病因 | 麻疹ウイルスは、RNA型ウイルスで、抗原型は単一。伝染力が非常に強い。 |
疫学 | ピークは幼時期であるが、最近は年長児〜成人にも見られる。終生免疫である。主に飛沫感染により伝染する。 |
症状 |
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鑑別診断 | 風疹、突発性発疹、伝染性単核症、ウイルス性発疹症、トキソプラズマ症、薬疹、猩紅熱、髄膜炎菌敗血症、川崎病 |
合併症 | 中耳炎、肺炎、脳炎、結核の顕性化 |
予防 | 麻疹生ワクチン、γグロブリンを潜伏期5日以内で投与(受動免疫) |
治療 | 有効な抗ウイルス剤なし |
特殊な病像 |
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病因 | 風疹ウイルスはRNA型ウイルス。伝染力は中程度。催奇形性がある。 |
疫学 | 終生免疫。飛沫感染。1/4が不顕性感染。 |
症状 |
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鑑別診断 | 麻疹、突発性発疹、伝染性単核症、ウイルス性発疹症、トキソプラズマ症、薬疹、猩紅熱、髄膜炎菌敗血症、川崎病 |
予防 | 風疹生ワクチン(1歳すぎに行われている) |
特殊な病型 |
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感染症 | 水痘 Varicella | 帯状ヘルペス | 突発性発疹 |
病因 | 水痘-帯状疱疹ウイルスの初感染。伝染力は強い。 | 水痘-帯状疱疹ウイルスが神経節細胞に持続感染していたところに、ストレスや外傷などによってウイルスが活性化されて、発症 | ヒトヘルペスウイルス-6(HHV-6)が潜伏持続感染し、時々唾液からウイルスを排泄する |
疫学 | 接触感染、飛沫感染。終生免疫。 | 接触感染、飛沫感染。終生免疫。老人あるいは免疫抑制剤投与中の患者に多い。 | 乳児期後半に多い。成人(多くは母親)の唾液から感染。終生免疫。不顕性感染が多い。 |
症状 |
| 発疹出現前の痛み・全身倦怠感、発疹(末梢神経の走行に沿って帯状・片側性に出現、紅色丘疹→水疱→痂皮と変化する)、リンパ腺腺腫 | 高熱(突発、3〜4日続く)、発疹(解熱と同時に出現、主に躯幹に紅色斑丘疹)、後頭部リンパ腺腺腫 |
鑑別診断 | 膿痂疹、虫刺され、ヘルペス性湿疹、手足口病、疱疹状皮膚炎 | 発疹前は強膜炎、急性腹症、心筋梗塞、虫垂炎 | 中耳炎、尿路感染症、肺炎、髄膜炎、肺炎球菌性敗血症 |
合併症 | 肺炎(成人の場合) | 頑固な神経痛 | 熱性痙攣 |
予防 | 水痘生ワクチン、γグロブリン静注(受動免疫) | − | |
治療 | 抗ウイルス剤(アシクロビル)が効果あり | 抗ウイルス剤(アシクロビル)が神経痛の予防に効果あり | − |
感染症 | 単純ヘルペスウイルス感染症 | ||
病因 | 単純ヘルペスウイルス(HSV)には2型がある。皮膚・粘膜から侵入し、その部位で病変を作るHSV-1と、性行為によって感染し、性器に病変を作るHSV-2とがある。 | ||
症状 |
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検査 | 水疱内容の塗抹標本によるウイルス抗体の証明、水疱内容・髄液・生検材料からのウイルスの分離、ELISA・CFを用いた血清反応 | ||
治療 | 抗ウイルス剤アシクロビルが用いられる | ||
感染症 | EBウイルス感染症 | ||
病因 | EB(Epstein-Barr)ウイルスが咽頭上皮細胞に感染→B細胞に感染→全身へ | ||
疫学 | 乳幼児期に90%の人が感染しており、初感染時は多くは不顕性である。その後、咽頭で潜伏持続感染し、健常人の唾液が感染源となるが、感染力は弱い。 | ||
症状 |
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診断 | 症状、末梢血中の異型リンパ球(T細胞)の増加、heterophil antibodyの出現、EBV抗体(VCA-IgM抗体→VCA-IgG抗体→EA抗体→EBNA抗体の順に出現。EBNA抗体は長期間持続し、免疫成立の証拠となる) | ||
鑑別診断 | 溶連菌による扁桃咽頭炎、白血病、風疹、CMV単核症、トキソプラズマ症 | ||
合併症 | 一時的な肝炎、中枢神経症状(髄膜脳炎、ギラン・バレー症候群、精神障害)、脾臓破裂(触診によっておこる可能性もある) | ||
治療 | 対症的。重症例には副腎皮質ホルモン | ||
感染症 | サイトメガロウイルス感染症 | ||
病因 | 封入体巨細胞を作るサイトメガロウイルス(CMV)による | ||
疫学 | 新生児の1〜2%に感染がみられる。1歳までに60%が感染し、成人の80%が免疫をもっている。 | ||
症状 |
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検査 | ウイルス分離、細胞診(封入体巨細胞)、血清反応(ELISA・CFによる) | ||
治療 | 抗ウイルス剤ガンシクロビルによる |
病因 | ヒトパルボウイルスB-19はDNA型ウイルス |
疫学 | 幼稚園児〜学童で4・5年に一度流行。伝染力は中程度。不顕性感染が多い。終生免疫。 |
症状 |
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合併症 | 健常人では合併症は起こらないが、溶血性貧血患者ではaplastic crisis(赤芽球への感染→赤芽球の破壊→造血能低下→急激な貧血)を、胎児では胎児水腫(妊娠中の子宮内感染→胎児貧血→全身浮腫→流死産)を起こす |
診断 | 臨床所見+IgM抗体の上昇orウイルスDNAの証明 |
鑑別診断 | 全身性ループス(蝶形紅斑以外にも全身性に発疹が出る) |
治療 | 不要 |
病因 | ポリオウイルス (1〜3型) | コクサッキーウイルス | ECHOウイルス (1〜33型) | エンテロウイルス (68〜71型) | ||
A群 (1〜24型) | B群 (1〜6型) | |||||
疫学 | 総論 | 人の腸管で増殖し、便から体外に出て、経口感染を起こす。夏に流行し、夏かぜ症候群の多くは腸管ウイルス感染症である。乳児期後半〜幼時期に好発。不顕性感染が多い。顕性感染の場合、症状は多彩で、まれに脳炎や髄膜炎を起こす。 | ||||
各論 | 経口投与の生ワクチンでほとんど撲滅された。終生免疫。 | − | − | − | − | |
症状 | 特異的 | 7〜14日の潜伏期を経て、風邪症状・消化器症状・筋肉痛・筋硬直・弛緩性運動麻痺が出現する | 急な発熱、咽頭痛、軟口蓋の小水疱・潰瘍を呈する 発熱、口腔粘膜の水疱、手足に紅色丘疹(後に硬い水疱になる)を呈する | 発熱、胸部or腹部の発作性激痛 周産期の感染によって、胎児が急に心不全となり死亡する | 新生児脳心筋炎 | 手足口病 |
一般的 | 無菌性髄膜炎・脳炎、運動麻痺、不明熱性疾患は共通してみられる | |||||
− | 夏かぜ、急性発疹、急性胃腸炎、急性出血性結膜炎 | 夏かぜ、急性発疹、心筋炎・心外膜炎、急性胃腸炎 | 急性出血性結膜炎 |
感染症 | インフルエンザ | ||
病因 | インフルエンザウイルスにはA・B・Cの3つの型があり、抗原としての安定性はA<B<Cの順になっている。ウイルスの表面にはHAスパイクとneuraminidaseスパイクがある。 | ||
疫学 | 流行形式は型によって異なる(A型は抗原の不連続変異(大変異)によって大流行を起こす。B型は抗原の連続的変異(小変異)によって地域的流行を起こす。C型は抗原安定性が高く、散発的に流行する)。 冬に多く、学校で増幅される。不顕性感染が多い。感染力はかなり強く、飛沫感染により呼吸器粘膜に生着して、そこで増殖する。 | ||
症状 | 潜伏期は、36〜48時間と短い(急激に発症する)。 主症状は、悪寒、発熱、頭痛、咽頭痛、関節痛、筋肉痛、咳、全身倦怠感であるが、小児では嘔吐、下痢を伴うこともある。 | ||
診断 | 診断所見(咽頭発赤・筋の圧痛など)、ウイルス抗原の証明、抗体価の上昇、ウイルス分離 | ||
合併症 | 肺炎(←細菌の2次感染による、特に高齢者・乳幼児の主な死因となる)、インフルエンザ脳症(まれ) | ||
予防 | HAワクチン(上述のHAスパイクを濃縮したもの) | ||
治療 | 抗ウイルス剤(アマンタジン・oseltamivir・zanamivir)を用いる。細菌の2次感染がある場合は抗生物質の投与も行う。 | ||
感染症 | パラインフルエンザ ウイルス感染症 | RSウイルス感染症 | ライノウイルス感染症 |
病因 | パラインフルエンザウイルスには1〜4型がある | respiratory syncytial(RS)ウイルスによる | ライノウイルスには100以上の型がある |
疫学 | 乳幼児では3型、乳幼児以降は1・2型が主。飛沫感染であるが、伝染力はあまり強くない。 | 冬に多い。飛沫感染。再感染の反復により免疫を獲得する | 成人の鼻かぜの主因で、呼吸器感染症の10〜25%(成人)、5〜10%(小児)を占める |
症状 | インフルエンザに似ており、上気道炎が主。しばしば下気道炎(クループ・気管支炎・細気管支炎・肺炎)がおこる。 | 多彩である。 乳児では細気管支炎(未熟児では重症化しやすい)、乳幼児では肺炎をおこす。 | 鼻汁・鼻閉といった鼻炎症状が主。症状は軽く、治療の必要は全くない。 |
診断 | 確定診断に時間がかかる | 迅速診断によるウイルス抗原の証明、ウイルス分離、血清反応 | − |
予防 | − | 流行期前にRSウイルスに対する中和抗体投与を行う(特に未熟児に対して)。 | − |
感染症 | アデノウイルス感染症 | ||
病因 | アデノウイルス1〜41型による | ||
疫学 | 水を介して伝染することが多い(プールや洗顔など)。散発することもあれば、流行することもある。 | ||
症状 | 多彩である。 咽頭結膜炎(学童、夏のプールで消毒不十分な場合に集団感染することが多い(プール熱ともいう)、発熱・咽頭炎・結膜炎・後頸部リンパ腺腫腸が主症状)、上気道炎、気管支炎、肺炎のほか、気道外感染症(流行性角結膜炎・出血性膀胱炎・アデノウイルス腸炎)をおこすこともある。 |
病因 | A群ロタウイルス | アデノウイルス | SRV(small round virus) | アストロウイルス |
球状のRNAウイルスで、capsidが二重にあるために電顕で車軸状に見える | アデノウイルスの多くは呼吸器感染症の原因となるが、40・41型は胃腸炎を起こす | 電顕で小型球状に見えるRNAウイルス | 小型のウイルスで、現在5種類が見つかっている | |
疫学 | 便→口の経口感染が主であるが、一部は飛沫感染 | |||
乳幼児(6ヶ月〜2歳)が罹患。乳幼児の胃腸炎の主な原因(30〜50%)。冬に多い。潜伏期の平均は24時間。 | 主に乳幼児に感染。乳幼児の胃腸炎の5〜10% | 学童期〜成人の感染が多い。食物(生カキなど)や飲料水を介した経口感染で、集団発生することもある。 | 非常にまれで、乳幼児や老人に散発的に発生する | |
症状 | 消化器症状(嘔吐・下痢・腹痛・発熱)が種々の組み合わせで出現する(発熱は必発ではない) | |||
予防 | 感染経路を絶つことが重要 | |||
診断 | 便からのウイルス粒子の直接証明、ロタウイルス・アデノウイルスでは迅速診断によるウイルス抗原の証明も可能 | |||
鑑別診断 | 細菌性胃腸炎 |
病因 | 流行性耳下腺炎ウイルス |
疫学 | 小児期に多い。終生免疫。不顕性感染が多い。唾液中にウイルスが含まれており、飛沫感染を起こす。伝染力は強い。 |
症状 |
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鑑別診断 | 化膿性耳下腺炎、顎下リンパ節炎、反復性耳下腺炎 |
予防 | 生ワクチン(1/3000〜1/2000の確率で髄膜脳炎を発症) |
治療 | 対症療法のみ、予後は良好 |
特殊な病型 |
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定義 | 急性の髄膜刺激徴候を示すが、髄液から細菌が発見されない疾患群で、大部分はウイルス性 | ||||||||||||||||||||||||||||||
原因 | 髄膜炎は感染性のものと非感染性のものとに大きく分けることができる。感染性の髄膜炎の原因としては、ウイルス・結核菌・トキソプラズマ・クリプトコッカスなどがあげられ、非感染性の髄膜炎の原因としては、隣接臓器の炎症(中耳炎・副鼻腔炎など)の髄膜への波及・脳腫瘍・白血病の髄膜浸潤・鉛中毒などがあげられる。 | ||||||||||||||||||||||||||||||
疫学 | 流行性で、夏に多い | ||||||||||||||||||||||||||||||
症状 | 髄膜刺激徴候(頭痛・嘔吐・不機嫌・項部硬直・Kernig徴候) | ||||||||||||||||||||||||||||||
鑑別診断 | 以下の表にあげるように、髄液所見から、急性細菌性髄膜炎や結核髄膜炎、脳膿瘍・脳腫瘍と鑑別することができる。髄膜炎の疑いのある患者を見た場合には、髄液検査を至急で実施して、細菌性髄膜炎を除外する必要がある(急性細菌性髄膜炎の治療には抗生物質の迅速な大量投与が必要)。
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予後 | ウイルス性は予後良後、他は原因によりさまざま |
疾患 | 原因ウイルス | |
気 道 | 上気道炎 | ライノウイルス、RSウイルス、アデノウイルス、パラインフルエンザウイルス |
夏かぜ | 腸管ウイルス | |
咽頭結膜炎 | アデノウイルス | |
クループ | パラインフルエンザウイルス、RSウイルス | |
細気管支炎 | RSウイルス、パラインフルエンザウイルス | |
気管支炎・肺炎 | RSウイルス、パラインフルエンザウイルス | |
インフルエンザ様疾患 | インフルエンザウイルス、アデノウイルス | |
中 枢 神 経 | 弛緩性麻痺 | 腸管ウイルス |
無菌性髄膜炎 | 腸管ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス | |
脳炎 | 流行性耳下腺炎ウイルス、単純ヘルペスウイルス、パルボウイルス | |
消 化 器 | 肝炎 | A型・B型・C型・D型・E型肝炎ウイルス |
胃腸炎 | ロタウイルス、アデノウイルス、小型球形ウイルス(SRV) | |
発 疹 性 | 発熱あり | 麻疹ウイルス、風疹ウイルス、HHV-6、HHV-7、腸管ウイルス |
水疱性 | 水痘-帯状疱疹ウイルス、単純ヘルペスウイルス | |
手足口病 | コクサッキーウイルス、腸管ウイルス | |
ヘルパンギーナ | コクサッキーウイルス | |
伝染性紅斑 | パルボウイルスB-19 | |
免 疫 | 免疫不全 | HIV |
白血病 | HTLV-1 | |
全 身 性 | 熱性疾患 | コクサッキーウイルス、ECHOウイルス、腸管ウイルス |
伝染性単核症 | EBウイルス、サイトメガロウイルス | |
先天感染 | 風疹ウイルス、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス、B型肝炎ウイルス、HIV | |
心筋炎・心外膜炎 | コクサッキーウイルス | |
流行性筋痛症 | コクサッキーBウイルス | |
おたふく風邪 | 流行性耳下腺炎ウイルス | |
睾丸炎 | 流行性耳下腺炎ウイルス | |
流行性角結膜炎 | アデノウイルス | |
出血性膀胱炎 | アデノウイルス |
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