頭部(8)〜耳〜

facial nerve
   (CN VII)
顔面神経橋下部の被蓋から起こり橋の後縁で脳を出る.頭蓋腔を出て内耳道を通り,そこで中間神経と合流し,側頭骨錐体部の顔面神経管を通り茎乳突孔を抜けて出る.耳下腺を通って耳下腺内神経叢をつくり,ここから多数の枝が出て顔面筋に至る
vestibulocochlear nerve
   (CN VIII)
内耳神経膜迷路の受容器細胞を支配する複合知覚神経.解剖学的,機能的に明確な2部分,前底神経,蝸牛神経から構成されており中枢のそれぞれ異なったところと連絡している
internal acoustic meatus
   [internal auditory meatus]
内耳道内耳道口から側頭骨錐体部を通って,薄い骨板によって前庭と境を接する内耳道底に至る管で,迷路動脈および静脈とともに顔面神経,内耳神経が通る
geniculate ganglion膝神経節顔面神経または中間神経上にみられる神経節.顔面神経管の膝部にあり,舌の前2/3にある味蕾よりの知覚性線維およびごくわずかの外耳からの線維を含む中間神経の神経節
nervus intermedius中間神経膝神経節中に細胞体があり舌の前2/3の味覚を伝える感覚線維と上唾液核からの副交感性節後線維からなる顔面神経の1根で,鼓索神経を経て舌神経に合流する線維
cochlear nerve蝸牛神経内耳神経のうち蝸牛根より末梢の部分で,らせん神経節の双極細胞の中枢性突起からなる.この神経節の末梢性突起はらせん器の4列の有毛細胞(神経上皮細胞)に分布する
vestibular nerve前庭神経内耳神経のうち前庭根より末梢の部分.半規管膨大部・球形嚢斑・卵形嚢斑の有毛細胞に終わる神経や前庭神経節の双極細胞の突起からなる
arcuate eminence弓状隆起側頭骨の錐体前面にある隆起で,前骨半規管の位置を示す
tegmen tympani鼓室蓋側頭骨錐体の薄くなった前面で構成される鼓室の天蓋.その前縁は錐体鱗裂にさし込まれるので,これが楔のようになって鱗鼓室裂と錐体鼓室裂とに分けているようにみえる
tympanic cavity鼓室側頭骨中にあって耳小骨を収容する外気とつながった腔所.粘膜で覆われ,前方は耳管に,後方は乳突洞や乳頭蜂巣に続いている
mastoid antrum乳〔様〕突〔起〕洞後方で乳突蜂巣とつながり,前方では洞孔を経て中耳の上鼓室陥凹とつながる側頭骨錐体部の空洞
petrous portion of temporal bone側頭骨錐体部側頭骨のうち内耳や内頸動脈の第2部を収容している部分.胎児期に独立した骨化の中心から発生してくる
middle cranial fossa中頭蓋窩蝶の形をした内頭蓋底の陥凹で,前は蝶形骨稜と蝶形骨縁,後ろは側頭骨錐体部稜と鞍背に囲まれる領域.ここには両外側に側頭葉,中央に脳下垂体が収まる
carotid wall〔鼓室〕頚動脈壁鼓室の前壁。耳下腺管と耳管口がある
mastoid wall〔鼓室〕乳突壁鼓室の後壁。乳突洞口を含む
tympanic membrane鼓膜鼓室の外側壁の大部分を形成し,鼓室と外耳道を分けている薄い緊張性の膜.外耳と中耳の境界を構成する.両面とも上皮で覆われ,緊張部は,外側は放射状に,内側は輪状に走る膠原線維の中間層をもつ
labyrinthine wall〔鼓室〕迷路壁鼓室の内側壁。頚静脈窩と鼓室を分ける薄い骨板
promontory鼓室岬角中耳の迷路壁にみられる丸い隆起で,蝸牛の基部にあたる
cochlea蝸牛(うずまき管)側頭骨錐体部にある円錐形の空洞で,迷路すなわち内耳の一部を形成する.これは海綿質骨の蝸牛軸の周りを2回半回るらせん状の管で,内部に膜性蝸牛とらせん器(Corti器)を有する蝸牛管がある
roof of tegmen tympani鼓室蓋壁側頭骨の鼓室蓋でできている鼓室の上壁あるいは天井
jugular wall〔鼓室〕頚静脈壁鼓室の床。頚静脈窩と鼓室を分ける薄い骨板
recess of tympanic cavity鼓室上陥凹鼓膜上縁の鼓室上部にあり,ツチ骨頭とキヌタ骨体とがはまり込む
air cells耳管蜂巣細胞鼓室と交通する鼓室口近くの耳管下壁にときにみられる小蜂巣細胞
mucous membrane鼓室粘膜鼓室とその内部構造の粘膜層。鼓室の下壁を形成
auditory ossicles耳小骨中耳の小骨.これらの小骨は鼓膜から前庭窓へ音を伝達するために互いに関節により結び付いている
malleusツチ骨3つの耳小骨中最大のもので,槌よりもむしろ棍棒に似ている.ツチ骨頭の下にツチ骨頚があり,そこからつち骨柄と細長い前突起が分岐し,底部の柄から短い外側突起が出る.ツチ骨柄と外側突起は鼓膜に固く付着し,ツチ骨頭はキヌタ骨体のサドル形の面と関節をなす
incusキヌタ骨中耳にある3個の耳小骨のうち中央のもの.体と2個の脚または突起(キヌタ骨長脚,キヌタ骨短脚)を有する.長脚の先端には小頭(豆状突起)があり,アブミ骨頭と連結する
stapesアブミ骨3つの耳小骨のうち最小のもの.底部すなわち足片は前庭(卵形)窓にはまり,頭部はキヌタ骨の長肢の豆状突起と関節で結合する
inner ear内耳迷路ともいう。半規管,前庭,蝸牛管を含む
osseous bridge 耳小骨相互間には関節と靭帯がみられる
chorda tympani nerve鼓索神経鼓室にみられる索状の神経線維であるが,実際は顔面神経管内の顔面神経から分枝した神経である.この神経は鼓索の後細管を通り鼓室内に入り,鼓膜の辺りでツチ骨柄を通り越し錐体鼓室裂内の鼓索の前細管を通り,側頭下窩で下顎神経の舌神経に合す.この神経は舌の前2/3から味覚情報を伝え,また顎下腺と舌下腺を支配している顎下神経節への副交感性神経節前線維を含む
tympanic plexus of nerves鼓室神経叢鼓室迷路壁の岬角上にあり,鼓室神経,顔面神経の吻合枝,および内頚動脈神経叢からの交感神経枝によって形成される神経叢.中耳,乳突蜂巣,耳管に分布し,浅錐体神経を耳神経節に送る
tympanic nerve鼓室神経舌咽神経の下神経節から出る神経.鼓室小管を通って鼓室にはいり鼓室神経叢となり,鼓室,乳突蜂巣,耳管の各粘膜に分布する.副交感性節前線維も鼓室神経を経て,浅小錐体神経を通り耳神経節にはいり節後線維とシナプスした後に耳下腺に分布する
glossopharyngeal nerve舌咽神経延髄の吻側端から出て頚静脈孔を抜け,咽頭と舌の後部1/3に感覚枝を送る.また運動性線維を茎突咽頭筋に,副交感神経節前線維を耳神経節に送る
tympanic canaliculus鼓室神経小管側頭骨錐体部の下面から始まり,頸静脈管と頸動脈管の間のV字形の骨を通り,鼓室底に達する細管.舌咽神経の鼓室枝が通る
fenestra cochlea
(round window)
蝸牛窓(正円窓)中耳の内壁にある孔で,蝸牛に開くが,生体では第2鼓膜によって閉ざされる
bony semicircular canals骨半規管耳の迷路にある3本の骨管で,内部に膜半規管がある.互いに直交する平面に位置し,anterior semicircular canal(前半規管),posterior(後),lateral(外側)に区別される
prominence of lateral semicircular canal外側半規管隆起外側半規管の接近に起因する鼓室上陥凹の内側壁の軽度の膨隆
prominence of facial canal顔面神経管隆起顔面神経管の存在によって生じる前庭(卵円)窓の上の鼓室の内側壁の隆起
fenestra vestibulae
(oval window)
前庭窓(卵円窓)鼓室の内側壁の卵形開口で,前庭に通じ生体ではあぶみ骨底によって閉ざされる
foot-plate of stapesアブミ骨底前庭窓に嵌合するアブミ骨の平らな部分
external acoustic meatus外耳道側頭骨の鼓室部を通して耳介から鼓膜へ至る通路で,骨性(内側)部分と線維軟骨性(外側)部分すなわち軟骨性外耳道cartilaginous external acoustic meatusからなる
bony portion外耳道骨部外耳道の内側2/3を占め,側頭骨鼓室板として形成されている.外耳道軟骨との連結部から鼓膜まで約16mmである
cartilaginous portion外耳道軟骨部外耳道側壁を形成する軟骨.上部の開いた溝の形をなし内端では骨性外耳道壁と固く結合する
tensor tympani muscle鼓膜張筋起始:耳管(Eustachio管)の軟骨部分と骨部の真上の半管壁.停止:ツチ骨柄の底部.神経支配:耳神経節を通る三叉神経枝(鼓膜張筋神経).作用:ツチ骨柄を内側に引き,鼓膜を緊張させて大きな音による過度の振動から守っている
internal carotid artery内頚動脈第4頚椎の高さで甲状軟骨上縁の対側の総頸動脈より始まり,中頭蓋窩で終わり,前・中大脳動脈に分かれる
auditory tube耳管鼓室から鼻咽腔へ通じる管.鼓室端の骨部(後外側部)と,咽頭端の線維軟骨部(前内側部)からなる.蝶錐体裂でそれらが連結し,管の最細部(峡)にあたる.耳管は鼓室内圧と大気圧を均衡させ,その際通常ポップ音が聴取される
mandibular fossa下顎窩頬骨弓根部の側頭骨鱗部にある深い凹窩で,下顎頭が入る
petrotympanic fissure錐体鼓室裂側頭骨の鼓室部と錐体部との間の裂溝.鼓索神経が鼓索の前細管へ通っている
anterior tympanic artery前鼓室動脈顎動脈より起こり,中耳に分布する.内頸動脈・上行咽頭動脈・茎乳突孔動脈の鼓室枝と吻合
infratemporal fossa側頭下窩頭蓋両側にある空間.外側を頬骨と下顎枝,内側を翼状板,前方を上顎の頬骨突起,後方を側頭骨の関節隆起と外側翼状板の後方縁,そして上部を側頭鱗と蝶形骨の大翼上にある側頭下稜によってそれぞれ取り囲まれている
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