褐色細胞腫(pheochromocytoma)
 概念 副腎髄質や傍神経節などのクロム親和性細胞から生じ、多量のカテコールアミン(CA)を分泌する腫瘍。分泌されるCAはノルアドレナリン(NA)とアドレナリン(Ad)の2種類であるが、多くはNA産生型である
頻度高血圧患者10万人に対して1.4人程度と推定されている。男女差はなく、30〜50歳代に多い
特徴
10%ルール
10%は両側副腎に、10%は副腎外に、10%は小児例に、10%は家族内発生、10%は悪性
分類
持続型
CAを持統的に分泌するため、常に高血圧を示す
発作型
CAを間欠的に分泌しており、特定の誘因が加わると一挙に血圧上昇をきたす。その際には交感神経刺激症状も増悪し、患者の苦痛も一気に高まる
病態CAの過剰な分泌により、交感神経系の刺激状態がみられる。すなわち、α1レセプター刺激による血管収縮β1レセプター刺激による頻脈・心拍出量の増大が生じ、高血圧となる。血漿レニン活性(PRA)は一般に高値で、高血圧による臓器障害(高血圧性の網膜の変化、心肥大、心筋障害、蛋白尿などの腎機能障害など)がみられる。また、CAにより、肝臓からの糖放出の増加、末梢でのインスリン抵抗性が生じ(β2作用)、耐糖能異常や糖尿病が生じる
症候褐色細胞腫の症候として有名なのは、5H高血圧(Hypertension)、頭痛(Headache)、多汗(Hyperhidrosis)、高血糖(Hyperglycemia)、甲状腺機能亢進症を伴わない代謝の亢進(Hypermetabolism without hyperthyroidism)。その他としては、頻脈、顔面蒼白、四肢冷感、手指振戦、やせ、腹痛、悪心・嘔吐などが認められる。また、1/3くらいの症例では起立性低血圧がみられる
検査
血液・尿検査
血中CA高値、尿中CA排泄量高値、尿中CA代謝産物高値がみられる。また、血糖値・遊離脂肪酸の上昇、高コレステロール血症が認められたり、尿蛋白が陽性になったりすることが多い
抑制試験
α1遮断薬を用いるレジチン試験などを行うと、降圧が起こる。一方、α2刺激薬のクロニジンを用いたクロニジン負荷試験を行うと、本態性高血圧症患者では、遠心性交感神経の刺激伝導が抑制されて血中NAが低下し、血圧も低下するが、本症では両者とも低下しない
画像検査
CT、MRIによる腫瘤の証明と131I-MIBGシンチグラフィーによる取り込みの増加
眼底病変
高血圧性の眼底の変化を認める例が多い
治療腫瘍の摘出によって根治する。手術前や手術不能例に薬物治療を行うが、α1遮断薬(プラゾシン)やα+β遮断薬(ラベタロール)を用いる(β遮断薬の単独投与は禁忌)。その他には、131I-MIBG内照射や化学療法が行われることもある
 血中・尿中カテコラミン濃度の上昇する生理的状態・病態とその機序
・生理的状態…運動、精神的緊張、ストレス、くしゃみ、排便、腹部圧迫(打撃)、空腹(低血糖)
・病態…手術、心筋梗塞、褐色細胞腫
・機序…交感神経系の活性化、低血糖、分泌細胞の増加(褐色細胞腫)

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