ピコルナウイルス

(+)鎖RNAをゲノムとする直径約30nmの正二十面体の粒子

ポリオウイルス
A型肝炎ウイルス
レオウイルス

分節状2本鎖RNAをゲノムとする直径60〜80nmのエンベロープをもたないウイルス

ロタウイルス
オルトミクソウイルス

分節(−)鎖RNAをゲノムとする、らせん対称のカプシドをもつウイルス

インフルエンザウイルス
パラミクソウイルス

(−)鎖RNAをゲノムとする、らせん対称のカプシドをもつウイルス

麻疹ウイルス
レトロウイルス

(+)鎖RNAをゲノムとし、逆転写酵素をもつウイルス

レトロウイルスの増殖サイクル
レトロウイルスの生活環
   大まかにたどると、
吸着・侵入→脱殻→ウイルスのもつ1本鎖RNAが2本鎖DNAへ逆転写される→細胞の染色体DNAに組み込まれる(プロウイルス)→転写、翻訳→ウイルスRNA、タンパクの集合→出芽
となる。
   まずレトロウイルスのエンベロープに適合するレセプターに結合する(吸着)と、エンベロープと細胞膜が融合し、細胞内に侵入する。その後細胞質でカプシドタンパクが部分的に取り除かれ、RNAと分かれる(脱殻)。それからウイルスが持ち込んだ逆転写酵素によりウイルスRNAがDNAに転写され、2本鎖にされて環状DNAになる。これが核内で細胞の染色体DNAに組み込まれ、プロウイルスと呼ばれる。ウイルスゲノムの組み込みや次の転写・発現には、LTR(long terminal repeat;遺伝子の両端の繰り返し配列)が関与している。プロウイルスDNAのLTRに囲まれた部分が転写されてmRNAとなり、これがリボソームで翻訳されウイルス構造タンパクが合成される。同時にウイルスゲノムRNAも合成される。これらが集合してウイルス粒子へと組み立てられて、それが細胞膜から出芽する。

HTLV-1(human T-lymphotropic virus type-1)
HIV(human immunodeficiency virus;ヒト免疫不全ウイルス)
HIVの生活環
HIVの生活環
   ウイルス粒子のエンベロープgp120と、宿主細胞表面の特定のレセプタータンパク(CD4)との結合により、HIV粒子が細胞に吸着する。この結合反応に伴い、gp120の分子構造に変化がおき、そのV3エピトープと呼ばれる部分が宿主細胞の別のタンパクと結合して、ついでgp41の働きによりウイルス粒子の膜と細胞膜との融合が起こる(@)。
   この融合により、ウイルスのコアが細胞質と一体化し、ウイルスRNAゲノム上での逆転写酵素によるプロウイルスDNA合成反応が起こる(A)。この反応過程でプロウイルスDNAの両端にはLTR(長い末端の繰り返し)と呼ばれる配列が出来上がる。プロウイルスは逆転写酵素の持つインテグラーゼ活性により、宿主染色体DNAに挿入される(B)。こうしてHIVは宿主遺伝子の一部となり、細胞への一連の感染過程が終了する。
   そのあと、HIVはプロウイルスの形で年余にわたり潜伏感染を続ける。その中でもプロウイルスの活性化は断続的に起こり、やがて転写が始まる。
   HIVの感染と増殖により、CD4細胞の直接破壊が起こる。この際、ウイルスによるアポトーシスの誘導、細胞表面でのCD4分子とエンベロープとの相互作用に基づく膜レベルの異状によるネクローシス、またはCD4からのシグナル伝達系を含めての変化、rev タンパクによる歳帽子の誘導など複数の要素が関係している。ほかにも様々な要素により、免疫応答の中枢であるCD4リンパ球が継続的に破壊されていく。また、ウイルス遺伝子が変異を重ねることによって、自らの抗原性を変容し、感染初期に形成された免疫学的防御機構を無効にする。最終的にはCD4の破壊を中心に免疫系全体が破壊されていく。


フラビウイルス

(−)鎖RNAをゲノムとするウイルス

C型肝炎ウイルス(HCV)