鼻の解剖
固有鼻腔
【構造】上・中・下の3つの鼻甲介によって仕切られ、上・中・下の3つの鼻道と総鼻道から構成される
   ・上鼻道…後部篩骨蜂巣、蝶形骨洞が開口
   ・中鼻道…前頭洞、上顎洞、前部篩骨蜂巣が開口
   ・下鼻道…鼻涙管が開口
【動脈】外頸動脈→顎動脈→蝶口蓋動脈→中・下鼻甲介動脈(→鼻腔上部以外の粘膜を灌流)
内頸動脈→眼動脈→前・後篩骨動脈(→鼻腔上部の粘膜を灌流)
【静脈】
                ┌海綿静脈洞←篩骨静脈(←鼻腔上部の血流)
内頸静脈←┤
外頸静脈←┴顔面静脈(←鼻腔上部以外の血流)
副鼻腔
【構造】
 位置開口発達特徴
前頭洞前頭骨内鼻前頭管
→半月裂孔
→中鼻道
6〜8歳で急速発達、思春期頃完成個体差大、しばしば左右非対称
上顎洞上顎骨内篩骨漏斗
→半月裂孔
→中鼻道
18〜20歳頃に完成最大の副鼻腔、自然口が洞底より高いため炎症産物が蓄積しやすい


前部
篩骨蜂巣
篩骨内(第3基板の前部)半月裂孔
→中鼻道
5-6歳までに骨隔壁が発達、思春期頃完成単一の腔ではなく6-20個の含気蜂巣の集まり、紙様板という薄い隔壁を介して眼窩内側壁に接する
後部
篩骨蜂巣
篩骨内(第3基板の後部)上鼻道
蝶形骨洞蝶形骨内蝶篩陥凹
→上鼻道
学童期〜思春期にかけて発達・完成個体差大、周囲には視神経管・海綿静脈洞・内頸動脈が近接
鼻の生理
嗅覚
【細胞】嗅裂(上鼻甲介と鼻中隔に仕切られた空間)に分布する嗅上皮に存在する嗅細胞が担当
嗅細胞は双極性細胞で、末梢側の軸索にはニオイ分子と結合する受容体を有し、中枢側は嗅糸となって嗅球でシナプスを形成
【障害】
 原因疾患治療
呼吸性
嗅覚障害
ニオイ分子が嗅
上皮に届かない
鼻アレルギー・副鼻腔炎などの鼻・副鼻腔疾患etc.手術、適切な薬物治療
末梢性
嗅覚障害
嗅上皮or嗅糸の
障害
慢性副鼻腔炎(⇒廃用性萎縮)、ウイルス感染(⇒嗅細胞の変性)、抗癌剤・有機溶剤の長期使用(⇒嗅細胞の減少)、頭部外傷(⇒嗅糸の断裂)etc.懸垂頭位によるステロイドの点鼻
中枢性
嗅覚障害
嗅糸より中枢側
の障害
頭部外傷、脳腫瘍、特発性etc.治療は困難な場合が多い
【検査】
基準嗅覚検査法(T & T olfactometer)…5種類のニオイに関して、そのニオイを感じた閾値を求める検査
静脈性嗅覚検査法…ニオイのする液体を静注し、ニオイ分子を血行性に嗅上皮まで届ける。呼吸性とそれ以外の嗅覚障害の鑑別が可能
吸気の湿度・温度
の調節機能
【機能】異常な冷気・熱気・乾燥などから肺を守るために、鼻腔粘膜は毎日約1lの鼻汁を分泌し、湿度と温度の調節を行っている
吸気の浄化機能
【機能】
鼻前庭に存在する鼻毛…15μm以上の大きな塵埃をブロックし、除去
粘膜薄層をもった呼吸上皮細胞による線毛運動…15μm未満の小さな塵埃をブロックし、咽頭方向に運んで排泄する
音声の共鳴機能
【異常】
閉塞性鼻声(閉鼻声)…鼻が詰まった時の声で、鼻腔のスペースが少なくなって、音声が共鳴できなくなったために起こる
開放性鼻声(開鼻声)…音声が共鳴しすぎたために起こる。鼻腔と口腔の遮断不全が原因で、軟口蓋麻痺をきたす疾患・口蓋裂などでみられる
鼻の検査



前鼻鏡検査
【目的】鼻腔の前半をみる
【方法】第1頭位(頭位を垂直)⇒中鼻甲介、下鼻甲介を観察
第2頭位(顎を上げた状態)⇒中鼻甲介の上方や嗅裂を観察
後鼻鏡検査
【目的】鼻腔の後半をみる
【方法】頭位を垂直にして、口蓋垂の裏側に後鼻鏡を挿入
【所見】上鼻甲介や耳管咽頭口がみえる
鼻腔通気度
検査
【目的】鼻腔内の空気の通りやすさの客観的評価
【方法】鼻腔内の気流の大きさとその際に生じる圧から鼻腔抵抗を求める
【注意】自覚症状としての鼻閉は必ずしも鼻腔抵抗を反映しない
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