頭頸部疾患
顔面神経麻痺
【分類】中枢性麻痺(上位ニューロン障害)、末梢性麻痺(下位ニューロン障害)
【原因】
末梢性麻痺の原因は、Bell麻痺が約70%、Ramsay Hunt症候群が約20%で、その他には、中耳真珠腫、耳下腺悪性腫瘍、側頭骨横骨折、手術における損傷など。いずれも神経浮腫による絞扼麻痺が原因の場合が大半
※Bell麻痺…突発的に片側性に麻痺が起こる。HSVの再活性化に起因
   Ramsay Hunt症候群…VZVの再活性化が原因。耳介ヘルペス、末梢性顔面神経麻痺、内耳障害が三徴
【症状】顔面表情筋の麻痺…通常、一側性。中枢性麻痺の場合には額を中心とした上部の表情筋の運動は保たれる
大錐体神経の麻痺による症状…涙液分泌↓
アブミ骨筋神経の麻痺による症状…アブミ骨筋反射の消失、聴覚過敏
鼓索神経の麻痺による症状…舌前2/3の味覚↓、舌下腺・顎下腺からの唾液分泌↓
【検査】大錐体神経の検査⇒涙液分泌検査(Schirmer検査)にて涙液分泌↓
アブミ骨筋神経の検査⇒アブミ骨筋反射の消失
鼓索神経の検査⇒電気味覚検査にて舌前2/3の味覚↓
表情筋の検査⇒電気神経検査(ENoG)にて表情筋の筋電位の振幅↓、神経興奮性検査(NET)にて閾値↑
   ※ENoG・NETとも、顔面神経の障害が茎乳突孔よりも末梢に及んだ時点で初めて異常が検知される
顔面神経麻痺の部位診断
障害部位内耳道膝神経節鼓室部アブミ骨筋神経の末梢鼓索神経の末梢
涙液分泌××
アブミ骨筋反射×××
味覚・唾液分泌××××
表情筋×××××
【治療】原疾患による。Bell麻痺・Ramsay Hunt症候群に対しては、ステロイド・アシクロビルの投与、顔面神経減荷術etc.
【予後】Bell麻痺⇒比較的良好だが、後遺症として麻痺側の筋の拘縮、病的共同運動、ワニの涙などが残ることがある
Ramsay Hunt症候群⇒Bell麻痺より不良。内耳破壊に伴う内耳性難聴や回転性めまいを起こしやすい
側頭骨骨折
【概念】頭蓋底骨折の一種
【分類】
 縦骨折横骨折
概念骨折線が錐体稜に沿って生じる骨折線が錐体稜を横切る
頻度多い少ない
症状中耳の損傷⇒鼓膜裂傷、鼓室内出血、典型的には伝音難聴(実際は混合性難聴となることが多い)内耳・内耳道の損傷⇒感音難聴、末梢性前庭性めまい
顔面神経の損傷⇒顔面神経麻痺
検査単純CT⇒骨折線、鼓室内に充満した血腫単純CT⇒骨折線
温度性眼振検査⇒患側CP
鼻骨骨折
【概念】外力が作用した結果、外鼻錐体が骨折した状態。多くは鼻中隔の骨折を伴う
【症状】鼻閉、顔面の変形
【治療】受傷後2週間以内であれば、非観血的整復(Walsham鉗子やAsche鉗子を使用)









下顎骨折
【疫学】顔面骨折の中では最も頻度が高い
【症状】容貌の変化、歯槽の動揺感、咬合不全、嚥下困難、流涎etc.
上顎骨折
【分類】
 Le FortⅠ型Le FortⅡ型Le FortⅢ型
原因顔面下部打撲顔面中央部打撲顔面上部打撲
概念上顎骨歯槽骨折上顎骨の前頭突起に沿って、上顎骨・眼窩壁などが骨折骨折線は鼻根部~眼窩内~前頭頬骨縫合に至る
症状口蓋の陥没、口蓋の可動性顔面の三日月様変形、咬合不全、三叉神経障害、頭蓋底損傷による鼻出血、耳出血、髄液瘻etc.顔面のロバ様変形、咬合不全、三叉神経障害、鼻出血、髄液瘻etc.(最重症)
【治療】気道確保、必要に応じて救命救急処置、整復(非観血的or観血的)
眼窩吹き抜け
骨折
blowout
fracture of
the orbit
【概念】眼窩内圧の突然の上昇により、眼窩下壁が骨折し、眼窩内容物が上顎洞内に落ち込んでしまう病態
【原因】眼窩前方からの鈍的な外力
【疫学】青少年に多い
【症状】眼周囲の腫脹、眼球の陥凹、眼球の上下運動(特に上方運動)の障害、上方視における複視
【検査】CTスキャンetc.
【治療】整復術(経上顎洞法or鼻内法)
正中頸嚢胞
mediancervical
cyst
【概念】甲状舌管の遺残物によって生じた嚢胞。舌骨レベルの正中部に生じる
【症状】波動性のある腫瘤の触知、皮膚への瘻孔
【治療】皮膚への瘻孔時には手術的に摘出
側頸嚢胞
lateral cervical
cyst
【概念】第2鰓溝の遺残物によって生じた嚢胞。胸鎖乳突筋前下方縁から口蓋扁桃に沿った線上に発生
【症状】波動性のある腫瘤の触知、皮膚への瘻孔
【治療】皮膚への瘻孔時には手術的に摘出
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送