あくまでも試験に出そうな重要そうなところだけを書いています。もっと詳しい
ことを知りたい場合は、教科書・シラバス・N尾プリントなどを参照してください。

中耳
鼓室形成術
概念破壊された中耳伝音系の再建を行って、さらに鼓膜形成を行うという手術
適応疾患伝音性難聴をきたす慢性化膿性中耳炎、真珠腫性中耳炎etc.
術式と分類耳小骨の保存状態に応じて、以下のT〜W型に分類される。表中の○は残存を、×は除去を表す。
    ツチ骨     キヌタ骨    アブミ骨  備   考
 T型  
U型×現実にはほとんど存在しない
V型○or××ツチ骨とアブミ骨の間にキヌタ骨の代用骨を挿入した場合をV型変法という
W型××底板のみ○アブミ骨の底板と鼓膜との間に代用骨を挿入して行う
中耳炎
急性中耳炎
【原因】急性上気道炎から耳管経由で続発性に起こることが多い。起炎菌としては、肺炎球菌とインフルエンザ桿菌が多い
【疫学】乳児(3〜4歳)に好発
【症状】感冒症状が先行し、その後に耳痛、耳漏、耳閉塞感、伝音難聴。鼓膜の発赤・腫脹
【治療】抗生物質の投与、鼓膜切開による排膿
滲出性中耳炎
【概念】陰圧になった中耳腔に滲出液が貯留した疾患で、小児(5〜6歳)に好発
【原因】細菌感染が直接的な原因。耳管狭窄、耳管開放症、鼻・副鼻腔炎、アデノイド増殖症、上咽頭腫瘍などがあると起こりやすい
【症状】耳閉塞感、伝音難聴。鼓膜の内陥(ツチ骨短突起の突出・光錐の消失を伴う)、ティンパノグラムでB型orC型
【治療】耳管通気法で中耳腔に空気を送り込む(上咽頭に感染巣や腫瘍がある場合には禁忌)鼓膜切開+鼓膜チューブ留置術、消炎酵素薬・抗アレルギー薬・マクロライド系抗生物質の投与
 慢性化膿性中耳炎 
【概念】急性中耳炎の炎症が完全に治まらず、排膿が不十分であったために、慢性の化膿巣が残存した病態
【原因】細菌の薬剤抵抗性、宿主の免疫力の低下
【疫学】激減&著しく軽症化している
【症状】断続的な耳漏、伝音難聴、(一部で)乳突蜂巣の発育抑制
【治療】鼓室形成術
真珠腫性中耳炎
【概念】中耳の角化重層扁平上皮とコレステロールの塊。通常は慢性中耳炎の結果起こるもので、上鼓室を中心に侵し、強い骨破壊性を発揮する
【症状】比較的高度の伝音難聴、悪臭を伴う耳漏。その他、感音難聴の合併(混合難聴)、末梢性前庭性めまい、顔面神経麻痺側頭骨の破壊(急性乳様突起炎、錐体尖炎)、耳性頭蓋内合併症(S状静脈洞炎・血栓、硬膜外膿瘍、化膿性髄膜炎、脳膿瘍etc.)
【治療】鼓室形成術(原則として、外耳道後壁を残したclosed法)
内耳
人工内耳の適応
@両側とも90dB以上の高度難聴者で、かつ補聴器の装用効果の少ない
A蝸牛の中に人工内耳を埋め込むスペースがあること(CT上で石灰化がないことを確認)
            ←肺炎球菌による髄膜炎などが起こると、蝸牛に石灰化が起こることがある
B聴神経が残っていること(MRIで確認)
C(小児の)先天聾の場合、就学期までに手術を行う必要がある
            ←就学期以降に人工内耳を埋め込んでも、言語の習得が不可能である
難聴とめまいを伴う主な疾患
Me´nie`re病
【概念】内リンパ水腫によって、Corti器の有毛細胞が圧排されるために、めまい・耳鳴・難聴などを呈する疾患
【症状】回転性めまい(初回は突発的、その後も反復。眼振の方向は、発作初期には患側に向かい、速やかにその方向が逆転した後、回復期には再び患側に向かう)
耳鳴・耳閉塞感・難聴などの蝸牛症状(内耳性の感音難聴で、徐々に高度になっていく。蝸電図にて-SP/AP比の著明な上昇)
【治療】発作時には7%重曹水(メイロン)の静注。間欠期にはストレスの回避、手術療法(内リンパ嚢手術etc.)などが行われる
突発性難聴
【概念】原因不明の内耳障害によって突発性に生じた感音難聴
【症状】突発性の難聴反復しない)、耳鳴、耳閉塞感、(一部で)回転性めまい
【治療】副腎皮質ステロイドの全身投与、ATP製剤・ビタミンB12・プロスタグランジン製剤の投与、高圧酸素療法、O2, CO2同時吸入療法、星状神経節ブロック(頸部交感神経節ブロック)etc.
外リンパ瘻
【概念】外耳と内耳の外リンパ腔の間に突然瘻孔が生じた病態
【症状】突然の感音難聴(内耳性)、回転性めまい
【治療】安静、ATP製剤・ビタミンB12の投与、瘻孔閉鎖術etc.
ムンプス難聴
【概念】流行性耳下腺炎をはじめとする急性ウイルス感染症の合併症として、高度の急性感音難聴をきたす病態
【症状】かなり高度の感音難聴(片側性)、しばしば回転性めまい
【予後】聴力の予後はきわめて不良で、ほとんど回復は望めない
 良性発作性頭位 
めまい(BPPV)
【概念】頭位変換時に特徴的な眼振と回転性めまいを呈する疾患で、聴力検査には異常は見られない。回転性めまいを呈する疾患の中では最も頻度が高い
【原因】卵形嚢や球形嚢の耳石が脱落→半規管に陥入
【症状】頭位変換時に激しい回転性めまい(頭位の変換方向が逆転すると、眼振の方向も逆転する。同じ頭位を取り続けていると、徐々に消失していく)
【治療】経過観察で十分な場合が多い。積極的な頭位変換の反復により、症状は改善する
顔面神経
顔面神経の解剖
   顔面神経は、大錐体神経アブミ骨筋神経鼓索神経という3つの分枝を出しながら、下図のような独特の走行を示す。 顔面神経の分枝と走行
顔面神経麻痺
 分類 ・中枢性麻痺(上位ニューロン障害)…額を中心とした上部の表情筋の運動は保持される
・末梢性麻痺(下位ニューロン障害)…一側の全部の表情筋が麻痺する
検査・大錐体神経の検査…涙液分泌検査(Schirmer検査)
・アブミ骨筋神経の検査…アブミ骨筋反射の有無をみる
・鼓索神経の検査…電気味覚検査(舌前2/3の味覚をみる)
・表情筋の検査…電気神経検査(顔面神経本幹を電気刺激→表情筋の筋電位の振幅を測定)、
     神経興奮性検査(顔面神経本幹を電気刺激→表情筋の収縮が起こる最小の電圧レベルを測定)
顔面神経麻痺の部位診断
障害部位 内耳道  膝神経節  鼓室部  アブミ骨筋神経の末梢  鼓索神経の末梢 
 涙液分泌××
 アブミ骨筋反射×××
 味覚・唾液分泌 ××××
 表情筋×××××
疾患Bell麻痺(特発性麻痺)…突発的に片側性に麻痺が起こる。単純ヘルペスウイルス(HSV)の再活性化に起因。副腎皮質ステロイドやアシクロビル、顔面神経減荷術などにより治療
Hunt症候群(耳性帯状疱疹)…膝神経節に潜んでいた水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化が原因。突発的に片側性に麻痺が起こるとともに、外耳道や耳介に疱疹が出現する。また、内耳の障害を伴うこともある。治療はBell麻痺とほぼ同じだが、予後はBell麻痺に比べて悪い
・その他、中耳真珠腫、耳下腺悪性腫瘍、側頭骨横骨折、手術における損傷etc.
鼻・副鼻腔
副鼻腔の解剖
   副鼻腔は、上顎洞篩骨洞(さらに前部と後部に分かれる)、前頭洞蝶形骨洞からなる。それぞれの位置関係・特徴は以下のようになっている。
副鼻腔
  開口部 解剖学的特徴etc.
上顎洞中鼻道最下部に自然口をもてない(→炎症産物が蓄積しやすい)。下方には口蓋腔が存在する


 前部 中鼻道紙様板という薄い隔壁を介して、眼窩内側壁に接する(→副鼻腔手術の危険部位&眼窩吹き抜け骨折の好発部位)。また、後部篩骨洞は視神経と隣接する
後部上鼻道
前頭洞中鼻道嗅球の前方に位置し、前頭洞に起こった副鼻腔炎はしばしば頭蓋内に波及する
 蝶形骨洞 上鼻道視神経の他、下垂体や内頸静脈と接する。蝶形骨洞に起こった副鼻腔炎はしばしば頭蓋内に波及する
アレルギー性鼻炎の病態生理
   次の3段階よりなる。
@感作の成立抗原の粘膜内侵入 → 抗原提示細胞による貪食 → ヘルパーT細胞の活性化 → B細胞でのIgE産生 → 特異的IgE抗体が鼻粘膜の好塩基球に固着
A抗原暴露抗原が細胞表面のIgEとの結合 → 脱顆粒によるケミカルメディエーター(ヒスタミン、ロイコトリエンetc.)の放出
B症状の発現知覚神経(三叉神経)刺激によるくしゃみ副交感神経刺激による鼻漏血管透過性亢進による鼻閉
慢性副鼻腔炎に対する治療
内科的治療マクロライド系抗生剤の少量長期投与が行われる。気管支喘息合併例では、ステロイドの投与も行われる。その他、上顎洞穿刺洗浄やProetz置換法、YAMIK置換法なども




 内視鏡的副鼻腔手術 
(ESS)
現在、慢性副鼻腔炎に対する手術療法の中心となっている。内視鏡を用いて鼻腔内からアプローチして、各副鼻腔の自然排泄経路を拡大する(病的粘膜は完全には切除しない)
副鼻腔根治術犬歯窩から経上顎洞でアプローチするCaldwell-Luc法などがある。自然口を拡大するとともに、病的粘膜をなるべく掻爬して除去する。現在では、慢性副鼻腔炎の手術としてはあまり行われないが、鼻内からのアプローチが困難な腫瘍性病変や術後性嚢胞でよく用いられている
咽頭
咽頭の腫瘍
 上咽頭癌中咽頭癌下咽頭癌
 発生部位 鼻咽腔Waldeyer咽頭輪(主に口蓋弓)輪状後部、梨状陥凹、咽頭後壁
組織型未分化の扁平上皮癌が最多扁平上皮癌がほとんど高分化型の扁平上皮癌がほとんど
疫学50〜70歳代の男性に好発
華僑を中心とする中国人に好発
50〜60歳代の男性に好発50〜70歳代の男性に好発
(輪状後部癌は女性に好発)
重複癌×時々(下咽頭癌・食道癌etc.)時々(食道癌・中咽頭癌etc.)
原因EBVとの関連喫煙・飲酒が危険因子
症状頸部リンパ節腫脹(特に後方リンパ節)、耳症状(滲出性中耳炎)、反復性の鼻出血、三叉神経・外転神経の障害、遠隔転移(骨・肺・肝に多い)癌自体の痛み(←潰瘍を形成するため)、頸部リンパ節の腫脹
(進行してから発見されることが多い)
咽頭異常感(咽頭痛・つかえ感etc.)、頸部リンパ節腫脹、嗄声(←梨状陥凹癌)、大出血(←喉頭後壁癌)
治療放射線治療が第1選択T・U期では放射線治療
V期以上では集学的治療
T1, T2の一部:放射線治療単独
T2の一部, T3以上:手術が基本
予後5年生存率:50%程度厳しい頭頸部悪性腫瘍の中で最悪
喉頭
喉頭の機能
   喉頭には、@発声機能呼気流によって、声帯の粘膜ヒダが擦り合わされて、喉頭原音ができる。さらに声道の共鳴によって大きな音となる)、A呼吸機能(喉頭は空気のみが通る純然たる気道)、B嚥下機能(嚥下の咽頭・食道相では、喉頭が前上方に挙上することによって、食物が食道にスムーズに送り込まれる)、C下気道の保護(喉頭蓋が誤嚥の防止装置として働いている)という4つの機能がある。
喉頭癌
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