細菌の形態的観察 |
染色法 | 染色液 | 備考 |
グラム染色 | @石炭酸ゲンチアナ紫液→Aルゴール液→(エタノール処理)→Bフクシン希釈液 | グラム陽性菌は紫色に染まる。Bはグラム陰性菌に色をつけるための後染色(グラム陰性菌と分かっている場合は、B処理のみを行えば染まる) |
芽胞染色 | @クロム酸水溶液→Aチール石炭酸フクシン水溶液(加温)→(硫酸による脱色)→Bレフレル・メチレンブルー液 | Bは芽胞以外の菌体を染めるための後染色 |
抗酸菌染色 (Kinyoun法) | @Kinyoun石炭酸フクシン→(塩酸アルコールで脱色)→Aメチレンブルー液 | 抗酸菌は赤色に染まる。Aは抗酸菌以外の菌や細胞を青く染めるための後染色 |
鞭毛染色 | @タンニン酸を含む第1液→A硝酸銀を含む第2液 | 鞭毛は細くて通常光学顕微鏡では観察できないので、@で鞭毛の衣付けを行う |
細菌の薬剤感受性試験 |
細菌の分類と同定 |
主たる系統 | 細菌 | ||
グ ラ ム 陽 性 菌 | 球菌 | ブドウ球菌 | Staphylococcus epidermidis (ブドウ球菌) |
Staphylococcus aureus (黄色ブドウ球菌) | |||
レンサ球菌 | Streptococcus pyogenes (A群レンサ球菌) | ||
Streptococcus sanguis (緑色レンサ球菌群) | |||
有芽胞 桿菌 | 好気性〜通性嫌気性菌 | Bacillus subtilis (バシラス属菌) | |
嫌気性菌 | Clostridium perfrigens (クロストリジウム属菌) | ||
グ ラ ム 陰 性 菌 | 通性 嫌気性 桿菌 | 腸内細菌科 | Escherichia coli (大腸菌) |
Shigella sonnei (赤痢菌) | |||
Salmonella enteritidis (サルモネラ属菌) | |||
Klebsiella pneumoniae (クレブシエラ属菌) | |||
Proteus mirabilis (プロテウス属菌) | |||
ビブリオ科 | Vibrio cholerae O1 (コレラ菌) | ||
抗酸菌(マイコバクテリウム) | Mycobacterium tuberculosis (結核菌) |
検査項目 | 変化 | ||
分離 培養法 | 普通寒天培地 | 選択性のない培地で、すべての菌が発育 | |
SS寒天培地 | Salmonella 属菌→黒色コロニーを形成 Shigella 属菌→赤色コロニーを形成 | ||
TCBS寒天培地 | Vibrio 属菌のみ発育できる ・コレラ菌→黄色コロニーを形成 ・腸炎ビブリオ→緑青色コロニーを形成 | ||
性 状 検 査 | 運動性 試験 | 懸滴法 | 400倍で直接鏡検を行う |
SIM培地を用いる 方法 | 運動性をもつ細菌(サルモネラ菌とコレラ菌)では、接種した周囲が白濁する | ||
チトクローム・オキシダーゼ 産生性試験 | 電子伝達系内のチトクロームcの有無を調べる実験で、コレラ菌のみ陽性となる | ||
カタラーゼ産生性試験 | 通性嫌気性菌の鑑別に用いる方法で、本実験に用いた菌はすべて陽性を示す | ||
TSI 試験 TSIは 高層 斜面 培地 | 酸の産生性 (糖分解性) | ・乳糖や白糖を分解する大腸菌・クレブシエラ菌は全体が黄色になる ・ブドウ糖しか利用できないサルモネラ菌・赤痢菌は下部だけ黄色になる ・コレラ菌は下部だけが黄変する場合もあれば、全体が黄色くなる場合もある | |
H2Sの産生性 | サルモネラ菌のみFeSが生成して黒変(陽性) | ||
ガスの産生性 | サルモネラ菌で陽性(菌量によっては陰性) | ||
IMViC 試験 | インドール 産生性試験 | SIM培地を用いて行う試験で、トリプトファン分解酵素の有無を見る。大腸菌とコレラ菌で陽性を示す | |
メチル・レッド (MR)試験 | VP-MR培地を用いて行う試験で、ピルビン酸の代謝経路を見るためのもの。ピルビン酸から種々の酸が生成する大腸菌・サルモネラ菌・赤痢菌ではMR(+)VP(-)、ピルビン酸からアセトインを生成するクレブシエラ菌とコレラ菌ではMR(-)VP(+)となる | ||
VP試験 | |||
クエン酸 利用性試験 | SC培地の斜面部に被検菌を塗布すると、クレブシエラ菌・サルモネラ菌・コレラ菌で陽性となる。この試験で注意しなければならないのは、被検菌をかきとる際に培地片を一緒にかきとらないことである | ||
コレラ菌の型別 | O抗原の血清型特異因子の抗原性から小川型(AB)、稲葉型(AC)および彦島型(ABC)の3種の血清型に分けられる |
性状検査項目 | 腸内細菌科 | ビブリオ | ||||
大 腸 菌 | ク レ ブ シ エ ラ 菌 | サ ル モ ネ ラ 菌 | 赤 痢 菌 | コ レ ラ 菌 | ||
運動性試験 | - | - | + | - | + | |
チトクローム・オキシダーゼ産生性試験 | - | - | - | - | + | |
カタラーゼ試験 | + | + | + | + | + | |
TSI 試験 | 酸の産生性 | A/A | A/A | K/A | K/A | K/A(A/A) |
H2Sの産生性 | - | - | + | - | - | |
ガスの産生性 | - | - | +(-) | - | - | |
IMViC 試験 | インドール産生性試験 | + | - | - | - | + |
メチル・レッド試験 | + | - | + | + | - | |
VP試験 | - | + | - | - | +(-) | |
クエン酸利用性試験 | - | + | + | - | + |
観察項目 | 分かること | |
グラム染色所見 (形態観察) | 桿菌→クロストリジウム 球菌…連鎖状→レンサ球菌 ブドウの房状→ブドウ球菌 | |
好気培養と嫌気培養 による増殖の違い | 一般に細菌は @偏性嫌気性菌(空気があると発育しない) ←クロストリジウム A通性嫌気性菌(空気があってもなくても発育可能) ←ブドウ球菌・レンサ球菌 B偏性好気性菌(空気がないと発育しない) の3つに分類される | |
卵黄反応の有無 | 卵黄加CW寒天平板培地中のレシチンが、クロストリジウムのもつα毒素により分解されて、水に不要の物質の凝集塊ができ、菌を接種した箇所の周囲に不透明体が形成される。しかし、この卵黄反応の原因がα毒素でない場合もある。この培地に抗α毒素抗血清を染み込ませた濾紙を置いたときに、その濾紙片の周囲で卵黄反応が起こらないことを確認して初めてその細菌がα毒素をもつクロストリジウムであるということができる | |
抗α毒素抗血清による抑制 | ||
カタラーゼ活性 | ブドウ球菌はH2O2を加えたとき、酸素が発生し、発泡がおこる(つまり、カタラーゼ活性がある) | |
溶血能 (レンサ球菌の鑑別) | 血液寒天平板培地に細菌を接種したときに、α溶血がおこるのが緑色レンサ球菌、β溶血がおこるのがA群レンサ球菌 | |
コアグラーゼ活性 (ブドウ球菌の鑑別) | スライド法 | ウサギ血漿を加えて混和したときに、黄色ブドウ球菌の方は著明な凝集をおこす |
試験管法 | ウサギ血漿と被検菌との懸濁液をふらん器で培養したときに、黄色ブドウ球菌の方はゲル化する |
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