種類 | 具体的薬剤名 | 特徴 | 発現時間 | 作用時間 | 使用法 | |
エ ス テ ル 型 | コカイン | 大部分は血清ChEに分解されて、腎から排泄される。代謝産物のパラアミノ安息香酸によるアレルギー反応が起こりやすい | 血管収縮作用(+) | 1分 | 1時間 | 表面麻酔に適するが、実際の臨床では使用しない |
プロカイン | 表面麻酔作用(−)、局所刺激(−)。局所浸潤麻酔として用いた場合に、副作用としてメトヘモグロビン血症 | 2〜5分 | 1時間 | 主に浸潤麻酔。その他、抗不整脈薬としても使用 | ||
テトラカイン | 最も強力な麻酔作用薬、毒性(++) | 5〜10分 | 1.5〜2時間 | 脊椎麻酔のみ | ||
ア ミ ド 型 | ジブカイン | 肝で分解されて(分解はエステル型より遅い)、腎から排泄される。アレルギー反応はきわめてまれ | 最も強力な麻酔作用薬、毒性(++) | 10分 | 2.5〜3時間 | 脊椎麻酔のみ |
リドカイン | 最も汎用されている局所麻酔薬、表面麻酔作用(+)、効力がプロカインの2倍 | 2〜3分 | 〜1.5時間 | 表面麻酔・硬膜外麻酔・浸潤麻酔に使用。その他、抗不整脈薬としても使用< | ||
メピバカイン | リドカインに似る、表面麻酔作用(−) | 2〜5分 | 1〜2時間 | 硬膜外麻酔などに使用 | ||
ブピバカイン | 毒性・効力(++) | 3〜5分 | 3〜5時間 | 脊椎麻酔・硬膜外麻酔・浸潤麻酔に使用 |
ブロック | 方法 | 特徴 | 適応 | 禁忌 | 合併症 | |
脊椎麻酔 (腰椎麻酔) | 交感神経・知覚神経・運動神経をブロック | Jacoby線(腸骨稜を結んだ線でL4に相当)を目標に、局所麻酔薬(通常は高比重液のジブカイン)をクモ膜下腔に注入 | 穿刺部位から下位すべてに麻酔が効く | 虫垂炎・ヘルニア・痔核など比較的小さな手術(下腹部開腹手術)によい適応となる。その他、肝・腎障害、糖尿病、full stomach、高度の発熱、多量の喀痰などで適応 | 重症ショック、低血圧、脊髄の感染症、脳圧亢進症、重症心不全、局所麻酔薬アレルギー、出血傾向、単純性イレウス等で絶対禁忌。乳児・高齢者、精神病患者、脊椎の高度変形、長時間の手術等で相対禁忌 | 血圧低下、悪心・嘔吐、術後の頭痛、術後の尿閉、馬尾症候群 |
硬膜外麻酔 | 交感神経・知覚神経・運動神経をブロック(分離麻酔では交感神経と知覚神経のみをブロック) | 全身麻酔の補助として、腹部手術のほぼ全例で、硬膜外腔へ局所麻酔薬(通常はリドカイン)を注入 | マイルドに効くため、全体として使用量は多い。調節性に富み、分節麻酔・分離麻酔が可能。吸入麻酔薬・筋弛緩薬の必要量を減らすことができる。 | 全身麻酔の補助として脊椎麻酔では困難な部位(頸部・胸部・上肢etc.)、脊椎麻酔による術後合併症を避ける場合、ターミナルケアの時の疼痛管理などに適応 | 全脊椎麻酔(すべての脊髄神経とそれより上位の中枢がブロック)、局所麻酔薬中毒、血圧低下、添加エピネフリンによる反応(心悸亢進・血圧↑・頻脈etc.)、カテーテルの切断・感染、硬膜外膿瘍 | |
ブロックの方法 | 特徴 | 適応 | 禁忌 | 合併症 | ||
鎖骨上窩 腕神経叢ブロック | 鎖骨上窩にて腕神経叢をブロック | 手技が難しく、最近は腋窩法が主流となりつつある | 主に整形外科領域での上肢の手術 | 気胸、出血、横隔神経麻痺、頸部交感神経麻痺 | ||
上腕部(腋窩)の 腕神経叢ブロック | 腋窩部にて腕神経叢をブロック | 気胸が起こりにくいが、どうしても麻酔効果が不十分となりやすい | 主に整形外科領域での上肢の手術 | 出血 | ||
指(趾)ブロック (Oberst法) | 指(趾)を走行する背側2本、腹側2本の神経をリドカインなどでブロック | 外科外来で、切開・壊疽・指趾切創などの治療の際に用いる | エピネフリンの添加は禁忌 | |||
肋間神経 ブロック | 中腋窩線上で肋骨下縁に覆われている肋間神経をブロック | 肋骨部の手術、肋骨骨折などの際に用いる | 気胸 | |||
星状神経節 ブロック | 交感神経節である星状神経節をブロック | ブロックがうまくいった場合にHorner症候群(縮瞳・眼瞼下垂・眼裂狭小)が認められる | 頭部や顔面部の疼痛管理に最もよく用いられる。Raynaud病、帯状疱疹、メニエール病などが適応 | 気胸、クモ膜下への注入、反回神経麻痺、局所麻酔薬中毒、血腫(⇒気管を圧迫して呼吸困難) | ||
腰部交感神経節 ブロック | L2・L3・L4を中心に、アルコールでブロック | 疼痛管理ではなく、血流増大が主目的 | Raynaud病・閉塞性動脈硬化症などの下肢の血管疾患、下肢の持続性疼痛、難治性下腿潰瘍、ヘルペス後痛、凍傷などに適応 | クモ膜下ブロック、大動脈・下大静脈穿刺 | ||
腹腔神経叢 ブロック | アルコールを用いて腹腔神経叢をブロック | 神経を破壊するブロックの代表例 | 腹部臓器由来の悪性腫瘍に対してよい適応 | 血圧低下、急性アルコール中毒、気胸、クモ膜下ブロック | ||
三叉神経 ブロック | 疼痛をきたしている神経枝をブロック。枝が3本あるので、方法は3つある | 三叉神経痛の疼痛管理に対して行われる |
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