体性感覚
感覚の分類
   感覚は以下のように分類される。
感覚の分類
体性感覚の受容器
   体性感覚のうち、触覚は機械受容器(毛包受容器・Merkel小体・Meissner小体・Pacini小体・Ruffini小体)に、温度感覚は寒冷温度受容器および温暖温度受容器に、固有感覚(位置覚・振動覚)は固有受容器(筋紡錘・Golgi腱器官)に、皮膚痛覚は侵害受容器によって感受され、いくつかの神経を乗り換えながら大脳や小脳に伝えられる。
体性感覚の受容器のまとめ
感覚受容器分布特徴1次ニューロン



毛包受容器毛のある皮膚の毛包急速順応性、狭い受容野、低周波数の刺激に反応(速度センサー)原始的触覚(刺激強度や局在があまり分からず、感情と関係する)は末梢神経のC線維(IV求心性神経線維)から脊髄視床路に伝わる。一方、識別性触覚(刺激の強度や正確な局在が分かる)は末梢神経のAβ線維(II求心性神経線維)から脊髄後索に伝わる
Meissner小体毛のない皮膚の真皮急速順応性、狭い受容野、低周波数の刺激に反応(速度センサー)
Merkel小体毛の有無にかかわらず皮膚の真皮に広く存在緩徐順応性、点状の狭い受容野、圧に感応
Paccini小体皮下組織急速順応性、広い受容野、高周波数の刺激に反応(振動・加速度センサー)
Ruffini小体皮下組織緩徐順応性、広い受容野、圧(特に伸展)に感応

寒冷温度受容器皮膚0〜35℃の間での皮膚温の変化に反応自由神経終末から出る神経線維は有髄のAδ線維と無髄のC線維で、後根神経節に細胞体があり、同側の脊髄後角のニューロンにシナプス結合する

温暖温度受容器30〜45℃の間での皮膚温の変化に反応










一次終末横紋筋線維と平行して存在Ia求心性神経線維(Aα線維)は動的感受性と静的感受性の両方をもっており、脊髄前角でγ運動ニューロン・α運動ニューロンとシナプスを形成している。筋肉の伸張がおこると、Ia線維が興奮し、α・γ両運動ニューロンの興奮および抑制性介在ニューロンを介した拮抗筋のα運動ニューロンの抑制がおこる。γ運動ニューロンの興奮によって、錘内線維は収縮し、筋紡錘の伸張に対する感受性が調節される。また、協同筋のα運動ニューロンの興奮および拮抗筋のα運動ニューロンの抑制によって、協同筋の収縮・拮抗筋の弛緩がおこり、伸張反射が完成する
二次終末II求心性神経線維(Aβ線維)は静的感受性しかもたない。筋肉が伸張し続けている状態にある時にのみ興奮し、脊髄に伝える
Golgi腱器官筋肉と腱の間の筋腱接合部筋肉が収縮すると、Golgi腱器官の中の膠原線維が伸張され、Ib求心性神経線維が興奮し、脊髄後角に伝えられる。Golgi腱器官のIb線維は筋紡錘のIa線維よりも閾値が高く、伸張反射には関与しない



侵害受容器皮膚第1痛覚(刺痛)はAδ線維で伝えられ、第2痛覚(灼熱痛)はC線維で伝えられる。Aδ線維は機械的な侵害刺激に反応するもので、反応時間が非常に早く、脊髄後角のI板・V板に終わる。一方のC線維は多種類の侵害刺激に反応するもので、反応時間が遅く、脊髄後角のI板・II板に終わる。脊髄後角への求心性侵害受容線維は、脊髄に入ってから枝分れし、一部はその髄節の後角にシナプス結合するが、一部はLissauer路を1〜数髄節上行してから後角にシナプス結合する。
I板とII板の求心性侵害受容線維は、Aα求心性線維によって刺激されたIV板の抑制性介在ニューロンにより抑制を受けることがある。これは痛覚のゲートコントロールとよばれる現象で、Aα求心性線維を刺激することによって、Aδ線維・C線維からの痛覚刺激が脊髄視床路に伝わるのが抑制されることになる。日常生活においても、虫刺されの際に皮膚をこすると痛みが和らぐということから経験されることである。




侵害受容器
 
内臓
生理学的受容器生理学的受容器には、急速順応性機械受容器・緩徐順応性機械受容器・圧受容器・化学受容器・浸透圧受容器・温度受容器などたくさんの種類がある。内蔵からの求心性線維は交感神経あるいは副交感神経(迷走神経・骨盤神経)であり、内臓神経または心臓神経を通って、交感神経幹に入り、脊髄神経と合流して後根神経節に向かう。後根神経節から脊髄に入った侵害受容線維の多くは脊髄後角のI板・V板に終わる
末梢神経線維の種類
   末梢神経の線維はAα線維・Aβ線維・Aγ線維・Aδ線維・B線維・C線維に分けられる。脊髄後根の線維はIa求心性神経線維・Ib求心性神経線維・II求心性神経線維・III求心性神経線維・IV求心性神経線維に、脊髄前根の線維はα運動ニューロン・γ運動ニューロンに分けられる。対応関係は以下の表のようになる。
末梢神経線維の種類
線維種類直径伝導速度前根の線維後根の線維
有髄13〜22μm70〜120m/sα運動ニューロン
   前角→錘外線維

 
Ia求心性神経線維
   筋紡錘の一次終末→前角
Ib求心性神経線維
   Golgi腱器官→前角
8〜13μm40〜70m/s II求心性神経線維
   筋紡錘の二次終末・
   皮膚の機械受容器→後角
4〜8μm15〜40m/sγ運動ニューロン
   前角→錘内線維
 
1〜4μm5〜15m/s III求心性神経線維
   温痛覚→後角(I・V板)
B1〜3μm3〜14m/s交感神経節前線維
   側角→交感神経節
副交感神経節前線維
   側角→神経節
 
C無髄〜1μm〜2m/s交感神経節後線維
   交感神経節→臓器
 
IV求心性神経線維
   温痛覚・原始的触覚
               →後角(I・II板)
   末梢神経は、脳神経と脊髄神経に分けられる。脳神経は左右12対あり、脊髄神経は左右31対ある。31対の脊髄神経の内訳は、頸髄神経:8対、胸髄神経:12対、腰髄神経:5対、仙髄神経:5対、尾骨神経:1対となっている。
上行路
   上行路には、大脳に感覚を伝える後索内側毛帯路・脊髄視床路と小脳に感覚を伝える脊髄小脳路の他に、脊髄視蓋路・脊髄オリーブ路・脊髄網様体路(シナプスを介して小脳に連絡するため、これら3経路をあわせて間接脊髄小脳路という)・三叉神経視床路などがある。
大脳へのおもな上行路(後索内側毛帯路・脊髄視床路)
上行路後索内側毛帯路脊髄視床路(内側・外側)
伝える感覚意識的な固有感覚
識別性触覚
温度覚・痛覚(内臓痛も含む)
原始的触覚
伝える部位顔面顔面






1次軸索同側の後索を上行同側の橋に入る同側の脊髄後角に終わる橋に入った後、同側の三叉神経下行脊髄路を下行
2次細胞体薄束核(下肢)
楔状束核(上肢)
@延髄
三叉神経主感覚核
@橋
I・III・IV・V板
@脊髄後角
三叉神経脊髄路核
@延髄・橋
軸索延髄で交叉して反対側の内側毛帯を上行すぐに交叉して反対側の内側毛帯を上行交叉して、反対側の内側・外側脊髄視床路を上行交叉して、反対側の三叉神経腹側二次上行路を上行
3次細胞体視床VPL核視床VPM核視床後腹側核視床VPM核
軸索大脳皮質の体性感覚野へ
小脳へのおもな上行路(4つの脊髄小脳路)
上行路背側脊髄小脳路腹側脊髄小脳路吻側脊髄小脳路楔状束核小脳路
伝える感覚無意識な固有感覚






1次神経線維筋紡錘からのIa求心性線維
細胞体後根神経節
軸索α運動ニューロンにシナプス結合したり、抑制性介在ニューロンにシナプス結合したりするものが多いが、一部は同側の脊髄前角のVII板にあるClarke背側核に終わる脊髄の後根から入って、楔状束を上行
2次細胞体Clarke背側核(C8〜L3Clarke背側核の吻側にある細胞(頸髄)副楔状束核
軸索同側の背側脊髄小脳路を上行し、下小脳脚を通って同側の小脳に至る交叉して、反対側の腹側脊髄小脳路を上行し、上小脳脚を通って小脳に至る。多くの線維は小脳に入ってから交叉し、起始細胞と同側の小脳に終わる同側の吻側脊髄小脳路を上行し、上小脳脚または下小脳脚を通って、同側の小脳に終わる(腹側脊髄小脳路の上肢用の路に相当する)同側の楔状束小脳路を上行し、下小脳脚を通って同側の小脳に終わる(背側脊髄小脳路の上肢用の路に相当する)
その他の上行路
上行路間接脊髄小脳路三叉神経視床路
脊髄視蓋路脊髄オリーブ路脊髄網様体路
伝える感覚と
関与する現象
痛覚(痛覚に対する頭部の反射に関与)触覚(下小脳脚を通って小脳に情報を送り、運動学習の過程に関与)自律神経からの内臓痛を伝えるほか、下小脳脚を介して小脳と連絡することにより覚醒に関与している顔面の体性感覚






1次軸索同側の脊髄後角に終わる脳幹に入る
2次細胞体脊髄後角三叉神経核
軸索交叉して、反対側の外側脊髄視床路のそばを上行し、上丘に終わる交叉して上行し、延髄の下オリーブ核に終わる脊髄の両側を上行する多シナプス経路で、脳幹網様体に至る腹側・背側三叉神経視床路に分かれて上行し、視床に至る
頸髄上部における上行路
   ここで挙げた経路以外にも痛覚の経路として脊髄中脳路や頸髄視床路などがあるが、マニアックすぎるので、省略する。
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