症例3
74歳、女性。
主訴:もの忘れ、尿失禁。
現病歴:1980年頃より高血圧症(170/100mmHg)を指摘され、近医にて降圧薬を投与されていた。1993年頃より後頭部の頭重感、ふらつき感を訴えて、1995年、近医を受診、血圧150/90mmHg。神経学的には特に異常は指摘されなかりた。その後、徐々に動作が緩慢になり、1995年頃からはあまり歩かなくなった。1993年頃よりもの忘れが目立つようになり、セーターの上にパジャマを着ようとしたり、ズボンを2枚はこうとするなど着衣にも支障を来すようになった。さらに、尿失禁もみられるようになった。受診時、ごく軽い右片麻痺と左上肢の筋固縮を認めた。深部腱反射は、四肢ともに亢進し、Babinski徴候陽性。歩行は不安定で、歩幅は小さい。
家族歴:特記すべきことなし。
受診時所見
血圧160/100mmHg、脈拍60/分。収縮期心雑音(+)。
意識は清明で、MMSE 8/30。
見当識、記銘力、計算いずれも障害され、自発性の低下を認めた。
構音障害があり、下顎反射は亢進。軟口蓋の動きが不良で、病的泣きがみられた。ごく軽度の右不全麻痺を認め、深部腱反射は右>左で亢進。
頭部MRI、脳血流SPECT:
MRIでは、前頭葉の側脳室周囲を中心とした白質に広がる梗塞巣がみられる。被殻にも小梗塞巣がみら
れる。SPECT像水辺断では、梗塞巣が存在する白質のみならず、前頭葉全体に血流低下がみられる。
問4.考えられる診断は何か。