放射線障害の分類 |
影響の種類 | 特徴 | 原因 | 線量に依存 するもの | しきい値 | 主要な影響 | ||
確定的影響 (非確率的影響) | ある程度以上浴びなければ害が出ない | 細胞自体の死 | 影響の 重篤度 | ある | 急性障害 (紅斑・脱毛) | 身 体 的 影 響 | |
胎児発生の障害 (精神遅滞) | |||||||
白内障 | 晩発障害 | ||||||
確率的影響 | ちょっとでも浴びれば害になる | DNAの傷 | 影響の 発現頻度 | なし | 悪性腫瘍 | ||
遺伝的障害 (先天異常) | 遺伝的 影響 |
項目 | 単位名 | 記号 | 定義 | |
照射線量 | クーロン毎 キログラム | C/kg | 空気1kg中に1Cのイオンをつくるγ(X)線の量 | |
吸収線量 | グレイ | Gy (=J/kg) | 1kgあたり1Jのエネルギーの吸収があるときの線量 | |
線量当量 | シーベルト | Sv (=J/kg) | 等価線量 | 吸収線量×線質係数(放射線荷重係数)※1 |
実効線量 | 吸収線量×線質係数×組織荷重係数※2 | |||
放射能 | ベクレル | Bq (=1/s) | 1秒間に1個の壊変 |
※1 | … | 放射線の種類による影響の違いを補正する係数で、X線・γ線・電子線は1、陽子線は10、中性子線は5〜20とする |
※2 | … | 放射線がどれだけの臓器にあたったかを表す係数で、全身を1とし、生殖腺0.25、乳腺0.15などと各組織によって数値が決まっている |
胎児に対する影響 |
時期 | 期間 | 正常発生率 | 死亡率 | 奇形発生率 | その他の障害の 発生率 |
着床前 | 受精後10日まで | 比較的高い | 高い | 低い | 低い |
器官形成期 | 1〜8週 | 一般に低い | 低い | 高い | 低い |
胎児期 | 8〜17週 | 一般に低い | ほぼゼロ | 低い | 高い (白血病や知恵遅れ) |
組織における放射線障害(確定的影響) |
造 血 組 織 ・ 血 液 | 骨髄 | 細胞分裂頻度が高く、細胞が退行変性をおこす。移植によって治療する |
リンパ組織 | リンパ組織は萎縮して小さくなりリンパ球は急速に破壊される | |
脾臓 | リンパ球の破壊や器官の縮小、不活化がおこり、しばらくして回復する | |
胸腺 | 皮質の縮小が起こり、胸腺由来のTリンパ球が減少する | |
末しょう血 | 白血球は放射線に非常に敏感で、数日後に最低値となり、その後回復する | |
赤血球は放射線抵抗性が大きい | ||
血小板は被曝で減少が起こり、出血性傾向が見られる | ||
生 殖 腺 | 精巣 | 低い線量でも一時的不妊をおこす。線量が増えると、永久不妊をおこす場合もある。 |
卵巣 | ヒトの卵母細胞は胎児期に作られ、出生後は年齢とともに数が減少する。残存する卵母細胞の数によっては、同じ線量でも月経閉止(永久不妊)をおこす場合もあれば、一時的無月経のみですむ場合もある | |
消化器系 | 腸で感受性が最も高いのは十二指腸。腸上皮細胞の分裂が停止し、一定期間後には腸上皮細胞数が減少し、体液の漏出が起こって、死に至る | |
皮膚 | 小線量でも脱毛や紅斑、やけどなどの変化が見られ、大線量になると慢性障害となり、やがてガン化する | |
感覚器 | 特に注目すべきなのは眼の水晶体である。放射線照射によってアポトーシスをおこした水晶体の細胞がそのまま蓄積されるため、白内障を起こしやすい | |
神経組織 | 形態変化をおこすにはかなりの線量が必要であるが、機能的変動は低線量でも見られる。中程度の線量被曝した脳の障害は徐々に進行する | |
呼吸器 | 肺は一般に中程度以下の感受性といわれる | |
骨 | 放射線感受性そのものは中程度であるが、内部被曝をおこすと重症化する。というのは、骨に集まりやすいboneseekerとよばれる放射性同位元素がいくつか存在し、それらを誤って摂取してしまった場合、骨に沈着してしまうからである。その代表例が夜光時計文字盤工場の職人にRadium Jawとよばれる顎骨髄炎の発生である |
個体における放射線障害(確定的影響) |
急性照射の線量(Gy) | 前駆症 | 臨床的特徴 | 治療・臨床的経過および転帰 | ||||||
発生率 (%) | 潜伏期 | 症状 または 関係臓器 | 特徴的 な症状 | 被曝後 の危険 時期 | 治療 | 予後 | 障害が致死的な場合 | ||
死亡まで の期間 | 死因 | ||||||||
50〜 | 100 | 分 | 神経学的症状 | 痙攣・失調・昏睡 | 1〜48 時間 | 対症療法 | 絶望的 | 1〜48 時間 | 脳浮腫 |
10〜15 | 100 | 0.5時間 | 消化器症状 | 下痢・発熱 | 3〜14日 | 待期的療法 | 非常に悪い | 2時間 | 腸結腸炎・ショック |
5〜10 | 100 | 0.5〜1 時間 | 骨髄症状 | 血小板減少・白血球減少 | 2〜6週 | 骨髄移植・輸血 | 治療の成功に依存した不確定性 | 数週間 | 感染・出血 |
2〜5 | 50〜90 | 1〜2 時間 | 血小板減少・出血 | 白血球減少・感染 | 2〜6週 | 輸血・特期的療法・骨髄移植 | |||
1〜2 | 0〜50 | 3時間 以上 | 中程度の白血球&血小板減少 | 2〜6週 | 対症療法 | 非常によい | 数ヶ月 | 感染または出血 |
自然および人工放射線源 |
放射線障害とその予防法の歴史 |
低線量放射線についての現在の議論の焦点 |
・ | どんなに少ない量の放射線でも遺伝子を変化させる。遺伝子変化の起きる割合は線量に直線比例する。 |
・ | がんは遺伝子の変化によって起きる。 |
・ | したがってがんの確率は放射線の量に比例し、線量がゼロの点まで直線比例関係にある。 |
・ | 数多くの調査や研究でも低線量の放射線で影響があるという証拠はない。データの多くはリスクがないかむしろ有益な効果さえ示している。 |
・ | 最近の分子生物学の進展によって、細胞や生体は自然に起こっている大量のDNA損傷をコントロールしている(修復酵素による傷の修復やアポトーシスによる損傷細胞の除去など)ことが判明してきている。放射線の影響があった場合も、特に低線量でDNAの損傷が少ない場合はこのような作用が有効に働く。このことは、低線量の放射線の影響が直線的にはならないことを示している。 |
・ | 広島・長崎におけるような大量の放射線の急激な被曝の場合は、DNAの二重鎮切断(DNAを構成する二本の鎖が同時に切断される現象で、修復がより難しくなる)などが数多く起きる。このような場合のリスクを、自然放射線の被曝や職業人の被曝のような緩かな低線量被曝の場合にまであてはめようとするのは科学的ではない。緩かな低線量被曝では修復の難しいDNA損傷は起こりにくい。 |
・ | 30億年間生物は自然放射線の中で暮らしてきた。したがって自然放射線程度の放射線が現在の生物に有害であるはずがない。また我々の日常生活の中には食物をはじめとするたくさんの発がん要因がある。仮に自然放射線程度の放射線に直線仮説に基づくようなリスクがあったとしても、他の日常生活の発がん要因の陰に隠れてしまうほど微々たるものである。そのほかに大きなリスクがあるなかで、微小なリスクを議論することは、あまり意味がない。 |
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