分類 | 名称 | 産生部位 | 作用 |
鉱質コルチコイド | アルドステロン (デオキシコルチコステロン) | 球状層 | 腎臓遠位尿細管に作用してNa再吸収させる(→結果として、Naと水の貯留、KとHの分泌) |
糖質コルチコイド | コルチゾール (コルチコステロン) | 束状層 ・ 網状層 | タンパク質の異化作用、糖新生作用、グリコーゲン合成作用、脂肪分解作用などの代謝調節作用の他、血管収縮作用、水利尿作用などを有する |
副腎アンドロゲン | DHEA (デヒドロエピアンドロステロン) | 女性でタンパク同化作用、体毛の維持に寄与するが、男性ではあまり作用はない |
概念 |
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頻度 | Cushing病が半数以上を占める。男女比は1:6〜7で女性に多く、40歳代に発症ピークがある |
症候 | ・満月様顔貌、中心性肥満、水牛様脂肪沈着←脂肪沈着 ・皮膚線条、皮下出血、挫創←線維芽細胞抑制による皮膚の菲薄化 ・筋力低下、耐糖能低下、糖尿病←蛋白異化作用、糖新生亢進による糖利用の抑制 ・挫創、多毛、月経異常←アンドロゲンの過剰分泌 ・骨折、骨粗鬆症←過剰なコルチゾールによる骨形成抑制、骨吸収亢進 ・高血圧←糖質コルチコイドの鉱質コルチコイド作用や血管への直接作用 |
検査 |
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診断 |
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治療 | ・Cushing病では、経蝶形骨洞下垂体腺腫摘除術(Hardy手術)を行う.手術無効例や再発例では、放射線照射を行う ・副腎腺腫や癌によるCushing症候群では、片側の副腎全摘術を行う ・異所性ACTH産生腫瘍では、原病巣の摘除をはかるが、困難なことが多い ・副腎癌や異所性ACTH産生腫瘍では、副腎皮質ステロイド合成阻害薬であるトリロスタンやミトタンを用いる |
概念 | 両側副腎皮質の90%以上が破壊された、慢性の副腎皮質機能低下症のことで、鉱質コルチコイド・糖質コルチコイド・副腎アンドロゲンの3者の不足状態となる |
頻度 | 10万人に対して4〜6人 |
病因 | 自己免疫機序の関連が疑われる、原因の特定できない特発性のものが頻度としては最も多い。原因の特定できるものとしては、結核などの慢性感染症や副腎への癌転移などがあげられる |
症候 | ・鉱質コルチコイド欠乏→低血圧、低Na血症、高K血症、味覚の変化(塩分嗜好化) ・糖質コルチコイド欠乏→易疲労感、食欲不振、悪心・嘔吐、体重減少、脱力、嗜眠、低血糖 ・副腎アンドロゲン欠乏→(女性で)腋毛・恥毛の脱落、性欲低下、無月経 ・その他…性格変化、集中力低下、皮膚や粘膜の色素沈着(←副腎からのネガティブ・フィードバック機構により、視床下部からのCRH分泌あるいは下垂体からのACTH分泌などが増加するため) |
検査 | 血中コルチゾール、尿中17-OHCS(←コルチゾール代謝物)排泄量および17-KS(←DHEA代謝物)排泄量は低値でACTHに反応しない。血中ACTHは高値を示す。 その他、低血糖、低Na血症、高K血症、水利尿不全、正球性正色素性貧血、好中球減少、リンパ球増加、好酸球増加、軽度の代謝性アシドーシスなどが認められる |
診断 | ・頭蓋咽頭腫や下垂体腺腫などに続発する下垂体機能低下症によってもAddison病とほぼ同様の症状が起こる(続発性副腎皮質機能低下症)。ただこの場合には、ACTHなどは低値で、色素沈着はみられない ・先天性副腎皮質低形成、先天性副腎皮質過形成、先天性ACTH不応症とは、発症年齢から鑑別可能 |
治療 | コルチゾールの補充を日内変動にあわせて行う(朝多く、夕方少なく)。鉱質コルチコイドや副腎アンドロゲンの補充は通常必要ない |
原因 |
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病態生理 | 糖質コルチコイド不足→低血糖→意識レベルの低下 鉱質コルチコイドの不足→Naの低下→脱水・低血圧→ショック状態(悪心・嘔吐・下痢・発熱・乏尿) |
具体的治療 | 緊急治療を要する。副腎皮質ホルモン(コルチゾール・ヒドロコルチゾン)の補充、NaClとブドウ糖を含んだ適切な輸液、基礎疾患対策を行う |
P-450C21欠損症 | 原因遺伝子は第6染色体短腕上に存在し、常染色体劣性遺伝をする。P-450C21は、プロゲステロン→DOCおよび17-OHプロゲステロン→デオキシコルチゾールを媒介している。したがって、P-450C21が欠損するとコルチゾールの産生が低下し、ネガティブフィードバックによりACTHの分泌が亢進する。障害される2つの経路は、副腎アンドロゲンの産生には何ら影響しないので、副腎アンドロゲンだけが大量に生産されて男性化徴候(女性仮性半陰陽、幼児期に恥毛が発現、原発性無月経)をきたす |
P-450C11欠損症 | 原因遺伝子は第8染色体長腕上に存在し、DOC→コルチコステロンおよびデオキシコルチゾール→コルチゾールの反応を媒介する。本症でも、上と同じようにコルチゾール不足によるネガティブフィードバックによってACTH分泌が亢進し、DOCおよびデオキシコルチゾールの産生が増加するが、これらにはある程度のコルチコイド活性があり、特にDOCはアルドステロンの30分の1の鉱質コルチコイド活性をもつために、塩類過剰症状を呈し、Naの再吸収が亢進した結果としての高血圧症と、それに伴う低K血症・代謝性アルカローシスをきたす |
概念 | 副腎皮質障害などが原因となって、アルドステロンが過剰に分泌されるために惹起される障害 |
分類 | 広義の原発性アルドステロン症(アルドステロンの分泌が異常に亢進した病態)は、さらに狭義の原発性アルドステロン症(腺腫、通常は片側性)と特発性アルドステロン症(過形成、通常は両側性)に分類される |
症候 | 頭痛や多尿、脱力感、筋力の低下、多飲といった自覚症状は、一般的に腺腫の方が出現頻度は多い |
診断 | アルドステロン分泌過剰、血漿レニン活性の抑制、尿中17-OHCS・17-KSが正常を特徴とする。 腺腫か過形成かを鑑別するにはCTが有用。腺腫は一側性に発症するので、片側の副腎だけが腫大した画像が得られる。過形成では両側性に腫大する。もしくは131I アドステロールを用いたシンチグラフィーも行われる。それでも鑑別が難しければ両側の副腎静脈から採血を行い、それぞれの血中アルドステロン値を比較する |
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