5月27日 血液病学総論  担当:内田(教授)
※レポートの解答で書くべきところは赤で示している 
1)造血幹細胞の特徴を述べよ。
   自己再生能と各種細胞への分化能を兼ね備えている。
2)多能性造血幹細胞から各成熟血球への分化経路とそれぞれの過程に作用する造血因子、サイトカインを記入せよ。また、それぞれの分化段階で腫瘍化したを考えられる造血器腫瘍を記せ。
血液細胞の分化
造血器腫瘍
疾患名癌化する細胞疾患概念




急性骨髄性白血病
(AML)
骨髄の
造血幹細胞や
前駆細胞
骨髄の造血幹細胞や前駆細胞が腫瘍化し、未分化のまま増殖する疾患であり、腫瘍化した細胞の系統により、AMLとALLとに分けられる。腫瘍化して生じた白血病性芽球は、分化成熟能を失い、無秩序に増殖し、正常造血を抑制して、貧血・易感染性・出血傾向を起こす。また、白血病細胞の臓器浸潤によって臓器障害を引き起こす
急性リンパ性白血病
(ALL)
慢性骨髄性白血病
(CML)
多能性幹細胞腫瘍化した造血幹細胞が、各血球系への分化・成熟能をもったまま異常増殖し、特に顆粒球系細胞の増加をきたす疾患である。慢性に経過するが、急性転化すると致死的となる
慢性リンパ性白血病
(CLL)
Bリンパ球正常リンパ球と区別できない成熟した小リンパ球の形態を示す単クローン性のB細胞が、骨髄や末梢血で慢性的に増殖するために、白血球増多・リンパ節腫大・脾腫をきたす
成人T細胞白血病
(ATL)
CD4+
ヘルパーT細胞
末梢血に異常リンパ球が増加する予後不良の白血病/リンパ腫。HTLV-1感染によって引き起こされる
骨髄異形成症候群
(MDS)
造血幹細胞異常な造血幹細胞から単クローン性に血球が産生されるが、無効造血による血球減少と異形成をきたす結果、貧血・易感染性・出血傾向を呈する。治療不応性で前白血病的性格を示す
骨髄線維症線維芽細胞骨髄に系統的に大量の線維芽細胞の増殖とコラーゲン沈着が認められる
真性赤血球増多症
(多血症)
赤血球赤血球数(RBC)の絶対的増加と循環赤血球量の増加を示し、白血球数(WBC)・血小板数の増加や脾腫を伴い、慢性に経過する骨髄増殖性疾患の1つ
本態性血小板血症
(ET)
巨核球系細胞基礎疾患がなく、通常、100万/μlを超える著明な血小板増加が長期間持続し、血栓や出血症状を伴う疾患。慢性骨髄増殖性疾患(CMPD)の1つ
悪性リンパ腫リンパ球系細胞リンパ節や全身のリンパ組織に存在するリンパ球系細胞の悪性腫瘍である。病理組織学的所見から、Hodgkin病(HD)と非Hodgkinリンパ腫(NHL)とに大別される
多発性骨髄腫
(MM)
形質細胞免疫グロブリンを産生する形質細胞が全身性(主に骨髄)に増殖すため、正常免疫グロブリン産生の抑制による免疫能低下、造血能低下による貧血を生じるほか、骨融解がおこり、病的骨折や高Ca血症をきたすこともある
3)次の語を説明せよ。@一次造血(胎児型造血)、A二次造血(成体型造血)
   @一次造血は、体外の卵黄嚢にある血島で行われる造血で、胎生2週間ほどで始まり、ほとんどが赤芽球産生で、エリスロポエチン非依存性である。
   A二次造血には、胎児肝造血と骨髄造血がある。胎児肝造血は、胎生2〜7ヶ月にかけて行われるもので、赤血球を主体とした造血が行われる。一方の骨髄造血は、胎生4ヶ月頃から始まるもので、間葉系の細胞であるストローマ細胞を造血の場として、造血細胞が増殖・分化することによって造血が行われる。
4)次の血球の寿命と機能を記せ。@赤血球、A好中球、B単球、CTリンパ球、DBリンパ球、E血小板
 寿命機能正常値
赤血球約120日肺から体組織へ酸素を運搬する男:460〜570万/μl
女:390〜490万/μl


好中球血管内:6〜7時間
結合織中:1〜2日
走化性と貪食能を有し、侵入した細菌を貪食し生体を感染から守る総計で
3500〜7900/μl
好酸球結合織中:8〜10日寄生虫感染からの生体防御に働くほか、アレルギー性炎症反応を誘発する
好塩基球1〜2週間(?)外表面にIgEレセプターを持ち、肥満細胞と関連して、アレルギー性炎症反応に関係
単球24時間程度強い異物貪食作用をもち、抗原提示細胞としても働く
Tリンパ球4〜20年免疫応答の調節、液性因子の産生、標的細胞の直接的傷害(細胞性免疫)などを行う
Bリンパ球数十日抗原刺激により形質細胞に分化して、抗体を産生する(液性免疫)
血小板3〜10日止血機構に重要な役割を果たす13〜36.9万/μl
5)次の血球の減少による疾患をあげよ。@赤血球、A顆粒球、B血小板
@赤血球減少性疾患
巨赤芽球性貧血ビタミンB12または葉酸の欠乏により骨髄細胞のDNA合成に障害が起こり、骨髄に巨赤芽球が出現する貧血の総称
溶血性貧血何らかの機序によって赤血球崩壊が亢進した結果生じる貧血の総称。病因としては先天性のものもあれば後天性のものもある
赤芽球癆赤血球造血のみの選択的な低形成に基づく貧血症。病因としては先天性のものもあれば後天性のものもある
A顆粒球減少性疾患
顆粒球減少症
無顆粒球症
末梢血中の顆粒球(特に好中球)が減少(通常1500/μl以下)した状態を顆粒球減少症といい、減少が高度(500/μl以下)の場合を無顆粒球症という。原因としては免疫性のものと中毒性のものとがある
B血小板減少性疾患(血小板減少症)
特発性血小板
減少性紫斑病
(ITP)
血小板に対する自己抗体によって血小板数が減少し、出血傾向をきたす自己免疫疾患で、急性型と慢性型とがある。血液中の血小板は減少するが、骨髄での血小板産生は正常or亢進している
血栓性血小板
減少性紫斑病
(TTP)
未解明の原因による全身の細血管の血管内皮細胞傷害に起因する多発性の血小板血栓によって、血小板減少・細血管傷害性溶血性貧血・動揺する精神神経症状・腎障害・発熱の5徴候を表す重症疾患である
6)次の血球の増加による疾患をあげよ。@赤血球、A顆粒球、Bリンパ球、C血小板
@赤血球増加性疾患
真性赤血球増加症
(多血症)
赤血球数の絶対的増加と循環赤血球量の増加を示し、白血球数・血小板数の増加や脾腫を伴い、慢性に経過する骨髄増殖性疾患の1つ
A顆粒球増加性疾患
好中球増加症CML・真性赤血球増加症・骨髄線維症などの血液疾患や感染症、慢性炎症、外界刺激、薬剤、悪性腫瘍などにより、好中球数が7700/μlを超えた状態をいう
好酸球増加症アレルギ―性疾患や寄生虫感染、膠原病、血管炎などにより、好酸球数が500/μl以上になった状態をいう
慢性骨髄性白血病
(CML)
腫瘍化した造血幹細胞が、各血球系への分化・成熟能をもったまま異常増殖し、特に顆粒球系細胞の増加をきたす疾患である。慢性に経過するが、急性転化すると致死的となる
Bリンパ球増加性疾患
リンパ球増加症ウイルス感染症や細菌感染症などにより、リンパ球数が4000μl以上になった状態をいう
慢性リンパ性白血病
(CLL)
正常リンパ球と区別できない成熟した小リンパ球の形態を示す単クローン性のB細胞が、骨髄や末梢血で慢性的に増殖するために、白血球増多・リンパ節腫大・脾腫をきたす
成人T細胞白血病
(ATL)
末梢血に異常リンパ球が増加する予後不良の白血病/リンパ腫。HTLV-1感染によって引き起こされる
悪性リンパ腫リンパ節や全身のリンパ組織に存在するリンパ球系細胞の悪性腫瘍である。病理組織学的所見から、Hodgkin病(HD)と非Hodgkinリンパ腫(NHL)とに大別される
多発性骨髄腫
(MM)
免疫グロブリンを産生する形質細胞が全身性(主に骨髄)に増殖すため、正常免疫グロブリン産生の抑制による免疫能低下、造血能低下による貧血を生じるほか、骨融解がおこり、病的骨折や高Ca血症をきたすこともある
C血小板増加性疾患
本態性血小板血症
(ET)
基礎疾患がなく、通常、100万/μlを超える著明な血小板増加が長期間持続し、血栓や出血症状を伴う疾患。慢性骨髄増殖性疾患(CMPD)の1つ
7)次の血球または分子の量的または機能異常による疾患をあげよ。@ヘモグロビン、A免疫グロブリン軽鎖、B血液凝固第[因子、C血小板GPUb-Va(インテグリンαUbβV)
@ヘモグロビンの機能異常による疾患
異常ヘモグロビン症ヘモグロビンの構造遺伝子の異常によって、アミノ酸配列が正常とは異なるペプチド鎖が産生される疾患。多くは無症状であるが、溶血性貧血(鎌状赤血球症、不安定ヘモグロビン症)や酸素結合能異常(赤血球数増加をきたす異常ヘモグロビン症、メトヘモグロビン血症)を起こすものがある
A免疫グロブリン軽鎖の過剰による疾患
多発性骨髄腫
(MM)
骨髄腫細胞は同一の免疫グロブリンを産生するため、血中に大量の単クローン性の免疫グロブリン(M蛋白)を認める。これにより、過粘稠度症候群をきたすこともある。過剰に産生された免疫グロブリンのL鎖は2量体をつくり、Bence Jonesタンパク(BJP)となり、分子量が小さいため、糸球体基底膜を通過して尿細管を障害し、腎障害をきたす。L鎖の組織沈着によりアミロイドーシスを合併することもある
B血液凝固第[因子の欠乏による疾患
血友病A内因系凝固反応に重要な役割を果たす第[因子の活性の先天的欠乏により出血傾向をきたす疾患(第\因子の欠乏により同様の症状を起こすものを血友病Bという)。伴性劣性遺伝で、男性が発症し、女性は保因者となる
C血小板GPUb-Vaの量的または機能異常による疾患
血小板無力症血小板膜の糖蛋白(glycoprotein; GP)Ub/Va複合体の量的・質的異常に起因する血小板凝集能の障害による先天性出血性疾患で、常染色体劣性遺伝形式をとる。血小板の凝集は、血小板表面のGPUb/Vaにフィブリノゲンが結合し、血小板相互間を架橋することによって起こるが、血小板無力症では、GPUb遺伝子またはGPVa遺伝子の構造異常や点突然変異によってGPUb/Vaの欠損や機能異常をきたし、血小板凝集能が低下して、止血障害を起こす
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