| 正中神経 | 尺骨神経 | 橈骨神経 |
知覚支配 | | | |
運 動 支 配 | 前腕 | 円回内筋、長掌筋、橈側手根屈筋、浅指屈筋、長母指屈筋、深指屈筋(示・中指)、方形回内筋 | 尺側手根屈筋、深指屈筋(環・小指) | 腕橈骨筋、長橈側手根伸筋、肘筋、短橈側手根伸筋、総指伸筋、小指伸筋、尺側手根伸筋、回外筋、長母指外転筋、短母指伸筋、長母趾伸筋、示指伸筋 |
手内 | 第1・第2虫様筋、3つの母指球筋(母指対立筋・短母指外転筋・短母指屈筋) | ほぼすべて(第1・第2虫様筋、母指対立筋、短母指外転筋、短母指屈筋を除く) | − |
麻痺による 手の変形 | - 猿手
- 母指球筋の著明な萎縮がみられ、母指対立運動が不能となる
| - 鷲手
- 手の平坦化+環・小指のMP関節過伸展&PIP・DIP関節屈曲位
| - 垂手
- 手関節の下垂がみられる。低位麻痺では、手関節の背屈は可能であるのにMP関節の伸展が不能となる下垂指変形が起こる
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絞扼性 神経障害 | - 手根管症候群
- 手掌の手根管内での正中神経の絞扼によって起こる、絞扼性神経障害の代表的疾患。妊娠出産期と更年期の女性に多くみられる。手指(母指−環指橈側1/2)のしびれを訴える他、進行例では猿手変形や母指対立機能障害もみられる。両側性に発生することが多い
- 前骨間神経麻痺
- 知覚障害がなく、母指IP関節・示指DIP関節の屈曲が不能となり、perfect "O"テストにてtear drop signを呈する
- 回内筋症候群
- 回内外運動をくり返し行った際に、正中神経が円回内筋の二頭間で挟まれることがくり返されるために発生する
| - 肘部管症候群
- 肘関節内側を通過する尺骨神経が、骨棘や靭帯性組織、占拠性病変により圧迫を受けて、尺骨神経支配領域(環指尺側1/2と小指)のしびれや疼痛、筋力低下を引き起こすという症候群。まれに、小児期の上腕骨外顆骨折後の偽関節による外反肘が原因となることもある
- Guyon管症候群
- 手掌のGuyon管(尺骨管)における尺骨神経の絞扼によって起こる。原因には、ガングリオン、ハンマー作業による反復小外傷、尺骨動脈血栓などがある。症状としては、環指・小指のしびれや知覚障害、手の巧緻運動障害、手内筋の萎縮などが認められる
| - Saturday night palsy
- 上腕部の橈骨神経溝での橈骨神経の圧迫により生じる。橈骨神経麻痺の原因として最も多い。症状としては、手関節・手指の伸展ができず、下垂手を呈する
- 後骨間神経麻痺
- 肘関節より末梢のFrohseのarcadeの部位で橈骨神経の深枝が障害されて起こる。知覚障害はなく、垂手が症状として認められる。ガングリオンやMonteggia骨折、回外のくり返しにより発生する他、神経炎によるものもある
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