通性嫌気性菌と偏性嫌気性菌には、エネルギー代謝と酸素に対する態度にどのような違いがあるか。またその違いにより培養においてどのような注意や工夫が必要となるか。


   通性嫌気性菌は呼吸と発酵の両方を行うことができる。酸素があれば効率のよい呼吸を、なければ発酵を行う。酸素があれば、菌体に有害なH2O2やO2が生成するので、これらを分解する酵素、カタラーゼおよびSOD(super oxide dismutase)をもっている。レンサ球菌や乳酸桿菌は呼吸系をもたないが、SODをもつため好気的条件下でも生育でき、耐気性菌とよばれる。
   偏性嫌気性菌は発酵しか行うことができず、カタラーゼやSODをもっていないため、酸素に触れると死滅してしまう。大気に酸素がなかったころから存在する菌だと考えられている。
   偏性嫌気性菌では通常の方法では培養できない。これは通常の培地の酸化還元電位が嫌気性細菌の発育開始に要する電位に比べて高すぎるからである。そこで嫌気性菌を発育させるためには、@培地中の溶存酸素を追い出すこと、A再び酸素が溶けないように気相から酸素を除き、大気との接触を断つこと、B培地中に酸化還元電位を下げる物質を加えて、低い電位を維持すること、などが必要となる。空気遮断法や空気置換法、酸素吸収法などが使われている。例をあげると、固形培地の深層部に菌を穿刺する、真空ポンプで排気しボンベからの他のガスと置換する。銅と鉄の結合物により酸素を吸収するスチールウール法や、炭酸ナトリウムを用いてアルカリ性にした上でピロガロールに酸素を吸収させるピロガロール法などがある。また、培地には還元剤(肝臓ブイヨンなど臓器片を用いることもある)を加えることが多い。ガス環境の嫌気性指示薬として、メチレンブルーなどの酸化還元指示薬もよく使われる。
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