11月1日(金)W 小児神経疾患  担当:服部(講師)
設問1      代謝性疾患に関する問題
   3歳の男児。運動障害を主訴に来院した。1歳頃から、つかまり立ちができなくなり、お坐りもできなくなった。その後、舞踏アテトーゼの不随運動が次第に強く出現するようになった。内反尖足傾向も強くなり寝たきりとなった。知的にも退行がみられるようになった。けいれんをきたしたことはなかった。アテトーゼ型脳性麻痺と診断されていた。最近、自分自身の口唇や指を強くかむことが多くなり、出血と瘢痕化をくり返している。また、乳児期からおむつに赤褐色粉末状結晶をみることが多いという。尿所見:蛋白(−)、潜血(2+)、沈渣に赤血球20〜30/l視野。血清生化学所見:尿素窒素22mg/dl、クレアチニン0.5mg/dl、尿酸9.3mg/dl。顔写真を別に示す。
   考えられる疾患はどれか。
答え … b Lesch-Nyhan症候群
Hurler症候群ムコ多糖代謝異常
bLesch-Nyhan症候群   プリン代謝異常
cTay-Sachs病脂質代謝異常
dフェニルケトン尿症アミノ酸代謝異常
eメープルシロップ尿症アミノ酸代謝異常

設問2      神経皮膚疾患に関する問題
   2歳6ヶ月の男児。左上肢の間代性けいれんを主訴として来院した。1ヶ月前にも左上肢のけいれんがあった。顔写真を別に示す。
   考えられる疾患はどれか。
答え … c  Sturge-Weber症候群
神経線維腫症皮膚のカフェオーレ斑が特徴的
b結節性硬化症痙攣、精神発達遅滞、脂腺腫が3主徴
cSturge-Weber症候群一側顔面の皮膚血管腫と同側脳の萎縮が特徴的
dvon Hippel-Lindau症候群   小脳・網膜の過誤芽腫が特徴的
e色素失調症奇異な形状の色素沈着性の発疹が特徴的

設問3      神経皮膚疾患に関する問題
   顔写真と頭部単純エックス線CTを別に示す。
   考えられる疾患はどれか。
答え … c 結節性硬化症
Sturge-Weber症候群一側顔面の皮膚血管腫と同側脳の萎縮が特徴的
bvon Hippel-Lindau症候群   小脳・網膜の過誤芽腫が特徴的
c結節性硬化症痙攣、精神発達遅滞、脂腺腫が3主徴
d神経線維腫症皮膚のカフェオーレ斑が特徴的
e神経皮膚黒色症脳軟膜の黒皮症を伴う皮膚の巨大色素性母斑が特徴的

解説
小児神経疾患のまとめ
分類疾患名概念症候診断治療












Tay-Sachs病β-ヘキソサミニダーゼA欠損によって、中枢神経系にモノシアロガングリオシドなどが蓄積する常染色体劣性遺伝病乳児型では、精神運動発達停止、聴覚過敏、黄斑チェリー赤斑を伴う失明と痙攣がみられる。次第に除脳硬直状態になり、2〜3年以内に死亡する。若年型は、発症年齢2〜6歳頃で、運動失調、精神運動発達遅滞、痙性、てんかん、視力低下などが徐々に進行し、10〜12歳には寝たきりになることが多い末梢血白血球などのβ-ヘキソサミニダーゼA活性の低下根本的な治療法は確立されていないが、分子遺伝学的な研究は進められている
フェニルケトン
尿症
フェニルアラニン水酸化酵素欠損のために、チロシン生成不全、血清中のフェニルアラニンの上昇、フェニルピルビン酸および他の誘導体の尿中排泄増加をきたす。常染色体劣性遺伝幼児型は、生後3〜6ヶ月に発症し、外界刺激過敏、四肢筋緊張亢進、精神運動発達停止などを呈し、除脳硬直状態となって、発症後1年以内に死亡する。若年型は、1〜10歳くらいで発症し、脳白質びまん性脱髄を示し、刺激過敏性、精神運動発達遅滞、筋緊張亢進、視力低下などの症状を呈する血中フェニルアラニンが20mg/dl以上、チロシンが正常(1〜4mg/dl)。わが国では生後5〜7日にGurthie検査が行われており、早期発見・早期治療が可能低フェニルアラニン食によりフェニルアラニンの摂取量を減らし、血中レベルを4〜15mg/dlに保つ
メープルシロップ
尿症
分岐アミノ酸(ロイシン・イソロイシン・バリン)由来のケト酸の脱炭酸酵素の障害による疾患で、血中・尿中で上記のアミノ酸およびこれらのアミノ酸由来のケト酸が著明に上昇する。常染色体劣性遺伝生後4〜7日頃から哺乳困難、傾眠傾向、無呼吸がみられ、無治療のまま放置すると、重度の精神運動発達遅滞、筋緊張亢進、意識障害、痙攣発作などを呈し、急速に悪化する。尿のメープルシロップのにおいが特徴的と言われるが、乳児期では必ずしもみられない血中アミノ酸分析で、分岐アミノ酸の高値、脱炭酸酵素の活性低下がみられる新生児期の早期確定診断が重要。血中のアミノ酸をモニターしながら分岐アミノ酸含有量の少ない制限食を与える
Hurler症候群ムコ多糖症で、α-iduronidase欠損によっておこる常染色体劣性遺伝性疾患。異常な細胞内物質の蓄積、尿中へのデルマタン硫酸・ヘパラン硫酸の排泄がみられる生後6ヶ月〜1歳で発症し、低身長、多発性骨異症、ガーゴイル様顔貌、角膜混濁、肝脾腫、精神発達遅滞、難聴、ヘルニアなどを呈する欠損酵素の同定、尿中ムコ多糖排泄量の増加根本療法はなく、対症療法による
Lesch-Nyhan
症候群
プリン体合成系のサルベージ回路のHGPRT欠損により、高尿酸血症と中枢神経症状を呈する疾患。X染色体連鎖劣性遺伝生下時は一般に正常であるが、3〜4ヶ月すると精神運動発達遅滞、痙性、アテトーゼ様運動が目立つようになり、2歳頃からは指や唇を噛む自傷行為が出現。一方、高尿酸血症・高尿酸尿症のために尿酸結石を生じ、これが尿路感染症や腎不全の原因にもなりうる男性で、高尿酸血症、高尿酸尿症、特異な神経症状があれば診断は容易。溶血液でHGPRT欠損を証明すれば確定するプリン体含有量の少ない制限食、十分な水分摂取による尿量の保持、アロプリノール投与による血中尿酸値低下などの予防療法。しかし、中枢神経症状に対しては抜本的な治療法はない
分類疾患名概念症候診断治療















神経線維
腫症(NF)
1型末梢神経線維腫症。常染色体優性遺伝性の神経変性疾患で、特徴的な皮膚症状や眼症状、骨病変などを伴う体幹部および四肢の皮膚に多数の褐色のカフェオーレ斑。虹彩の過誤腫であるLish小結節が目にみられる。また、学童期になると、神経線維腫が末梢神経にみられるようになり、神経鞘腫を始めとして、さまざまな腫瘍を合併する。さらには、眼窩後上壁や脊椎、脛骨、肋骨などに骨病変がみられる場合が多い遺伝歴を含む臨床症状、放射線学的所見、病理所見から診断はなされる原因治療は困難で、腫瘍や骨病変に対する手術などの対症療法が主
2型中枢神経線維腫症。常染色体優性遺伝性で、非常にまれな疾患(10万人に0.1)20歳頃に難聴、耳鳴、平衡障害、頭痛などで発症する
結節性硬化症
(TS)
痙攣、精神発達遅滞、脂腺腫を3主徴とする進行性の神経変性疾患で、記載者の名前をとってBourneville-Pringle病ともよばれる。常染色体優性遺伝脳表あるいは脳室周辺にできる多発性の腫瘤(結節)による痙攣と精神遅滞が神経症状として重要。皮膚症状としては顔面の脂腺腫(左右対称に鼻根部〜頬部にかけて多発性にできる赤味を帯びた丘疹)が最も特徴的で、4歳頃までには90%の患者に現れる。その他、色素脱失斑、多彩な皮疹、目・腎・肝・脾の過誤腫など臨床症状(特に3主徴)とCT上の石灰化した上衣下結節(真っ白に映る)で診断は確定する特異的な治療法はなく、抗痙攣薬や手術などの対症療法が行われる
Sturge-Weber
症候群
脳三叉神経領域血管腫症ともいう。一側顔面(特に三叉神経第1枝(眼神経)領域)の皮膚血管腫(ポートワイン母斑)と同側脳の萎縮(主に後頭葉)を特徴とする幼児期からの皮膚血管腫、痙攣、対側の片麻痺、同名半盲、精神発達遅滞、緑内障単純X線写真あるいはCTで脳回に沿った石灰化像がみられる抗痙攣療法が中心で、手術するケースもある
von
Hippel-Lindau
症候群
常染色体優性遺伝性の過誤腫症の1つ。小脳あるいは網膜の過誤芽腫を基本とし、他に大脳・脳幹・脊髄の過誤芽腫、腎嚢胞・腎癌、褐色細胞腫など、種々の腫瘍が合併する網膜剥離や失明、緑内障などの眼症状。血管芽腫や腎癌による死亡が多く、平均寿命は若い家族歴を含めた臨床症状から総合的に判断。CTやMRIなどの画像検査や遺伝子変異による診断も有効腫瘍の摘出手術あるいは放射線照射療法
色素失調症遺伝性皮膚症で、他の組織にも起こることがある。X染色体の異常で、男性では遺伝的に致死性である線状、シマウマ様模様、奇異な形状の色素沈着性の発疹を特徴とする。時に好酸球を含む小水疱や水疱が先行し、引き続いていぼ状の病変が起こることが多い。他の発生学的異常を伴う場合もある
神経皮膚
黒色症
脳軟膜の黒皮症を伴う皮膚の巨大色素性母斑.皮膚や脳脊髄膜に悪性黒色腫が生じることがある
広告 [PR]  ダイエット キャッシング わけあり商品 無料レンタルサーバー