6月12日 悪性リンパ腫の基礎知識  担当:大野(助教授)
※レポートの解答で書くべきところは赤で示している 
1.ホジキン病と非ホジキンリンパ腫の相違を列挙してください。
 ホジキン病非ホジキンリンパ腫
頻度悪性リンパ腫の数%
(日本では、人口10万人対0.5〜1人)
悪性リンパ腫の大部分を占める
(日本では、人口10万人対8人くらい)
全身症状多い少ない
初発部位リンパ節節外
進展1つのリンパ節群から隣接リンパ節群に順次進展する(連続的)遠離部位への進展が多い(非連続的)
白血化まれまれではない
予後良好不良
2.非ホジキンリンパ腫はB細胞性とT細胞性に大別されます。それぞれの代表的な病型を列挙してください。
B細胞性:
 びまん性大細胞型 
B細胞リンパ腫
(DLBCL)
大型の腫瘍性B細胞がびまん性に増殖したBリンパ腫。リンパ節原発は60%、節外臓器原発(胃腸が最も頻度が高い)が40%を占める。@縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、A血管内大細胞型B細胞リンパ腫、B原発性体腔液リンパ腫などいくつかのサブタイプがある
濾胞性リンパ腫二次濾胞を構成するB細胞が腫瘍化し、組織像で少なくとも一部で濾胞構造形成が認められるBリンパ腫である。病変部は主としてリンパ節であり、脾・骨髄・節外臓器などにも浸潤する
MALTリンパ腫
(MALToma)
成人で自己免疫疾患および慢性感染症を背景にして発症する、節外臓器原発のリンパ腫。たとえば、橋本病では甲状腺のMALToma、H. pylori による慢性胃炎では胃のMALTomaがある。腫瘍細胞の形態は多様で、小〜中型のcentrocyteに類似し、一部では単球様B細胞、形質細胞への分化もみられる
マントル細胞
 リンパ腫(MCL)
一次濾胞(マントルゾーン)の小型virgin B細胞に由来する腫瘍細胞が、リンパ節・脾・Waldeyer輪・節外臓器などで腫瘤を形成しながら増加する疾患。腫瘍細胞は小〜中型のリンパ球またはcentrocyteに似る。一部の腫瘍細胞ではリンパ形質細胞や形質細胞への分化が認められる
Burkittリンパ腫
(BL)/白血病
アフリカの小児に報告されている悪性リンパ腫の一種。病変の主座はリンパ節であるが、しばしば顔の骨、卵巣なども侵す。病変部には未分化幹細胞が浸潤し、砕かれた核を貪食した淡染性のマクロファージが散在している。これら未分化細胞はリンパ様胚芽中心B細胞由来で、多数の有糸分裂を示す。地理的分布からみてマラリアの流行地に発生し、ヘルペスウイルス科のEpstein-Barrウイルスに起因すると考えられる
T細胞性:
 末梢T細胞リンパ腫,
非特定
特定されない末梢T細胞リンパ腫で、主に節性リンパ腫の形態をとる。腫瘍細胞は核の変形・炎症細胞浸潤を伴って、多種多様な像を示す。早期に病期V・Wに進展し、皮膚・皮下・肝・脾などの臓器への浸潤、B症状、掻痒症、HPS、好酸球増多症を合併し、予後不良である
 未分化大細胞型 
 リンパ腫(ALCL)
全身性の節性リンパ腫。馬蹄形の核をもつCD30陽性の未分化大細胞が腫瘍細胞として存在する。多くは病期V・Wで、全身リンパ節腫大のほか、皮膚・骨髄・軟部組織などの節外臓器への浸潤例もみられる。多くはB症状、特に発熱がある
3.悪性リンパ腫の臨床病期分類について空欄を下から選んでうめてください。
   (1)は、本来(2)の臨床病期分類に用いられていたが、現在では(3)の臨床病期分類にも広く用いられている。臨床病期T,U期は、節性、節外性を問わず(4)の同側に病変がとどまるもの、V期は病変が(4)をはさみ両側に存在するもの、W期はリンパ節病変の有無にかかわらず、一つあるいはそれ以上のびまん性の節外病変が存在するものである。一方、全身症状は(5)と定義され、(6)、(7)、(8)のいずれかを有するもので、症状がない場合は(9)と記載する。
( 2 )ホジキン病( 3 )非ホジキンリンパ腫
( 5 )B症状( 9 )A
( 6 )初診6ヵ月以内における10%以上の体重減少
( 8 )盗汗( 7 )38℃以上の原因不明の発熱
( 4 )横隔膜( 1 )Ann Arbor分類
Ann Arbor病期分類の概略
   ・T期:単一リンパ節領域または限局した単一節外病変
   ・U期:横隔膜の片側のみに病変
   ・V期:横隔膜の上下に及ぶ病変
   ・W期:リンパ組織以外の臓器にびまん性侵襲がある
※なお、B症状(38℃以上の発熱、盗汗、6ヶ月間で10%以上の
   体重減少のいずれか)があればBを、なければAを付記する
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