貧血をきたす疾患
鉄
代
謝
の
異
常
に
よ
る
貧
血 | 鉄欠乏性貧血 iron deficiency anemia |
【概念】 | 鉄の不足⇒Hbの合成↓⇒貧血 | |
【疫学】 | 全貧血の半数以上 |
【原因】 | 鉄の吸収↓(偏食、胃全摘後etc.)、鉄の喪失(消化管出血、月経etc.)、鉄の需要>供給(未熟児における乳児期後期、思春期、妊娠時、授乳時etc.) |
【病態】 | ・第1段階(前潜在性鉄欠乏状態)…フェリチン↓↓、鉄吸収↑ ・第2段階(潜在性鉄欠乏状態)…血清鉄↓、UIBC↑ ・第3段階(鉄欠乏性貧血)…血清鉄↓↓、Hb↓、RBC↓ |
【症状】 | 貧血に共通する症状+スプーン状爪、舌炎、口角炎、食道粘膜の萎縮・web形成、嚥下障害、萎縮性胃炎、異食症etc. ※Plummer-Vinson症候群=舌炎+口角炎+嚥下困難 |
【検査】 | 末梢血⇒小球性低色素性貧血、赤血球の異常(大小不同、ドーナツ状、奇形、菲薄etc.)、Plt↑ 骨髄⇒過形成(M/E比↓)、赤芽球↑、鉄芽球↓↓ 鉄代謝⇒血清鉄↓、フェリチン↓↓、トランスフェリン↑、TIBC↑、UIBC↑、トランスフェリン飽和度↓↓、PIDT1/2↓、%RCU↑↑ |
【治療】 | 鉄の補充(経口投与が原則※)、必要に応じてVit. Cなどの還元剤の併用 ※吸収障害をきたす疾患(潰瘍性大腸炎etc.)では静注 ⇒治療が奏効すれば、まずRet.↑。その後、RBC↑、血清鉄↑が起こる。治療は貯蔵鉄が正常化するまで継続する |
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無トランスフェリン血症 |
【概念】 | トランスフェリンの産生不全⇒貧血 |
【原因】 | 先天性(AR遺伝、全世界で8例)と、後天性(肝硬変などの重篤な肝障害による) |
【検査】 | 鉄代謝⇒血清鉄↓、フェリチン↑、トランスフェリン↓↓、TIBC↓ |
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鉄芽球性貧血 sideroblastic anemia |
【概念】 | 赤芽球系におけるヘム合成系の障害⇒鉄の利用不能⇒貧血 鉄は赤芽球のミトコンドリア内に蓄積 | |
【原因】 | 先天性…多くはXR遺伝によるδ-ALA合成酵素の活性低下が原因 後天性…特発性と二次性がある・特発性=MDSの1病態である環状鉄芽球を伴う不応性貧血(RARS) ・二次性…薬物(イソニアジド、クロラムフェニコールetc.)、金属鉛、慢性アルコール中毒、慢性疾患などによる |
【症状】 | 特有の症状はなく、緩徐進行性の貧血だが、ヘモジデローシス(肝や脾などの組織へのヘモジデリンの蓄積)、二次性ヘモクロマトーシス(全身臓器へのヘモジデリンの蓄積、皮膚が青銅色に変色)などが出現することもある。後天性特発性鉄芽球性貧血の場合、白血病への移行の確率が高い |
【検査】 | 末梢血⇒二相性(小球性低色素性と正球性正色素性のRBCが混在)、しばしば奇形赤血球 骨髄⇒過形成(M/E比↓)、環状鉄芽球 鉄代謝⇒血清鉄↑、フェリチン↑、トランスフェリン↓、TIBC↓、UIBC↓、トランスフェリン飽和度↑↑、PIDT1/2↓、%RCU↓(無効造血) ※ヘモクロマトーシスと同様の鉄動態 |
【治療】 | ピリドキシン(Vit. B6)の大量投与。その他、慎重な輸血(⇒ヘモジデローシスに注意)、デスフェラールの投与(⇒鉄キレート剤で、ヘモジデローシスを予防する) |
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骨
髄
機
能
低
下
に
よ
る
貧
血 | 再生不良性貧血 aplastic anemia |
【概念】 | 骨髄の低形成⇒汎血球減少 |
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【原因】 | 先天性…Fanconi貧血(全世界で約700例、AR遺伝、4〜12歳の間に発症) 後天性…特発性(大部分を占める)と二次性(肝炎後、薬剤、放射線etc.)がある |
【症状】 | 貧血症状+白血球減少による易感染性+血小板減少による出血傾向(紫斑、鼻出血etc.) ※Fanconi貧血では、心・腎・骨格の先天奇形、低身長、色素沈着、身体・知能の発育不全などを伴う。血液腫瘍や固形癌の発症も高率にみられる |
【検査】 | 末梢血⇒汎血球減少(WBCの中では好中球↓が著明)、正球性正色素性貧血※、網赤血球数↓ ※長期経過の中で大球性正色素性貧血となる 骨髄⇒低形成、脂肪髄、鉄芽球の比率↑ 鉄代謝⇒血清鉄↑、フェリチン↑、トランスフェリン↓、TIBC↓、UIBC↓↓、トランスフェリン飽和度↑↑、PIDT1/2↑↑、%RCU↓ |
【治療】 | 50歳未満の重症例⇒同種骨髄移植 50歳以上の重症例・中等症例⇒免疫抑制療法〔ALG(or ATG)※+シクロスポリンA(+ダナゾール)〕 軽症例⇒経過観察 その他、支持療法として成分輸血を必要に応じて行う※ALG(抗リンパ球グロブリン)、ATG(抗胸腺細胞グロブリン)…副作用に血清病があり、通常はアナフィラキシー反応予防目的でステロイドを併用する Fanconi貧血⇒蛋白同化ホルモン、支持療法、骨髄移植 |
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赤芽球癆 pure red cell aplasia (PRCA) |
【概念】 | 赤芽球のみの低形成⇒貧血 | |
【原因】 | 先天性…Diamond-Blackfan貧血(全世界で約400例、乳幼児期に発症) 後天性…急性赤芽球癆(主にパルボウイルスB19が原因)と慢性赤芽球癆(自己免疫疾患(SLE etc.)、薬剤(フェニトイン、チアンフェニコールetc.)、リンパ球系悪性腫瘍などが原因)がある |
【症状】 | Diamond-Blackfan貧血…貧血の他、顔面・骨格の奇形をしばしば伴い、血液腫瘍・固形癌の合併も高率でみられる 急性赤芽球癆…一時的な貧血。基礎疾患に溶血性貧血があった場合には、低形成発作を起こし、重篤になることもある 慢性赤芽球癆…慢性の貧血。しばしば胸腺腫を合併する |
【検査】 | 末梢血⇒正球性正色素性貧血、網赤血球数↓ 骨髄⇒赤芽球系のみの低形成 鉄代謝⇒血清鉄↑、フェリチン↑、TIBC↓、UIBC↓、PIDT1/2↑、%RCU↓(再生不良性貧血と同じ) |
【治療】 | Diamond-Blackfan貧血⇒プレドニゾロンの投与、骨髄移植 急性赤芽球癆⇒特別な治療不要 慢性赤芽球癆⇒ステロイド・シクロスポリンAの投与、胸腺腫の摘出 |
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巨
赤
芽
球
性
貧
血 | ビタミンB12欠乏性貧血 |
【概念】 | ビタミンB12の欠乏⇒チミン合成不能⇒DNAの合成阻害⇒巨赤芽球の形成⇒無効造血⇒貧血 |
【原因】 | 摂取不足…極端な菜食主義etc. 内因子(IF)の欠乏…胃全摘後、胃粘膜の高度な萎縮(悪性貧血)etc. 回腸の吸収障害…条虫の回腸寄生、盲係蹄症候群、短腸症候群、重篤な回腸炎、Imerslund症候群(先天的なIF受容体欠損)etc. | |
【症状】 | 一般的な貧血症状の他、消化器症状としてHunter舌炎(舌乳頭の萎縮による)が、神経症状として亜急性連合性脊髄変性症(脊髄後索・側索を障害)や末梢神経障害がみられる。また、年齢不相応な白髪もみられる |
【検査】 | 末梢血⇒汎血球減少、大球性正色素性貧血、奇形赤血球、網赤血球↓、好中球の過分葉 骨髄⇒過形成、巨赤芽球(核が小さく細胞質だけが大きい) 鉄代謝⇒無効造血の所見(PIDT1/2↓、%RCU↓)、血清鉄↑、フェリチン↑ Vit. B12代謝⇒血清Vit. B12値↓、尿中メチルマロン酸(MMA)↑、Schilling試験にて原因の鑑別 その他…溶血性貧血様の変化(血清I-Bil↑、血清LDH↑、血清ハプトグロビン↓、尿・便中ウロビリノーゲン↑)、血清リゾチーム値↑。さらに悪性貧血では抗内因子抗体or抗壁細胞抗体が認められる場合がある。また、萎縮性胃炎に伴う胃癌の合併率が高いため、上部消化管の内視鏡検査や造影検査が必要となる |
【治療】 | Vit. B12の筋注 ※葉酸投与は禁忌(神経症状がかえって悪化する) |
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葉酸欠乏性貧血 |
【概念】 | 葉酸の欠乏⇒チミン合成不能⇒DNAの合成阻害⇒巨赤芽球の形成⇒無効造血⇒貧血 |
【原因】 | 摂取不足…食欲不振、偏食etc. 吸収不足…吸収不良症候群、薬物(経口避妊薬、フェニトイン、葉酸拮抗薬etc.)、慢性アルコール中毒etc. 葉酸の需要>供給…妊娠時、成長期、炎症、悪性腫瘍罹患時 |
【症状】 | 一般的な貧血症状の他、消化器症状としてHunter舌炎(舌乳頭の萎縮による)がみられる。また、年齢不相応な白髪もみられる ※Vit. B12欠乏性貧血でみられる中枢神経障害はあまりみられない |
【検査】 | 末梢血、骨髄、鉄代謝⇒ビタミンB12欠乏性貧血と同様 葉酸代謝⇒血清葉酸値↓、尿中FIGLU↑、Schilling試験にて原因の鑑別 その他…溶血性貧血様の変化(血清I-Bil↑、血清LDH↑、血清ハプトグロビン↓、尿・便中ウロビリノーゲン↑)、血清リゾチーム値↑ |
【治療】 | 葉酸の補充 |
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溶
血
性
貧
血 | 遺伝性球状赤血球症 hereditary spherocytosis(HS) |
【概念】 | 赤血球の膜上の蛋白質の先天的な異常⇒赤血球の形態・膜透過性の異常⇒血管外溶血⇒貧血 |
【原因】 | 80%近くはAD遺伝で、第8染色体短腕に原因遺伝子がある |
【疫学】 | わが国で最も多い先天性溶血性貧血 |
【症状】 | 貧血、黄疸、脾腫がみられるが、自覚のない場合も多い。診断のきっかけとしては、ビリルビン胆石や、急激な貧血症状の増悪(低形成発作、溶血発作)であることが多い |
【検査】 | 末梢血⇒正球性正色素性貧血、小形の球状赤血球、網赤血球↑、赤血球寿命↓ 骨髄⇒過形成(M/E比↓) 鉄代謝⇒無効造血の所見(PIDT1/2↓、%RCU↓) 生化学⇒血清I-Bil↑、血清ハプトグロビン↓、尿・便中ウロビリノーゲン↑、LDH↑、GOT↑ その他…赤血球膜の脆弱性↑(浸透圧抵抗試験、自己溶血試験) ※Hb尿はみられない | |
【治療】 | 学童期以降の摘脾 |
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ピルビン酸キナーゼ (PK)欠損症 |
【概念】 | Embden-Meyerhofの嫌気性解糖系の酵素欠損(AR遺伝)⇒ATPの産生↓⇒ポンプ機能の低下⇒細胞内脱水⇒血管外溶血⇒貧血 |
【症状】 | 貧血(正球性正色素性貧血)、黄疸、脾腫、胆石 |
【検査】 | 溶血性貧血に共通の所見+有棘赤血球 |
【治療】 | 摘脾 |
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グルコース6リン酸 脱水素酵素 (G6PD)欠損症 |
【概念】 | 五炭糖リン酸系の酵素欠損(XR遺伝)⇒NADPHの産生↓⇒赤血球が酸化される⇒血管内溶血⇒貧血 |
【疫学】 | マラリア浸淫地に多く、患者数は全世界で約4億人と推定されているが、わが国では滅多にみられない |
【症状】 | 原則として無症状。解熱鎮痛薬・サルファ剤・抗マラリア薬などの内服、ソラマメの摂取、感染症などにより、突然急性溶血発作をきたし、褐色尿(ヘモグロビン尿・ヘモジデリン尿)を呈する。また、マラリア感染に対する抵抗性が強いという特徴も有する |
【検査】 | 無症状の時期には、異常所見なし。発作時には、溶血性貧血の所見+Heinz小体 |
【治療】 | 特に治療の必要はない。急性溶血発作をきたす誘因の回避が重要 |
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ヘ モ グ ロ ビ ン 異 常 症 | 鎌状赤血球症 |
【概念】 | Hbを構成するβ鎖の異常(AR遺伝)⇒異常なHb(HbS)のゲル化⇒血管外溶血による貧血+血管閉塞 |
【疫学】 | アフリカの熱帯地域(マラリア浸淫地)の黒人に多くみられる |
【症状】 | 慢性の溶血性貧血による症状(貧血、黄疸、脾腫)+血管閉塞による症状(閉塞部位の疼痛発作、臓器障害、成長発育遅延) |
【検査】 | 溶血性貧血一般の所見+鎌状化した赤血球 |
【治療】 | 効果的な治療法はなく、3歳までに半数が死亡する |
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不安定 ヘモグロビン症 |
【概念】 | グロビンのさまざまな部位のアミノ酸の変異(AD遺伝)⇒Hb分子の不安定化⇒血管外溶血⇒貧血 |
【検査】 | 通常の溶血性貧血の所見+Heinz小体 |
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サラセミア thalassemias |
【概念】 | グロビンの1つないしそれ以上の鎖の合成障害(常染色体性)⇒血管外溶血⇒貧血 |
【疫学】 | 地中海沿岸から東南アジアにかけて広く分布する |
【症状】 | 典型例では貧血、黄疸、脾腫。重症例では、幼少時から骨変形や成長発育不全を伴うこともある |
【検査】 | 末梢血⇒小球性低色素性貧血、奇形赤血球(特に標的赤血球)、HbF↑、HbA2↑ 骨髄⇒過形成(M/E比↓) 鉄代謝⇒血清鉄↑、PIDT1/2↓、%RCU↓(無効造血) ※鉄芽球性貧血と同様の鉄動態 | |
【治療】 | 有効な治療法なし。重症例では頻回の輸血が必要となるが、輸血の際にはヘモクロマトーシス予防のために鉄キレート剤を併用しなければならない ※鉄剤の投与は禁忌 |
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自
己
免
疫
性
溶
血
性
貧
血 | 狭義の自己免疫性 溶血性貧血 autoimmune hemolytic anemia(AIHA) |
【概念】 | 赤血球膜に対する自己抗体(温式抗体、IgG抗体)⇒感作赤血球の脾における貪食(血管外溶血)⇒貧血 |
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【原因】 | 特発性と続発性(膠原病、CLL、悪性リンパ腫、AIDS etc.)がある |
【疫学】 | 10〜30歳の若年層(女性に多い)と60歳以降の高齢層の2峰分布 |
【症状】 | 緩徐進行性の貧血、黄疸、脾腫 ※Evans症候群=ITPを合併したAIHA |
【検査】 | 末梢血⇒正球性正色素性貧血、球状赤血球、網赤血球↑ 骨髄⇒過形成(M/E比↓) Coombsテスト…直接Coombsテストではほとんどの場合陽性、 間接Coombsテストでは約70%で陽性 赤血球浸透圧抵抗試験⇒食塩の浸透圧抵抗の低下 |
【治療】 | ステロイドがfirst choice、免疫抑制剤がsecond choice。他には摘脾も行われる。輸血はなるべく避けた方がよい |
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寒冷凝集素症 cold agglutinin disease(CAD) |
【概念】 | 赤血球膜に対する自己抗体(冷式抗体、IgM抗体)⇒寒冷暴露による感作⇒感作赤血球の脾における貪食(血管外溶血)⇒貧血 |
【原因】 | 特発性と続発性(悪性リンパ腫、CLL、伝染性単核症、マイコプラズマ肺炎etc.)がある |
【症状】 | 軽度の貧血症状+血行障害に伴う症状(チアノーゼ、疼痛) |
【検査】 | 軽度の溶血性貧血の所見+寒冷凝集素力価↑ |
【治療】 | 特異的な治療法なし。寒冷暴露の回避が重要 |
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発作性寒冷 血色素尿症 paroxysmal cold hemoglobinuria(PCH) |
【概念】 | 赤血球膜に対する自己抗体(冷式抗体、IgG抗体)⇒寒冷暴露による感作⇒常温で血管内溶血⇒貧血 |
【症状】 | 寒冷曝露後に暖められると、頭痛、腹痛、ヘモグロビン尿が起こる |
【検査】 | 溶血性貧血の所見+Donath-Landsteiner試験にて溶血(+) |
【治療】 | 特異的な治療法なし。寒冷暴露の回避が重要 |
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薬物による 免疫性溶血性貧血 drug induced immune hemolytic anemia |
【分類】 |
| 原因薬剤 | 機序 | 溶血の 種類 | Coombs試験 |
直接 | 間接 |
自己免疫型 | α-メチルドパetc. | 赤血球膜を抗原とする自己抗体が産生される(AIHAと同様) | 血管外 | (+) | |
ペニシリン型 (薬物吸着型) | ペニシリンetc. | 薬物が赤血球膜に密着⇒異物として認識される | 血管外 | (+) | (−) |
薬物依存性 抗体型 | イソニアジド、パラアミノサリチル酸、リファンピシン、解熱鎮痛薬etc. | 薬物が赤血球膜に緩く結合し、赤血球膜と薬物の双方を抗原として抗体が産生される | 血管内 | (+) | (−) |
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発作性夜間血色素尿症 paroxysmal nocturnal hemoglobinuria(PNH) |
【概念】 | 後天的な突然変異による赤血球膜・白血球・血小板上のアンカー蛋白の合成不全⇒補体に対する感受性↑⇒夜間のみの発作性血管内溶血、汎血球減少 |
【疫学】 | 中年以降に発症、性差なし |
【症状】 | 貧血症状、黄疸、褐色尿※(起床後最初の排尿時に顕著)。しばしば腸間膜静脈血栓による突然の腹痛をきたす。鉄欠乏性貧血を合併しやすい他、再生不良性貧血に移行することもある ※褐色尿を呈するのは血管内溶血の場合のみで、血管外溶血をきたす疾患ではみられない |
【検査】 | 末梢血⇒汎血球減少、正球性正色素性貧血、NAP↓ 骨髄⇒過形成(M/E比↓) 鉄代謝⇒血清鉄↓、フェリチン↓、TIBC↑、UIBC↑ 生化学⇒血清I-Bil↑、GOT↑、LDH↑ その他…AChE↓、Ham試験・砂糖水試験で溶血(+)、Hb尿、ヘモジデリン尿、Coombs試験(−)、赤血球表面抗原の活性(DAF活性)↓ |
【治療】 | 特異的な治療法なし。輸血を行う場合には、補体を含まない洗浄赤血球を使用する |
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赤血球破砕症候群 |
【概念】 | 赤血球の血管内での物理的・機械的破壊⇒貧血、断片化赤血球の出現、褐色尿 |
【原因】 | 人工弁設置後、細小血管障害性溶血性貧血(DIC、TTP、HUS、癌の全身転移etc.)、行軍ヘモグロビン血症 |
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慢性疾患に伴う貧血 |
【概念】 | 慢性感染症、RA、悪性腫瘍などの慢性疾患にしばしば合併する小球性低色素性貧血 |
【原因】 | 肝や脾に蓄えられた貯蔵鉄が赤芽球へ引き渡されないため(?) |
【検査】 | 鉄代謝⇒血清鉄↓、フェリチン↑、トランスフェリン↓、TIBC↓、UIBC↓ |
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メトヘモグロビン血症 |
【概念】 | ヘム鉄が酸化されてFe3+の状態になる(メトヘモグロビン)⇒酸素運搬能力↓⇒貧血 |
【原因】 | 先天性…チトクローム還元酵素系の酵素欠損、異常ヘモグロビンによるHbM症etc. 後天性…酸化剤の摂取・過剰暴露(解熱薬のフェナセチン、アニリン、ニトロベンゼン、TNTetc.) |
【症状】 | チアノーゼ、頭痛、めまい、黒色尿(Hb尿)etc. |
【治療】 | 還元作用のあるアスコルビン酸(Vit. C)・リボフラビンの内服、メチレンブルーの注射etc. |
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