
凝集GPUb/Vaとフィブリノーゲンで架橋される。凝集を促進する物質としては、ADP・TXA2・アドレナリン・リストセチン・コラーゲンなどがある。凝集能の検査は、ADP・エピネフリン・コラーゲン・リストセチンなどを添加して行われる。アスピリンは血小板の二次凝集を抑制する
・二次止血…凝固因子の活性化が起こり、最終的にフィブリンが析出して二次止血栓を形成
分布・2/3が血管内を循環しており、残りの1/3が脾に蓄えられている
寿命・かなり短命であり、約10日で老朽化し、脾で処理される

凝固因子
 産生場所Vit. K
依存性
外因系内因系関与する検査制御因子拮抗薬
T  フィブリノーゲン CEPT、aPTT、トロンビン時間  
U  プロトロンビンBDPT、aPTT、トロンボテスト、ヘパプラスチンテストATV、トロンボモジュリン
(ともにトロンビンを抑制)
ワーファリン
   (⇒Vit. Kに拮抗)
ヘパリン
   (⇒ATVの作用増強)
V  組織因子血管内皮下
組織etc.
 @    
W  Ca2+ @・A・DB・C・F   
X  不安定因子 ACPT、aPTTプロテインC 
Z  安定因子@ PT、トロンボテスト、ヘパプラスチンテスト ワーファリン
[  抗血友病因子肝・脾のMφ  BaPTTプロテインC 
\  血友病B因子 BaPTTATVワーファリン、ヘパリン
]  Steart-Prower因子ACPT、aPTT、トロンボテスト、ヘパプラスチンテストATVワーファリン、ヘパリン
XI  PTA  AaPTT  
XII  Hageman因子  @aPTT  
XIII  フィブリン安定化因子 DF   
von Willebrand因子血小板
血管内皮細胞
   粘着能検査(ガラスビーズ管法)、出血時間、リストセチンを添加した凝集能検査、aPTT  

線溶系
 産生場所作用促進因子制御因子備考
プラスミノーゲン・アクチベータ(PA)血管内皮細胞プラスミノーゲンを活性化トロンビンPAI血栓溶解薬のウロキナーゼ、t-PAはPAの一種
プラスミノーゲンPAによりプラスミンとなる   
プラスミンフィブリン・フィブリノーゲンを分解
⇒FDP(Dダイマー、D分画、E分画)を産生
 α2PI 

   ⇒血小板および凝固系の異常をきたす疾患はこちら
血液一般検査の基準値
赤血球数(RBC)
ヘモグロビン(Hb)
ヘマトクリット(Ht)
   平均赤血球容積(MCV)
   平均赤血球血色素濃度(MCHC)   
   平均赤血球血色素量(MCH)
♂:410〜530万/μl   
♂:14〜18g/dl
♂:40〜48%
80〜100fl
31〜36%
28〜32pg
♀:380〜480万/μl   
♀:12〜16g/dl
♀:35〜42%


 



=Ht/RBC×1015
=Hb/Ht×100
=Hb/RBC×1012
網赤血球(Ret)5〜15‰
白血球数(WBC)
   悍状核好中球
   分葉核好中球
   好酸球
   好塩基球
   単球
   リンパ球
4000〜8000/μl
3〜6%
45〜55%
1〜5%
0〜1%
2〜8%
25〜45%
血小板数15〜40万/μl
血液製剤の取扱い
 保存条件有効期限内容適応
赤血球濃厚液
(RCC)
4〜6℃
(冷蔵庫)
採血後 21日間200ml全血(1単位)由来の場合、MAP液が添加され、最終容量は約140mlとなる。Ht値は60〜70%で、Hbは1単位に約29g含まれている。体重50kgの男性に1単位投与すると、Hbが0.5g/dl、Htが1.5%上昇するとされる出血(循環血液量の
         15%以上の減少)
貧血(Hb 8.0g/dl 以下)
新鮮凍結血漿
(FFP)
-20℃以下
(冷凍庫)
採血後 1年間
融解後 3時間
いったん凍結させて保存し、使用直前に融解させることから、細胞成分はほとんど破壊されるが、凝固因子(糖タンパク)は正常血漿中とほぼ同様の活性を示す凝固因子の欠乏による
出血傾向
濃厚血小板
(PC)
20〜24℃
(室温)で
水平振盪
採血後 72時間血漿約20ml中に通常0.2×1011個以上の血小板を含む。これを1単位とし、体重50kgの男性に投与すると血小板が5000/μl増えると言われている。通常10単位〜15単位使用される血小板減少症
(2×104/μl 以下)
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