大脳辺縁系
概観
   大脳辺縁系は、海馬体・扁桃体・辺縁葉を含む。海馬体は、系統発生学的には古皮質であり、海馬・歯状回・海馬支脚を含む。扁桃体は、系統発生学的には嗅皮質である。辺縁葉は、系統発生学的には中間皮質であり、帯状回・海馬傍回・脳梁下回を含む。
   Papez回路は、海馬体 −(海馬采・脳弓を通る)→ 乳頭体 −(乳頭体視床路を通る)→ 視床前核 → 帯状回 → 海馬傍回 → 海馬体を結ぶ回路で、情動に関与する。辺縁系はPapez回路を含み、情動・本能などに関与するほか、恐怖・攻撃・性行動・快楽反応にも関与する。
海馬体
   海馬体は、海馬・歯状回・海馬支脚を含む。海馬傍回とは、海馬のすぐ隣りの回で、海馬支脚と嗅内皮質を含む。
   海馬アンモン角(CA)ともよばれ、海馬傍回に近い側からCA1・CA2・CA3の3つの部分に分けられる。海馬と歯状回は古皮質であり、3層構造になっている。海馬は分子層・錐体細胞層・多形細胞層の3層構造で、歯状回は分子層・顆粒層・多形細胞層の3層構造になっている。
海馬体の構造
   また、海馬の線維連絡をまとめると、以下の図のようになる。
海馬の線維連絡
中隔核
   中隔核は終脳の小さな部位で、大脳半球の内壁にあり、前交連の前方で、側脳室の内側に位置する。中隔核は、右図に示すように、海馬・視床下部と相互に連絡しており、扁桃体・帯状回からの連絡を受けている。
   中隔核は楽しい感覚に関与する神経核とされ、破壊すると怒りに対する抑制がなくなってしまう。
中隔核の線維連絡
扁桃体
   扁桃体は、側頭葉の鉤の深部にあるアーモンド形をした核の集合である。扁桃体は、機能的に基底外側部・皮質内側部・中心核の3つの部位に分けられる。扁桃体は、下図に示すように、大脳皮質や嗅球と相互に連絡しており、視床下部や脳幹の自律神経中枢に線維を出しており、自律神経の調節に大変深くかかわっている。
扁桃体の線維連絡
帯状回
   帯状回は、脳梁膨大の外側にあり、海馬傍回とつながっている。帯状回と海馬傍回は、帯状束で連絡する。帯状回は海馬と同じく3層構造である。
   帯状回はPapezの回路の一部で、情動と関係する。帯状回を刺激すると、自律神経や行動の変化が見られる。
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