スピロヘータと感染症

  1. スピロヘータの一般的性状
  2. スピロヘータ科
    1. トレポネーマ属
      • 直径0.1〜0.4μm、長さ5〜20μmのらせん状細菌
      • 偏性嫌気性もしくは微好気性
      • ヒト口腔内、腸管、泌尿生殖器から検出されるトレポネーマのほとんどは非病原性

      1. 梅毒トレポネーマ
           病原性
        • 性感染症である梅毒の原因菌
             ほとんど性交による接触感染で伝播するが、母体から胎盤を 経て胎児に感染する場合(先天性梅毒)や、輸血で感染すること(輸血梅毒)もある。また医療 従事者が手指から経皮感染することもある
        • 第1期梅毒(硬性下疳期)
             平均3週間の潜伏期を経て、性器に硬結を伴う無痛性皮膚潰瘍で ある硬性下疳が見られる。続いて鼠径部リンパ節が腫脹し、無痛性横痃が認められる。3 〜4週間で自然治癒する
        • 第2期梅毒(バラ疹期)
             感染3ヶ月から3年にかけて、全身にバラ疹の他に丘疹状、水疱状 発疹が見られる。陰部、口腔粘膜に丘疹状の扁平コンジローマが生じ、脱毛なども認めら れる。この時期、症状は軽快と再発を繰り返す
        • 第3期梅毒(ゴム腫期)
             感染後3〜10年には、諸臓器に凝固壊死部の周囲に結合組織が増生 して、ゴム腫が形成される
        • 第4期梅毒(神経梅毒期)
             感染10年以降では中枢神経系に変性病変が起こり、運動障害・知 覚障害・記憶力障害・痴呆などの種々の神経症状を引き起こす
        • 先天性梅毒
             妊婦が梅毒になった場合、梅毒トレポネーマは経胎盤性に感染し、流産や死産 を引き起こす
        • 輸血梅毒
             梅毒トレポネーマを含む血液の輸血を受けると、発熱・発疹など第2期梅毒症状 で発病する

           細菌学的特徴
        • 0.1〜0.2×10〜20μm大の約1μmの規則的な間隔をもつらせん形を呈する
        • 中央の軸糸を中心に活発な回転運動を行う

           治療
        • ペニシリンGが第1次選択薬であるが、その他、テトラサイクリンやエリスロマイシンなど が用いられる

      2. その他のトレポネーマ
        • 熱帯菌種トレポネーマ
             熱帯地方に見られるフランベシアの原因トレポネーマ。小児に経皮 感染し、潰瘍性丘疹、皮膚の瘢痕形成や骨破壊が見られる
        • 地域流行性梅毒トレポネーマ
             アフリカ、中近東、南アジアで発生する非性病性梅毒の原因 菌で、小児に伝染性の皮膚病変を起こす
        • ピンタトレポネーマ
             熱帯地方に見られるピンタという皮膚病の原因トレポネーマ。小児や 若者に経皮感染して皮膚炎を発症させる

    2. ボレリア属
         シラミやダニによって媒介されるらせん状細菌
      1. 病原性
        • 回帰熱ボレリア
             現在、東・中央アフリカの一部、南米の一部で見られる回帰熱の病原体。 シラミによって媒介され、40℃を越す発熱期(3〜4日)と解熱期(4〜10日)とが交互に繰り 返される。筋肉痛、頻脈、肝脾腫などの症状が発熱期には見られる。解熱の時ショック状 態になり死亡することが多い
        • ライム病ボレリア
             アメリカで発見されたライム病の病原体。シカやネズミが保菌宿主とな り、これを吸血するダニがヒトにも吸血する際、本菌が伝播される。初期には慢性遊走性 紅斑や、インフルエンザ様症状(発熱、悪寒、関節痛など)が認められる。数週間後より髄 膜炎、神経根炎、脳神経炎が見られる。数年後には、リウマチ様関節炎に類似した慢性関 節炎などの症状が見られる
        • ワンサンアンギーナ
             口腔内フゾバクテリウム属およびプレボテラ属細菌との混合感染によ り、口腔粘膜に潰瘍性病変が形成され、嚥下障害、呼吸障害などをきたす

      2. 細菌学的特徴
        • 直径0.2〜0.5μm、長さ3〜20μmで3〜10回の緩やかならせん状形態を呈する
        • 7〜30本の周毛性鞭毛をもち活発に運動する
        • グラム陰性、微好気性で糖分解能を有する

  3. レプトスピラ科
    1. 黄疸出血性レプトスピラ
      1. 病原性
        • ワイル病の病原体で、ラットが本菌の自然宿主。ラットの腎・尿管に定着し、尿中に排泄される。この尿で汚染された水、食物、土などを介して、経皮または経口感染する
        • 夏から秋にかけて発生し、通常ヒトからヒトへの感染は見られない
        • 第1期(感染1週)は発熱、頭痛、筋肉痛、眼球結膜充血、腹痛などの症状が認められる
        • 第2期(感染2週)にはさらに黄疸、出血傾向、循環不全、腎機能不全、脳症状、髄膜刺激症 状など多彩な臨床所見が認められる

      2. 細菌学的特徴
        • 6〜20μm×0.1μmの細長い菌体で両端が鉤状に曲がっている
        • 偏性好気性
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