マラリア原虫   Plasmodium 属)

(1)生活史
      マラリア患者を吸血したハマダラカの刺咬によって、ヒトなどの脊椎動物の赤血球に胞子虫類のマラリア原虫が侵入することによって感染が起こる。血中に侵入したマラリア原虫は数分以内に肝臓に到着するが、5〜30時間、長い場合では数年〜数十年もの間、肝臓に潜伏し続ける。
   その後、マラリア原虫は、メロゾイトとして肝細胞を破って出てきて、赤血球上の特異的な受容体を認識して、一斉に赤血球内に入り込む。赤血球内に入り込んだマラリア原虫は赤血球型原虫へと発育し、激しく増殖する。この急性期の症状は、赤血球の破壊を伴った激しい悪寒と高熱で、熱帯熱マラリア以外のマラリアでは周期的な発熱が繰り返される。赤血球の破壊が進むと患者は貧血・脾腫を引き起こすが、熱帯熱マラリアの場合にはさらに脳症状や腎不全などの致命的な合併症を引き起こすことがある。
   血中に出てきたメロゾイトの一部はガメートとなり、ハマダラカの体内へ戻って有性生殖を行なう。ハマダラカの体内で10〜14日間を経ると、スポロゾイトになり、カの唾液腺に集まる。そのカの刺咬の際に血液中へマラリア原虫が注入され、また新たな感染が起こる。
 
(2)診断
      まず海外渡航歴を問う。熱帯地方に行ったことがあれば要注意である。確定診断は、血液塗抹標本を作製することによって行なわれる。
 
(3)治療
      基本的には以下の3つの薬を用いた薬物治療による。
キニーネ最も古くから用いられてきた薬剤だが、副作用が強い
クロロキン代謝ブロック剤で、赤血球型に効果を発揮する。しかし、最近、Ca2+-H+ATPaseをもったクロロキン耐性型のマラリア原虫が出現し、問題となっている
プリマキンクロロキンと似ており、肝臓型(赤血球外発育型)に効果を発揮する。しかし、GGPD欠損症の患者に用いてはいけない
 
(4)その他の留意事項
      熱帯熱マラリアにおける合併症がマラリア感染において一番恐ろしい。主な合併症としては、脳マラリア(昏睡になる)や急性腎不全、重症正球性貧血、肺水腫、低血糖症、ショック、DIC、ヘモグロビン尿症(黒水症)などがあげられる。
 
(5)予防
      マラリアのワクチン開発は非常に難しく、これが今後の課題となっている。ワクチン開発が難しい理由としては、@マラリア原虫が血液中に侵入してから肝臓に到達するまでの時間が数分と非常に短いこと、Aスポロゾイト→肝臓型→メロゾイト→赤血球型→ガメートと、めまぐるしく型を変えること、Bエフェクター機構が依然分かっていないこと、などがあげられる。
   実際には、クロロキンを週1回のペースで服用するなどして予防するが、クロロキン耐性のマラリア原虫もおり、基本的には予防は難しいので、罹ってからの対症療法が中心なのが現状である。



トリパノソーマ   Trypanosoma )

(1)アフリカトリパノソーマ
      ツェツェバエという吸血性のハエによって媒介され、リンパ節内で二分裂で増殖する。感染が成立すると数週間の潜伏期を経て倦怠感・疲労感・高熱の後、頚部リンパ節腫大・肝脾腫などの一連の症状が現れる。慢性化するとともに、原虫を食ったリンパ球の中枢神経血管周辺への浸潤が起こり、中枢神経系の血流が障害される。それにより脳の萎縮が起こり、末期にはアフリカ睡眠病という重篤な疾患を引き起こし、昏睡状態に陥り衰弱のために死亡する。
 
(2)クルーズ(アメリカ)トリパノソーマ
      吸血性昆虫のサシガメによって媒介・感染される。アフリカトリパノソーマ同様、リンパ節内で増殖し、心不全や消化器不全を引き起こす。最終的には、右脚ブロックを伴うシャーガス病に陥る。



蛔虫亜目

(1)蛔虫
      全世界とくに農村や湿潤な土地に分布する。これは糞便が肥料として用いられたり地表に放置されるためである。成虫は、小腸腔内に寄生し、雌は20〜30cm、雄は12〜20cmの体長で幅は4〜7mm。卵は、外界で4〜7週後に中に感染幼虫を形成し、野菜などに付着して経口摂取される。消化管(胃や小腸)で孵化が起こり、幼虫は腸壁内静脈やリンパ系などを経て、肺に至る。ここで幼虫は肺胞から気管・咽頭・食道を経て、再び小腸に至り定着する。この間幼虫は4回の脱皮を経て成虫となる。
   蛔虫症は、幼虫による病害(蛔虫性肺炎)と成虫による病害とに分けられる。前者は、多数の幼虫の肺通過に伴う広範な出血性肺炎で呼吸困難、咳、血痰が発現する。後者は、消化管障害が主で、アレルギー機序による痙攣、多数寄生による腸閉塞の他、迷入による胆道蛔虫症・蛔虫性虫垂炎などがある。
消化管寄生性の虫は一般に消化管の蠕動運動に抵抗するために、絶えず動いている。しかもなぜか狭い方へ狭い方へと進んでいく性質がある。この性質のことを迷入とよぶ。
 
(2)イヌ蛔虫
      生後1才未満の仔犬の体内で成虫にまで発育し、産卵した卵はイヌの糞便と共に排泄され、外界で10日前後かけて土壌中で成熟し、感染力を有する成熟卵となる。ヒトに経口感染した成熟卵は小腸で孵化して幼虫になり、腸管から血液中に入り全身の組織中に分散していく。イヌ回虫はヒトの体内では成虫にまで発育できないが、すぐ死ぬのではなく数年間は生存して組織中を動き回るため、ヒトの体組織を破壊していく。すなわち幼虫移行症が発症する。幼虫移行症の中でも視力低下・失明・眼球腫瘍を引き起こすこともある眼幼虫移行症や、肝腫大・肺炎・心筋炎・髄膜炎・痙攣など多彩な症状を呈する内臓幼虫移行症が特に重篤である。
   また、診断の上で好酸球値の上昇は重要である。
 
(3)アニサキス
      イルカなどの歯クジラ類が終宿主で、その胃内に寄生している。オキアミがイルカから出た卵を食べ、そのオキアミをスケソウダラ・スルメイカ・サバ(延長中間宿主とよばれる)が食べる。その間に幼虫は感染型幼虫にまで成長しており、これらの魚介類を生食することによって経口感染する。ヒトは終宿主ではなく(つまりヒトの体内ではずっと幼虫のままである)、体内に入った幼虫は胃や小腸の壁に穿入して、種々の幼虫移行症を引き起こすことになる。
   感染・感作の経験の有無によって、起こる症状が異なる。
   既に感染・感作の経験がある場合は、即時型過敏反応(T型アレルギー反応)を起こし、数時間以内に急性胃アニサキス症が、6〜12時間以内に急性腸アニサキス症が起こる。前者は上腹部不快感・疼痛を伴い、内視鏡検査で浮腫や出血斑が確認される。一方、後者は下腹部不快感・疼痛、悪心、腸閉塞を伴い(症状が盲腸炎と酷似)、時に急性腹部症として開腹手術が行われ、腹水、浮腫、発赤、虫体の穿通が観察される。本症が疑われれば、数時間〜12時間以内の生食歴の問診が重要である。
   一方、感染・感作の経験がこれまでなかった場合には、慢性(緩和型)アニサキス症が起こる。こちらの方は自覚症状がなく、肉芽腫が形成される。悪性腫瘍と間違って切ってしまうこともある。



旋尾線虫亜目

(1)バンクロフト糸状虫
      イエカによって媒介されるリンパ系寄生種である。急性期には発熱やリンパ管炎を伴うが、慢性化すると陰嚢水腫や乳糜尿、上下肢の象皮病が起こる。
 
(2)マレー糸状虫
      各種の蚊によって媒介されるリンパ系寄生虫。バンクロフト糸状虫同様、急性期には発熱やリンパ管炎を伴う(ただし、バンクロフト糸状虫感染時より著明かつ頻回)が、慢性期の泌尿生殖器系の症状がないという点が大きく異なる。
 
(3)オンコセルカ糸状虫
      吸血性昆虫のブユによって媒介される皮下寄生種。真皮層に寄生しており、種々の皮膚症状や腫溜を呈する。その他、幼虫が眼に入り込む場合があり、失明を引き起こす(河川盲目症とよばれる)。
 
(4)有棘顎口虫
      ライギョ・ドジョウ・コイなどの淡水魚が媒介しており、これらの生食によって経口感染する。ヒトの体内ではずっと幼虫のまま(幼虫移行症)で、幼虫が消化管→肝臓→皮膚と移動していくことにより、肝障害や皮膚腫脹、皮膚爬行疹が起こる。
 
(5)剛棘顎口虫
      輸入ドジョウによって媒介されているといわれ、ドジョウの踊り食いにより経口感染する。症状は有棘顎口虫の場合とほぼ同じである。
 



その他の線虫類

(1)広東住血線虫
      太平洋・東南アジア各地に広く分布。テナガエビなどの生食により経口感染した幼虫は、血行性に頭蓋内に入り、脳、クモ膜下腔に寄生し、好酸球性髄膜脳炎を起こす。潜伏期間は、約2週間で激しい頭痛、項部強直、悪心、知覚異常、昏睡を来たす。無熱のことが多く、2〜4週後には症状は軽減することが多い。
 
(2)ズビニ鉤虫・アメリカ鉤虫
      感染幼虫は経口的(ズビニ鉤虫)もしくは経皮的(アメリカ鉤虫)に人体に侵入、後者では、幼虫の肺循環の後に、両種とも小腸粘膜に定着する。それぞれ特徴的な歯牙、歯板を有し小腸粘膜に咬着し吸血を続ける。このため、鉤虫性貧血が主症状として現れる。
 
(3)コスタリカ住血線虫
      中米で特に小児に多い。盲腸、虫垂付近の腸間膜動脈に寄生し、右下腹部の腫溜(肉芽腫)の原因となる。
 
(4)旋毛虫
      ヒトは、ブタ、クマの肉をソーセージまたは生食して被嚢幼虫を摂取することが多い。体内に入り込んだ幼虫は、血行性に全身に散布され、横紋筋内で定着、被嚢する。そのため、筋炎や筋の疼痛を訴える場合が多い。
 
(5)糞線虫
      特異な生活史をもつ線虫で、自由生活世代が見られる。ヒトへの感染は経皮感染で、感染幼虫は血行性に移動していき、最終的に小腸の粘膜内に定着する。そのため、反復する下痢を主症状とし、腹部膨満感、食欲不振、体重減少などをきたす。熱帯・亜熱帯に高率に感染者が見られるが、特に成人T細胞白血病(ATL)抗体陽性者に本虫感染者が高率に見られることが注目されている。



吸虫類

   人体寄生の吸虫類は、住血吸虫を除けば雌雄同体で扁平な楕円形の葉状を呈する。卵は外界で発育して有毛幼虫が水中に遊出し、第1中間宿主の貝の中で胞子嚢虫、娘胞子嚢虫、レジア幼虫、有尾幼虫(セルカリア)と発育し、第2中間宿主に移動して被嚢幼虫(メタセルカリア)となってヒトに感染する。
   種によって発育はこの基本形と大きな差を示すものもある。人体内の寄生部位や症状も種によって異なり、いずれも重い感染を起こすと重篤な疾病を起こすので、種によって検出法を工夫し、血清学的診断も併用し、適切な治療を要する。
 第1中間宿主第2中間宿主終宿主寄生部位
肝吸虫マメタニシコイ科の淡水魚ヒト・ネコ肝臓


ウェステルマン肺吸虫カワニナサワガニ
モクズガニ
ヒト・ネコ肺臓
宮崎肺吸虫アキヨシホラアナミジンニナ
横川吸虫カワニナ属の貝アユヒトなど消化管



日本住血吸虫ミヤイリガイヒト門脈など
静脈系
マンソン住血吸虫ヒラマナガイ科の貝ヒト
ビルハルツ住血吸虫ヒトなど
(1)肝吸虫
      アジアに分布する長さ1〜2cmの吸虫でヒトの肝に寄生する吸虫。日本でも河川や沼沿いに小流行地が点在している。
   第1中間宿主は、マメタニシで、これから出た有尾幼虫は、第2中間宿主であるコイ科(モツゴ、モロコ、フナ、コイ)の淡水魚の中でメタセルカリアとなり、終宿主であるヒトやネコに経口感染する。小腸に至り、そこでメタセルカリアの脱嚢が起こる。
   脱嚢した幼虫は胆汁を感知して、胆道→胆嚢・肝臓へ移動していく。そこで成虫になるため、多数寄生すると胆管流通障害により、肝の限局性壊死、黄疸、肝細胞の変性、葉間結合組織の増殖、肝硬変に進展する。
   検便により容易に診断でき、プラジカンテルの投与により治療を行なう。淡水魚の生食を避けることにより予防することもできる。
 
(2)肺吸虫
  @ウェステルマン肺吸虫
      日本、韓国、中国などで人体感染が多数見られる。日本では、第1中間宿主はカワニナで、ヒトはモクズガニ、サワガニからメタセルカリアの経口感染による。小腸で脱嚢した後、幼虫は腹腔の筋→横隔膜→肺へと至り、そこでペアを作って生殖を行なう。
   肺でペアをつくることができなかった吸虫は、パートナーを探して動き回ることになる。そのため、肺胞・胸膜を破って移動していくことによる気胸、胸水貯留が起こる他、重篤な例としては、脳への迷入による脳肺吸虫症が起こることもある。
  A肺吸虫
      第1中間宿主はアキヨシホラアナミジンニナで、第2中間宿主はモクズガニ、サワガニである。ヒトは好適宿主ではなく、終宿主は不明である。たとえヒトへの感染が起こって、肺に到達しても、気胸や胸膜炎(さらに進んで胸水貯留)を引き起こす程度で、肺の外へ移動していくことはない。皮内反応とよばれる即時反応で簡単に診断でき、プラジカンテル投与による治療が可能である。
 
(3)横川吸虫
      小型の吸虫で、卵は第1中間宿主のカワニナ属の貝に食べられ、卵内のミラシジウムが孵化し、胞子嚢、レジア、娘レジアを経て有尾幼虫となり、貝から遊出してアユなどの淡水魚に入り、メタセルカリアを形成する。ヒトは主にアユから経口感染する。
   成虫は、小腸上部の粘膜に寄生し、軽い腹痛、下痢を伴う。多数の寄生では消化器系の障害を起こす。日本ではアユの産地で多発する。
 
(4)住血吸虫
      人体寄生の住血吸虫の成虫は静脈血管内に住み、ヒトに重篤な障害を起こし、世界中で2億人ほどの感染者のいる重要な寄生虫である。住血吸虫は、吸虫の中では変わった種で、成虫は雌雄異体で、雌は雄に抱かれた形で血管内に住む。卵は便か尿に排泄され、中からミラシジウムが遊出し、中間宿主の淡水産の貝に入り、セルカリアに発育する。貝から出たセルカリアは第2中間宿主はとらず、終宿主に経皮的に感染し、寄生性の幼住血吸虫となり、肺を経て寄生部位に至る。
   卵の形によって以下の3種に分類することができる。
  @日本住血吸虫
      アジアに分布する。あっという間に経皮感染を起こし、肺を通過して、肝門脈内で成虫になる。初期(前駆期)は、感染時のセルカリア皮膚炎、微熱、咳などが見られるが、急性期になると、散卵による悪寒を伴った高熱、肝腫大が起こる。さらに、慢性期になると、虫卵の栓塞・虫卵結節による肝の線維化、ひいては肝硬変が起こり、門脈圧の亢進による脾腫、腹水貯留が見られるようになる。
  Aマンソン住血吸虫
      中南米とアフリカに分布する。日本住血吸虫感染時に似た肝腸管系障害を起こすが、毒性が弱く、症状は一般的に軽いといわれる。
  Aビルハルツ住血吸虫
      アフリカに分布する。経皮感染により体内に入り込んだ幼虫は、膀胱静脈叢に行って、そこで成虫になる。膀胱壁に産卵するため、血尿や膀胱炎をはじめとする膀胱系障害を引き起こす。フィルターで尿を濾過することにより診断できる。



条虫類

   条虫綱に属する寄生虫で、大別して擬葉目(広節裂頭条虫や大複殖門裂頭条虫など)と円葉目(無鉤条虫や有鉤条虫など)とエキノコックス(多包条虫や単包条虫など)に分けられる。消化管がなく、体表面全体から栄養を吸収している。一般に頭部と尾部の区別がはっきりしていて、片節が多数見られる。

(1)広節裂頭条虫(日本海裂頭条虫)
      体長最大10mに達する長大な寄生虫。世界に広く分布し、日本でも魚類を生で食べる習慣があるため古くから感染が見られた。第1中間宿主はケンミジンコで、第2中間宿主はサクラマスである。終宿主のヒトには、サクラマスの生食、スモークサーモンなどにより経口的にプレロセルコイド(擬充尾虫)の形で感染が起こり、小腸上部で急速に発育する。下痢や腹部不快感、体重減少、腸閉塞などの消化器症状が起こる他、疲労倦怠感やめまい、寒気といった神経症状を伴う場合もあるが、自覚症状のない例も多い。
   排便時長い虫体が肛門より懸垂し、患者が不安に陥るときがある。診断は肛門よりの排出体節および糞便中の虫卵の検査による。
 
(2)大複殖門裂頭条虫
      広節裂頭条虫と非常に似ている。相違点は、第2中間宿主(アジ・サバなどが疑われている)と各片節に1対の生殖器が見られる点くらいである。
 
(3)無鉤条虫
      全世界に分布し、牛肉に含まれた嚢尾虫を食べて感染する。成虫の全長は4〜10mと非常に大きく、数千の片節を有する。片節は厚く、活発に運動するため、患者が肛門から排泄した片節で感染に気づく場合もあるが、無症状で気づかないことも多い。症状はあったとしても軽い倦怠感と体重減少くらいである。
   診断は、普通便内に虫卵が認められない(←体内で卵を撒き散らすことがない)ため、排泄された片節の確認による。
 
(4)有鉤条虫
      中間宿主はブタやイノシシであり、感染したブタを食べることによりヒトへの感染が起こる。成虫は、小腸に寄生して消化器症状を引き起こす。成虫感染による症状は、基本的に無鉤条虫症に同じであるが、嚢虫症を伴う場合がある。嚢虫症とは、腸内で卵が放出されることによって、皮下・筋・脳に嚢虫ができる症状のことである。
   嚢虫のつまる部位によってさまざまな症状が起こる。嚢虫が脳につまると、致命的な意識混濁を伴う脳神経障害が起こり、脈絡膜血管につまると視野異常・視力喪失、皮下につまると結節や隆起が生じる。
 
(5)多包条虫
      北海道で問題になっているエキノコックスの1種。中間宿主はノネズミで、終宿主がキタキツネやオオカミである。ヒトへは卵の経口感染により、体内に侵入した卵は血行性に移動し、肝臓・脳・肺・腎臓などの臓器にトラップされて、そこでスポンジ状の微小嚢包集塊を形成する。治療法としては外科的に切除するしかないが、それすら難しい場合が多い。潜伏期が10〜20年ときわめて長く、その間徐々に大きくなっている。
 
(6)単包条虫
      ヒツジやヤギを中間宿主とし、イヌを終宿主とするエキノコックス。オーストラリアやモンゴルなどの牧畜業の盛んな国で発生が見られる。経口感染によって体内に侵入した卵は、臓器にトラップされて、そこで単発性嚢包を形成する。前述の多包条虫による微小嚢包集塊よりも切除しやすい。
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