設問(1)
 チェックポイントとは、DNAの損傷を認識して細胞分裂周期をG1/S境界、G2/M境界で一時停止したり進行中のDNA複製を一時停止する反応経路。DNA損傷が重症の場合には細胞死を誘導する。毛細血管拡張性小脳失調症では、チェックポイントの異常によって、電離放射線照射後も細胞分裂の進行を停止できない。この疾患は放射線感受性・好発癌を示す。

設問(2)
 確定的影響とは、照射後の急性期の影響であり、一定量以上の線量(しきい値)を照射されたとき、症状が出現する。造血系や消化管上皮、生殖器で、ある比率以上の細胞が死ぬことにより出血、下痢、不妊などの症状が出現する。一方、確率的影響には、次世代への遺伝的影響と発がんがある。これらがおこる頻度は、線量とともに単純に増加し、どのような少量の線量でも影響が出現しうる。

設問(3)
 吸収線量は単位重さあたりの物質内で吸収されたエネルギー量[J/kg]。線量当量は、放射線の種類による生物に対する影響を加味して、吸収線量を線質係数で補正したもの。線質係数は、水中における linear energy transfer (放射線の飛跡の単位長さあたりのエネルギーの損失)の関数である。

設問(4)
 末梢血の染色体分析

設問(5)
 紫外線はDNAの隣接ピリミジンを二量体化する。ピリミジン二量体には4位と5位が結合するシクロブタン型ダイマーと6位と4位が結合する6-4光産物があり、シクロブタンダイマーの方が生成量は多い。X線とα線によるDNA損傷には塩基(ヌクレオチド)損傷、一本鎖切断、二本鎖切断などがある。またX線やα線のような電離放射線の作用には荷電粒子がDNAに働く直接作用と、水の分解したOHラジカルがDNAに働く間接作用がある。X線には間接作用を多く起こし、α線は直接作用を起こしやすい。塩基損傷は間接作用によって多く生じるのでX線によって起こりやすく、二本鎖切断は間接作用によっても直接作用によっても生じるが、同じ線量で比べるとX線よりもα線による方が多く生じる。

設問(6)
 X線には特性X線と制動X線がある。原子核が電子捕獲によって崩壊して、軌道電子がより内側の軌道に遷移する際に、余分なエネルギーが特性X線となって放出される。また、γ線が物質に照射されて光電効果によって軌道電子が放出され、空席となった軌道に外側から軌道電子が遷移する際にも余分なエネルギーが特性X線となって放出される。制動X線は電子の流れが物質によって阻止された際、エネルギーがX線となって放出される。
 γ線は原子が崩壊してエネルギー準位の低い原子となるが、その際さらに原子核の構成が同じでよりエネルギー準位の低い原子になる場合に放出される。

設問(7)
 非密封放射性廃棄物は以下のように分類しなければならない。
  @ 可燃物…紙、布など
  A 難燃物…プラスチック、ゴム手袋など
  B 不燃物…ガラス、塩化ビニル、注射針など
  C 無機液体…培養液、洗浄液など
  D 動物…乾燥動物
  E 非圧縮性不燃物…汚染機器、コンクリート、土など
ただし、有機廃液についてはアイソトープ協会に引き渡すことができないので、事業内で処理しなければならない。

設問(8)
 外部被曝については、放射線防護の3原則から、@放射線源との間に遮蔽物を置く。A放射線源との間の距離をできるだけ長くする。B放射線源を取り扱う時間を短くする。なお、内部被曝を避けるため、ピペットを直接、口で吸うことは禁物であり、管理区域内での飲食は禁止されている。個人被曝管理は、個人線量計を放射線管理区域内で必ず着用し、この線量計の数値を読み取ることにより行う。個人線量計としては、フィルムバッジ、熱ルミッセンス線量計(TLD)、ポケット線量計、アラームメータなどがある。
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