眼の正常構造
角膜
cornea
【概念】眼球外壁の前部1/6を形成する透明な無血管組織で、厚さは約0.5mm。強膜とともに眼球の外膜を構成
【構造】(外側から順に)
・角膜上皮…結膜に連続した重層扁平上皮で、三叉神経終末が多数分布。結膜との境界部(輪舞上皮基底層)に幹細胞があり、再生能を有する。涙と角膜周囲の血管から栄養を受けている
・Bowman膜…角膜上皮の直下に存在。再生能なし
・角膜実質…角膜の厚さの90%を占める。規則正しく並んだコラーゲン線維よりなり、透光性が高い。三叉神経第1枝が走行している
・Descemet膜…角膜内皮の直上に位置する。再生能あり
・角膜内皮…前房水から栄養を受けており、角膜の透明性の維持に重要な役割を果たしている。全く再生能がない
【機能】tight junctionにより、異物の侵入を防いでいる
【疾患】・角膜白斑…角膜実質にまで損傷が及んだ後、角膜が混濁して治癒してしまった状態
・水疱性角膜症…角膜内皮細胞数の大幅な減少による。失明の原因となる
・円錐角膜…進行性に角膜中央部が円錐状に隆起し、菲薄化する疾患。重度に進行した場合にはDescemet膜の破裂を伴う
強膜
sclera
【概念】眼球の外包を形成している線維性膜層で、角膜となっている前部1/6を除いた部分
【構造】後方は篩状板となっており、このすきまを視神経が通っている






虹彩
iris
【概念】眼の血管層の前方部分をつくる隔膜で、中心部は穴が開き(瞳孔)、周囲辺縁は強膜岬に付着している
【構造】支質と2層の網膜色素上皮からなり、副交感神経(動眼神経)支配の瞳孔括約筋と、交感神経支配の瞳孔散大筋がある
毛様体
ciliary
body
【概念】脈絡膜‐虹彩間の眼球血管膜の肥厚した部分
【構造】(内側から)
・毛様小帯(Zinn小帯)…水晶体と毛様突起を結ぶ細い線維の束
・毛様体無色素上皮…感覚網膜に連続
・毛様体色素上皮…網膜色素上皮に連続
・毛様体扁平部…脈絡膜に連続。前方では、毛様突起を形成
・毛様体筋…Mu¨ller筋(輪状筋)、放射状筋(斜行筋)、Bru¨cke筋(縦走筋)よりなる。いずれも副交感神経(動眼神経)支配
【機能】・房水の産生…毛様体無色素上皮で行われる
・水晶体の厚みの調節…Mu¨ller筋、Bru¨cke筋の収縮or弛緩によって、毛様小帯が弛緩or緊張するために起こる
脈絡膜
choroid
【概念】網膜と強膜の間に位置する眼球中層膜で、色素と血管に富む。前方は鋸状縁に始まり、後方は視神経乳頭縁に終わる
網膜
retina
【構造】
(内側から順に)
@内境界膜
A神経線維層…神経節細胞の軸索が存在
B神経細胞層…神経節細胞の細胞体が存在
C内網状層…双極細胞と神経節細胞がシナプスを形成
D内顆粒層…双極細胞・水平細胞などの細胞体が存在
E外網状層…視細胞と双極細胞などがシナプスを形成
F外顆粒層…視細胞の核が存在
G外境界膜
H視細胞層…視細胞の細胞体が存在
※@〜Hは感覚網膜ともよばれ、外胚葉由来。視細胞は脈絡膜血管により栄養されるが、他の細胞は内頸動脈由来の網膜中心動脈により栄養される
I色素上皮層…中胚葉由来で、感覚網膜とは全く異質の構造
【機能】・錐体cone…3種類の視物質を有し、色・形態を感じる(明所視)。黄斑部の中心窩に多く分布(中心視力)
・杆体rod…視紅(ロドプシン)を有し、主に明暗を感じる(暗所視)。中心窩から20〜30°の辺りに多く分布(周辺視力)
【疾患】・網膜剥離…H視細胞層とI色素上皮層の間が分離した状態
硝子体
vitreous
body
【概念】水晶体の後ろの眼球内部を満たしている透明なゼリー状物質。その網目の中に水様の液体(硝子体液)を含む繊細な線維網工(硝子体支質)から。無血管で透明
【疾患】・飛蚊症…硝子体の混濁による
水晶体
crystalline
lens
【概念】虹彩と硝子体液の間にある両側が凸面の透明細胞屈折体。無血管組織で透明
【構造】(外側から順に)
・水晶体嚢…水晶体を覆うカプセル
・水晶体上皮細胞…水晶体嚢の前面直下にのみ存在。房水から栄養を受け、嫌気的糖代謝を行っている
・水晶体皮質…水(約65%)と蛋白(約35%)から構成
・水晶体核…20歳頃から形成され始める
【機能】屈折と調節
【疾患】・白内障…水晶体核の硬化により、水晶体が混濁した状態
眼房
camera
bulbi
【構造】・前眼房…前の角膜と後ろの虹彩との間にある房水の充満した部分で、瞳孔を通じて後眼房に交通。角膜の強膜移行部と虹彩根部とで囲まれた部分は隅角とよばれ、房水の流出路として重要
・後眼房…前の虹彩と後ろの毛様体・水晶体との間にある房水の充満した部分で、瞳孔を通じて前眼房に交通
眼瞼
eyelid
【構造】(外側から)
・睫毛腺…Moll腺(睫毛汗腺)とZeis腺(睫毛脂腺)からなる
・眼輪筋…顔面神経支配の閉眼筋
・上眼瞼挙筋…動眼神経支配の開眼筋
・瞼板…眼瞼の縁に硬さと形を与える線維性の板。内部に脂腺のMeibom腺が存在
・瞼板筋(Mu¨ller筋)…交感神経支配の開眼筋
・眼瞼結膜…眼瞼の後面を覆う
【疾患】・外麦粒腫…睫毛のMoll腺・Zeis腺に生じる急性化膿性炎症
・内麦粒腫…瞼板のMeibom腺に生じる急性化膿性炎症
涙器
lacrimal
apparatus
【構造】・涙腺…眼窩の上外側部に位置する涙を分泌する腺。結膜円蓋部に開口
・副涙腺…Krause腺、Wolfring腺など。涙腺と同様の分泌物を結膜円蓋部に分泌
・涙点…涙液の流出口。内眼角付近に上下に2つある
・涙小管…涙点と涙嚢を結ぶ小管。上下に2本ある
・涙嚢…鼻涙管の上方の拡張した部分。2本の涙小管が注ぐ
・Hasner弁…鼻涙管の下部開口部を保護する粘膜のひだ。下鼻道とつながっている
【機能】涙液中にはIgAやリゾチーム、ラクトフェリンといった抗菌因子が含まれており、角膜からの細菌侵入を防止する機能を有する
【疾患】・慢性涙嚢炎…鼻涙管の閉塞により、涙嚢内に涙が貯留するために起こる
・急性涙嚢炎…慢性涙嚢炎が周辺に波及した状態
・新生児涙嚢炎…先天的なHasner弁の閉鎖による
結膜
conjunctiva
【概念】眼球前面と眼瞼後面を包む粘膜
【構造】・眼球結膜…強膜前面と角膜上皮を覆う。前半部は前毛様動脈の分枝である前結膜動脈に、後半部は眼瞼動脈弓の分枝である後結膜動脈にそれぞれ栄養されている
・結膜円蓋…眼球結膜と眼瞼結膜の結合により形成される空間。後結膜動脈により栄養されている
・眼瞼結膜…眼瞼後面を覆う。後結膜動脈により栄養されている
外眼筋
extraocular
muscle
【機能】・内直筋…眼球を内転させる。動眼神経支配
・上直筋…眼球を上内側に向ける。動眼神経支配
・下直筋…眼球を下内側に向ける。動眼神経支配
・外直筋…眼球を外転させる。外転神経支配
・上斜筋…眼球を下外側に向ける。滑車神経支配
・下斜筋…眼球を上外側に向ける。動眼神経支配
眼の血管系
【動脈系】
内頸動脈系(眼動脈)
毛様体動脈…前毛様体動脈、短後毛様体動脈、長後毛様体動脈よりなる。虹彩・毛様体を栄養
網膜中心動脈…網膜を栄養
・その他の血管は、結膜に分布する後結膜動脈を形成
外頸動脈系
浅側頭動脈、眼窩下動脈は内頸動脈系の涙腺動脈と吻合して血管網を形成。他に、眼角動脈
【静脈系】
海綿静脈洞に注ぐもの
網膜中心静脈、渦静脈、前毛様体静脈は上眼静脈、下眼静脈となり、海綿静脈洞に注ぐ
内頸静脈に注ぐもの
眼角静脈は内頸静脈に注ぐ
【疾   患】・結膜充血…後結膜動脈の領域の血管の炎症による
・毛様充血…前結膜動脈の領域の血管の炎症による
眼の機能
視力
visual
acuity
【定義】2点を2点として分離して見ることのできる最小視角が1分となるように作った指標を見分けえる視力の単位と定義
【検査】Landolt環を用いて5mの検査距離で行う。0.1の指標が読めない場合には読めるところまで近づく。50cmまで近づいても読めない場合には、指数弁、手動弁、光覚弁の順に検査を行っていく。光覚弁(−)の場合に"盲"となる
【表記】V.d.…右眼視力      V.s.…左眼視力
n.d.…指数弁      m.m.…手動弁      s.l.…光覚弁
( )…矯正視力      ×+…遠視矯正      ×−…近視矯正      cyl…乱視矯正      n.c.…矯正不能
視野
visual
field
【定義】固視した状態の眼の周辺視の範囲
【検査】・対面検査(対座法)…道具不要の非常に簡便な検査法
・周辺視野検査…Goldmann視野計で行う動的量的視野検査と、Tu¨binger視野計orコンピュータで行う静的量的視野検査とがある
・中心視野検査…30°以内の視野を調べる検査。河本式中心暗点計やAmslerチャートにてスクリーニングし、コンピュータによる自動視野計で定量的に解析
【異常】狭窄、暗点
色覚
color
vision
【定義】400〜800nmの波長に相当する可視光線が、網膜を刺激することによって、その各波長に応じて起こる感覚
【検査】・色盲検査表…色覚異常者の検出、分類、程度を判定できる。スクリーニング用
アノマロスコープ…淡色の黄色と混色の黄色とを対比させる。色覚の異常、種類、程度が決定できる。医学的診断用
・色相配列検査…少しずつ異なる色をした色キャップを順に並べさせる。異常の種類と程度が分かる。社会適性判定用
光覚
light
sense
【定義】光を感じ、その強さを区別する機能
【検査】明順応させた被検者を真っ暗な状態にもっていた後の、時間経過と、見ることのできる最低の指標の明るさとの関係を調べる。アダプトメーター(Nagel暗順応計)などを使用
【記録】暗順応曲線が得られる。最初の約10分間は第1次暗順応(錐体暗順応)、その後第2次暗順応(杆体暗順応)が起こる(この屈曲点をKohlrausch屈曲点という)
屈折
refraction
【概念】角膜、房水、水晶体、硝子体が屈折に関与している。屈折率はいずれも1.4前後であるが、屈折力は角膜が約43Dであるのに対して、水晶体は約20D(最大で約33D)
【状態】・正視…調節休止時に、眼に入った平行光線が網膜上に結像
・遠視…調節休止時に、眼に入った平行光線が網膜後方に結像
・近視…調節休止時に、眼に入った平行光線が網膜前方に結像
・正視…調節休止時に、眼に入った平行光線が1ヶ所に結像しない
【検査】・自覚的検査法…視力検査にて行う
・他覚的検査法…アトロピンなどで調節を休止させた上で、検影法・オートレフなどで屈折の状態をみる。また、乱視検査にオフタルモメーターなどがある
・小児の場合、調節力が強いため、調節痙攣との鑑別のために調節麻痺薬を用いた屈折検査が必要となる
【異常】
近視
軸性近視の他覚症状…網脈絡膜萎縮、コーヌス(強膜の透見)、豹紋状眼底(脈絡膜血管の透見)、黄斑部黒色斑(出血による)、後部ぶどう腫、硝子体変性(混濁、液化)
軸性近視の合併症…網膜剥離、脈絡膜出血
治療…最も弱い度数の凹レンズによる補正、LASIKなどの近視矯正手術
遠視
自覚症状…眼精疲労、頭痛、肩こりetc.
他覚症状…調節性内斜視(遠方視状態でも調節機能が働いて内斜視になる)
合併症…弱視(常にピンボケ状態にある遠視で起こる)
治療…最も強い度数の凸レンズによる補正
乱視
種類…どこかには結像する正乱視と、角膜表面の凹凸が激しく全く結像しない不正乱視とがある
自覚症状・合併症…視力障害、眼精疲労、単眼性複視、弱視
治療…円柱レンズによる補正
不同視
定義…両眼の屈折異常の程度に差がある状態。不等像視とは異なる
自覚症状・合併症…眼精疲労、弱視
治療…コンタクトレンズによる矯正
調節
accommodation
【概念】毛様体筋(Mu¨ller筋、Bru¨cke筋)の収縮or弛緩によって、毛様小帯が弛緩or緊張するために、水晶体の厚みは調節される
【検査】近点計やアコモデーターにて測定
【異常】老視水晶体の弾力性の低下による近見障害
・調節麻痺…毛様体筋の麻痺による近見障害。散瞳薬点眼時などに起こる
調節痙攣…毛様体筋の痙攣による遠見障害。縮瞳薬点眼、モルヒネ中毒、ヒステリー、眼の酷使などで生じる。治療は訓練や調節麻痺薬の点眼。眼鏡は過矯正になるため、不適
両眼視
binocular
vision
【定義】両眼を一緒に、同時に用いる能力
【種類】同時視(左右の眼で同時に見ることができる能力)、融像(単一視できる機能)、立体視(ものを立体的に見る機能)、抑制(左右の眼で異なるものを見た際に起こる防御機能)、網膜対応
【検査】大型弱視鏡(シノプトフォア)などで検査する
【異常】
斜視
定義…眼位の異常+両眼視機能障害
原因…遠視、外眼筋麻痺、両眼視機能異常、視力障害(視神経乳頭・網膜・黄斑の異常etc.)、遺伝
種類…内斜視、外斜視、上斜視(右眼固視時に左眼上斜視、左眼固視時に右眼下斜視。あるいはその逆)、交代性上斜視(一側眼固視時に他眼が上斜視)、A-V現象(水平斜視角が上方視と下方視で異なる)、下斜筋過動症
   ※6歳以前に片眼の視力が低下した場合には内斜視、6歳以降では外斜視になることが多い
検査…Hirschberg法(角膜反射法)や遮蔽-非遮閉試験などで行う
治療…屈折の矯正(特に小児遠視例)、外眼筋に対する種々の手術、斜視機能矯正(両眼視機能訓練)
弱視
定義…レンズで矯正することのできない視力低下
分類…斜視弱視(斜視による弱視)、遠視性弱視(不同視弱視と屈折性弱視がある)、廃用性弱視(先天性眼瞼下垂、先天性白内障、乳児期の視性刺激遮断などによる弱視)
検査…斜視同様、Hirschberg法(角膜反射法)や遮蔽-非遮閉試験などで行う
治療…屈折異常の完全矯正、遮蔽法(健眼を遮蔽する。やりすぎには注意)
輻輳・開散
convergence
& divergence
【定義】輻輳=平行の状態にある両眼の注視線を、そこから眼前の1点に向かわせる機能。同時に縮瞳と調節が起こる
開散=輻輳した状態から、両眼注視線を左右に開く機能
【異常】・輻輳麻痺…左右のむき運動は正常だが、近見障害がある。眼位はやや外斜位となり、交叉性の複視を伴う
・開散麻痺…左右のむき運動は正常だが、遠見障害がある。眼位は内斜位となり、同側性の複視を伴う
眼位
eye position
【定義】第1眼位=真っ直ぐ前方を見ている時の眼位
第2眼位=水平・垂直方向に眼球を動かした時の眼位
第3眼位=斜めに眼球を動かした時の眼位
【異常】
斜位
定義…眼位の異常のみで、両眼視機能は正常
種類…内斜位、外斜位、上斜位、下斜位、交代性上斜位、回旋斜位
眼球運動
eye movement
【機構】内転(内ひき)…内直筋の作用による
外転(外ひき)…外直筋の作用による
上転(上ひき)…上直筋・下斜筋の作用による
下転(下ひき)…下直筋・上斜筋の作用による
内方回旋…上直筋・上斜筋の作用による
外方回旋…下直筋・下斜筋の作用による
【異常】
眼筋麻痺
原因…重症筋無力症、複視、全眼筋麻痺(海綿静脈洞症候群、上眼窩裂症候群、眼窩先端部症候群などによる)
眼振
定義…眼球の不随意的往復運動
種類…振り子様眼振(眼球の往復運動速度が一定。先天的or乳児期に発生した視力障害により生じる)、衝動性眼振(往復運動の速度が一方に速く、他方には緩やか。急速相の方向が眼振の方向。前庭神経路の障害による)
瞳孔反応
pupillary
reaction
【種類】対光反射(直接反射と間接反射)、近見反応(近見時に、輻輳・調節・縮瞳)、精神性散瞳反応(精神興奮時に散瞳)、三叉神経反射(三叉神経第1枝への持続的な疼痛刺激により、瞳孔は少し散大した後に縮小)
【検査】Haab瞳孔計による瞳孔径の測定、交互対光反射試験、輻輳反応検査、イリスコーダーによる定量的瞳孔面積測定
【異常】
Argyll Robertson瞳孔(反射性瞳孔強直)
原因不明。直接・間接対光反射消失+輻輳反射正常+両眼の縮瞳
Adie瞳孔(瞳孔緊張症)
原因不明。若い女性に片眼性に発症。対光反射消失or微弱+散瞳+近見反応可能(縮瞳が緩徐)。深部腱反射の消失を伴う
Horner症候群
交感神経節or節後線維の障害による。片側性の中等度縮瞳+軽度眼瞼下垂+眼裂狭小。患側顔面の発汗減少、眼圧低下、調節域拡大、虹彩色素異常などを伴う
主要症候
視力障害
【分類】・中間透光体の障害…角膜(変形、変性、炎症による混濁)、水晶体(脱臼、白内障)、硝子体(硝子体出血)
・網膜・ぶどう膜の障害…網膜剥離、網脈絡膜炎、網膜変性、網膜出血、ぶどう膜炎
・緑内障
・視神経・視路の障害…視神経炎、視神経萎縮、脳腫瘍、脳出血、薬物中毒
・屈折・調節障害、機能的障害…近視、遠視、乱視、老視、斜視、弱視
・全身性疾患に合併する障害…糖尿病、高血圧症、動脈硬化症
・心因性の障害…ヒステリーetc.
【診断】
急性発症の場合
原因の大部分は血管障害と外傷。原因を特定して早く治療を開始しなければいけない疾患が多いが、その中でも特に一刻を争わなければならないのは酸・アルカリによる化学外傷と網膜中心動脈閉塞症
緩徐発症の場合
中間透光体の障害や屈折・調節の障害が原因である場合が多い
【検査】結膜や中間透光体の検査⇒細隙灯顕微鏡検査
屈折・調節検査⇒視力検査
緑内障の検査⇒眼圧検査etc.
網膜や視神経乳頭の検査⇒眼底検査
視神経・視路の検査⇒視野検査、異常があれば頭部CT・MRI












視野狭窄
【分類】
求心性視野狭窄
概念…視野の周辺から、ほぼ均等に視野が欠けていく型
原因疾患…網膜色素変性症、緑内障の末期、脊髄癆性視神経萎縮、ヒステリー(管状視野、らせん状視野が特徴的)、メチル水銀中毒etc.
切痕視野狭窄
概念…視野の周辺からくさび状or扇状に視野が欠けていく型
原因疾患…網膜剥離、網膜出血(網膜静脈分枝閉塞症、糖尿病網膜症、Eales病etc.)、網膜動脈分枝閉塞症、緑内障の中等度進行例(鼻側狭窄が特徴的)etc.
半盲
【分類】
異名半盲
概念…両眼の視野の反対側半分が欠損。黄斑回避(−)
障害部位…視交叉のレベル
分類…両耳側半盲(視交叉が内側から障害される下垂体腺腫頭蓋咽頭腫が原因)、両鼻側半盲(臨床的には両側緑内障が原因の場合が多い)
同名半盲
概念…両眼の視野の同側半分が欠損。外側膝状体より中枢の障害では黄斑回避(+)
障害部位…視索より中枢の視覚伝導路のレベル
四分の一半盲
障害部位…外側膝状体より中枢の部分的障害
原因疾患…側頭葉病変における上1/4半盲が有名。頭頂葉病変では下1/4半盲となることがある
暗点
【分類】
中心暗点
概念…注視点の暗点
原因疾患…黄斑部の障害(中心性網脈絡膜炎、黄斑変性症)、乳頭黄斑線維束の障害(急性球後視神経炎
盲点中心暗点(石津暗点)
概念…Mariotte盲点と中心暗点が連続したもの
原因疾患…球後視神経炎に特徴的
傍中心暗点
概念…注視点付近に認められる暗点
障害部位…黄斑部の周辺部
輪状暗点
概念…中心視野と周辺視野は保たれるが、その中間部分が欠損
原因疾患…網膜色素変性症の初期開放隅角緑内障etc.
Mariotte盲点の拡大
概念…注視点の耳側およそ15°の位置にあるMariotte盲点が拡大した状態
原因疾患…うっ血乳頭緑内障の初期(Mariotte盲点の上下への拡大をSeidel暗点Bjerrum暗点という)
閃輝性暗点
概念…突然、キラキラと輝く閃光が現れ、次いで限局性の視野欠損が出現するというもの。片頭痛の前兆として有名
色覚異常
【分類】
先天性色覚異常
異常3色型
色覚(色弱)
赤色弱(第1色弱)…赤色とその補色の青緑色との区別がつきにくい。XR遺伝性
緑色弱(第2色弱)…緑色とその補色の赤紫色との区別がつきにくい。XR遺伝性
青色弱(第3色弱)…非常にまれ
2色型色覚
(部分色盲)
赤色盲(第1色盲)…赤色とその補色の青緑色との区別ができない。XR遺伝性
緑色盲(第2色盲)…緑色とその補色の赤紫色との区別ができない。XR遺伝性
青色盲(第3色盲)…非常にまれ
1色型色覚
(全色盲)
杆体1色型色覚…錐体機能が消失し、視力は0.1前後、昼盲・羞明・眼振を伴う。AR遺伝性
錐体1色型色覚…錐体機能のうち色覚のみが消失。原則として随伴症状なし。非常にまれ
後天性色覚異常
原因…種々の黄斑部疾患(中心性網脈絡膜炎、視神経炎、網膜剥離etc.)、白内障手術後の無水晶体眼(⇒ものが青みがかって見える)
合併症…中心視力の低下
夜盲症
【概念】網膜の杆体機能の障害で起こる暗順応の障害
【原因】先天性停止性夜盲…小口病、眼底黄斑症、眼底白点症etc.
先天性進行性夜盲…網膜色素変性症、白点状網膜炎、全脈絡膜萎縮症etc.
後天性夜盲…特発性夜盲(Vit. A欠乏)、眼球鉄症の初期、緑内障の末期etc.
眼痛
【疾患】
深部痛、穿刺痛をきたす疾患
虹彩の炎症、眼窩組織or副鼻腔の炎症、眼窩の骨周囲炎・膿瘍、帯状ヘルペス、球後視神経炎、眼窩神経痛(三叉神経痛)、内頸動脈・Willis輪動脈瘤etc.
鋭敏な痛み、圧痛をきたす疾患
眼瞼の炎症(麦粒腫、化膿性霰粒腫etc.)、涙腺炎、急性涙嚢炎、眼窩蜂窩織炎・膿瘍、眼窩の骨周囲炎、急性結膜炎、強膜炎・上強膜炎、角膜炎、虹彩毛様体炎、副鼻腔炎、発熱時、頭痛時etc.
頭痛を伴う眼痛をきたす疾患
屈折異常、眼筋麻痺、急性緑内障発作、副鼻腔炎、頭蓋内圧亢進時、眼球・付属器の炎症etc.
眼精疲労
【概念】ふつうの人なら疲れない程度の眼の使用なのに、眼の疲れが著しく出てしまう状態
【症状】眼の痛み、充血、流涙、かすみ、羞明、視力低下、複視、重圧感、悪心・嘔吐etc.
【分類】調節性眼精疲労…遠視、乱視、老視、調節麻痺、調節痙攣、眼鏡の不適性使用などが原因となる
筋性眼精疲労…斜視、斜位、眼筋麻痺、輻輳異常などが誘因となる
不等像性眼精疲労…両眼の近視性乱視で、左右の眼鏡のデータがかけ離れている場合に起こりやすい
症候性眼精疲労…角結膜の器質的疾患(ドライアイ、角膜炎、結膜炎etc.)、緑内障発作の初期などにみられる
神経性眼精疲労…精神的緊張の持続が原因
複視
【分類】同側性複視…仮像(麻痺眼で見える像)が麻痺眼と同側の場合。外直筋麻痺で起こる
交叉性複視…仮像が麻痺眼と反対側の場合。内直筋麻痺で起こる
眼位異常
【分類】
眼球偏位の分類
第1偏位(健眼で目標を固視した時の麻痺眼の偏位)、第2偏位(麻痺眼で目標を固視した時の健眼の偏位)に分けられる。生じたばかりの麻痺では、通常第2偏位が第1偏位より大きくなる
眼位異常の分類
 概念原因・
発症様式
弱視・
両眼視異常
眼球運動障害・
頭位異常
複視その他の
神経学的異常
麻痺性
斜視
注視方向によって偏位度に差があるもの後天性
(急性発症が多い)
±〜+
共同性
斜視
注視方向によって偏位度に差がないもの先天性
(小児期に発症)
−〜±
眼球運動
障害
【分類】
 障害部位原因疾患症状
核上性
麻痺
中枢性麻痺中脳より上脳出血、脳梗塞etc.注視麻痺、むき運動障害、共同偏視etc.
核間性
麻痺
MLF症候群内側縦束MS、脳底動脈分岐部梗塞etc.内転障害、輻輳正常、眼振etc.
核性・
核下性
麻痺
動眼神経麻痺動眼神経核Benedikt症候群、Weber症候群、DM etc.外直筋・上斜筋を除く外眼筋麻痺、眼瞼下垂、散瞳etc.
滑車神経麻痺滑車神経核頭部外傷、血管障害etc.上斜筋麻痺、Bielschowsky頭傾試験
外転神経麻痺外転神経核DM、腫瘍、MS etc.外直筋麻痺
筋性障害外眼筋MG、外眼筋ミオパチーetc.眼瞼下垂、外眼筋麻痺etc.
飛蚊症
【概念】まるで蚊や虫が飛んでいるように、黒い影が見える状態
【疾患】中間透光体の混濁をきたす硝子体〜網膜の病変(硝子体混濁、硝子体出血、硝子体剥離、網膜剥離、ぶどう膜炎etc.)で顕著にみられるが、角膜や水晶体の混濁では現れない
しかし、時に眼科的疾患がないにもかかわらず、飛蚊症を呈することがあり、生理的飛蚊症とよばれる
 生理的飛蚊症病的飛蚊症
形の特徴黒糸くず様、クモの巣様
輪状のこともある
尾を引く
色の特徴透明でほぼ無色であることが多い
色があっても薄い
黒い
眼球の動きとの関係常に視野の同じところ関係なく飛ぶ
視力障害なしあり
経過の特徴変化しない徐々に悪化することが多い
眼の充血
【分類】
 結膜充血毛様充血
充血部位周辺部球結膜(角膜から遠ざかるほど強い)
結膜充血
角膜周囲の充血(角膜周擁充血)
毛様充血
血管系後結膜血管系毛様血管系(+前結膜血管系)
深さ表在性深在性
移動性
鮮紅色紫色調
血管収縮薬への反応性直ちに消退ほとんど消退しない
瞼結膜・円蓋部の充血
主な疾患結膜炎角膜実質炎、強膜炎、虹彩毛様体炎etc.
流涙
【概念】涙が眼の周りから溢れて皮膚を伝わってこぼれ出る状態。放置すると、眼瞼炎や眼瞼皮膚炎を起こすことがある
【原因】涙液過多分泌…ほとんどは角膜の障害が原因。角膜炎、角膜潰瘍、角膜びらん、外傷etc.
涙道通過障害…急性涙嚢炎、慢性涙嚢炎、鼻涙管閉塞、鼻涙管狭窄etc.
眼脂
【原因】結膜の炎症(細菌性・ウイルス性・アレルギ―性)、涙嚢の炎症、鼻涙管の狭窄・閉塞etc.
羞明
【概念】ふつうの人には何でもない光が、とてもまぶしく感じられて、眼が痛い、涙が出るなどと訴える状態
【原因】角膜の障害…角膜の表層の疾患(表層性角膜炎、角膜上皮びらん、眼瞼内反・睫毛内反による角膜への刺激)、角膜実質の疾患(実質炎、潰瘍)、角膜異物、化学物質による腐食etc.
虹彩の異常…虹彩毛様体炎、無虹彩、虹彩欠損etc.
先天的な原因…先天性緑内障1色型色覚、白子眼etc.
眼球突出
【分類】
片眼性眼球突出
眼窩内の占拠性病変眼窩蜂窩織炎、眼窩内出血、眼窩腫瘍(涙腺腫瘍etc.)などが原因となる
副鼻腔の占拠性病変前頭洞・上顎洞・蝶形骨洞の炎症・粘液嚢胞などが原因となる
海綿静脈洞血栓症眼窩蜂窩織炎に類似の症状が短時間で出現する
内頸動脈
海綿静脈洞瘻

(CCF)
動脈瘤破裂・外傷etc.⇒内頸動脈海綿静脈洞瘻の形成⇒海綿静脈洞圧↑⇒静脈うっ血⇒動脈性の拍動を伴う眼球突出を呈する。その他、結膜充血、外眼筋麻痺、眼瞼腫脹、眼圧上昇、散瞳、三叉神経痛、角膜知覚消失、網膜中心静脈の怒張・出血、乳頭浮腫などを伴う      ※von Recklinghausen病でも時に拍動性の眼球突出を認める
両眼性眼球突出
内分泌
疾患
甲状腺機能異常Basedow病などの甲状腺機能亢進症の他、TSH↑を伴う甲状腺機能低下症などでも認められる。症状としては、眼瞼後退(強膜の露出)、Graefe症状(眼瞼遅れ)、Dalrymple症状(瞼裂開大)、Gifford症状(上眼瞼反転不能)、Moebius症状(輻輳不全)etc.
骨疾患尖頭蓋頭蓋骨の横径・前後径が短い⇒頭蓋内体積↓⇒眼球突出
Crouzon病下顎が突出して見えるカエル様顔貌⇒頭蓋内体積↓⇒眼球突出。その他、近視を伴うことが多い
代謝疾患Hand-Schu¨ller-
Christian病
皮膚の播種性黄色腫、頭蓋骨の円形骨欠損、尿崩症、黄色腫の眼窩内沈着による眼球突出が特徴
血液疾患白血病特にAMLによる緑色腫に伴って起こることが多い
検査
Hess赤緑試験
【概念】眼球偏位の計測に用いられる検査
【方法】片眼に赤のガラス、他方の眼に緑のガラスを入れた眼鏡を装着した状態で、眼位図を記録していく
【疾患】眼球運動障害があれば、眼位図の動きが減る。複視のある症例には必ず行われる
斜照法
【概念】斜めから眼に光を当てて観察。角膜、前房、瞳孔、虹彩、水晶体が観察できる
徹照法
【概念】徹照器を用いて行う窩洞の検査。瞳孔から入れた光を眼底で反射させ、その反射光を観察
【所見】中間透光体に混濁があれば、不整な陰影の部分が生じる
細隙灯顕微鏡
検査法
【概念】現在、眼科で広く用いられている眼球内観察法。結膜、角膜、前房、虹彩、水晶体、硝子体の観察ができる他、付属のアタッチメントを使用することで眼圧検査ができ、また付加レンズ(Goldmann三面鏡etc.)を使用することで隅角部や眼底の周辺部の観察も可能である(ただし、角膜に混濁がある場合は眼底の観察は不可能)
眼底検査法
【方法】・直像法…直像鏡(Goldmannの一面鏡、三面鏡etc.)を用いて観察
・倒像法…倒像鏡(20ジオプター程度の凸レンズ)を用いて観察
【所見】@乳頭…形状、色調(視神経萎縮の有無)、凹凸度(緑内障では陥凹する)、境界の鮮明度
A網膜…色調、浮腫・反射・出血・白斑・裂孔・変性の有無
B血管…走行、反射、硬度、色調、太さ、動静脈交叉の有無(高血圧、動脈硬化性変化etc.)
螢光眼底造影法
(FAG)
【方法】10%フルオレセインナトリウム液を肘静脈から静注すると、7〜8秒後、脈絡膜毛細血管に蛍光色素が流入し始め、黄斑部を除く眼底部が明るくなる(脈絡膜フラッシュ)。さらに1秒後、網膜中心動脈が映り始め(網膜動脈相)、続いて、網膜毛細血管が映る(網膜毛細血管相)。最後に約15秒後、網膜中心静脈が映る(網膜静脈相)
【疾患】原田病、糖尿病網膜症、中心性漿液性脈絡網膜症、うっ血乳頭、老人性円板状黄斑変性など網脈絡膜や視神経乳頭部に病変を有する疾患に有効(高血圧性網膜症は眼底検査で十分診断できるため、蛍光眼底造影法を行う意義は少ない)。また、高安病や頸動脈閉塞症などでは腕網膜時間が延長する
【所見】
網膜上の白斑
硬性白斑…網膜の浮腫、代謝障害によって生じた代謝産物の貯留。糖尿病網膜症、高血圧性網膜症、網膜静脈閉塞症などでみられる
・軟性白斑…網膜小血管の閉塞による神経線維の浮腫。高血圧性網膜症、膠原病などでみられる
・星状斑…黄斑部障害により、硬性白斑が中心窩を中心に放射状に配列したもの
・滲出斑…網膜or脈絡膜から滲出した炎症細胞浸潤。サルコイドーシス、トキソプラズマ症、滲出性網膜炎などでみられる
・ドルーゼ…後極部に黄白色の小白点として点在する脈絡膜、Bruch膜の疣性肥厚。老人性変化、白点状網膜炎などでみられる
網膜上の赤い斑
網膜出血、網膜裂孔、小血管瘤、血管腫でみられる
眼底血圧測定法
【概念】網膜動脈血圧を検査する方法
【方法】眼球壁を圧迫しながら、眼底の乳頭状の中心動脈の拍動の変化をみる
【所見】正常値は60〜80mmHg/40mmHg
涙器検査法
【方法】・Schirmer法…濾紙を下眼瞼に挟み、その濡れ具合をみる。正常では、10〜30mm/5分
・ローゼベンガル試験…ローゼベンガル液を点眼して、角結膜を観察。涙液分泌が低下していれば、多発びらんが認められる
・涙嚢洗浄試験…涙点から涙嚢洗浄針を挿入して、生食を注入。涙嚢が閉塞していれば、注入できない
・涙嚢ブジー法…ブジーを涙点から挿入し、鼻腔まで通るかどうかを調べる検査
角膜検査法
【方法】・フルオレセイン染色法…フルオレセインで角膜を染色した後、スリットランプを青色にして観察すると、角膜上皮のびらん・潰瘍部位が蛍光緑色に見える
・角膜知覚検査…綿糸の先のようなもので角膜に触れる検査
緑内障検査法
【目的】眼圧の直接測定、房水流出路の狭窄の有無の確認      ※眼圧の正常範囲は14〜16mmHg
【方法】・眼圧測定法…触診法で目安をつけ、Schio¨tz眼圧計などを用いた圧入眼圧検査あるいはアプラネーション眼圧計などを用いた圧平眼圧検査を行う
・トノグラフィー…圧入眼圧計を角膜に載せた時の眼圧の時間的な変化をみる。得られるグラフのパターンから隅角の狭窄の有無が分かる
・隅角検査…細隙灯とGoldmann型三面鏡を用いて、房水流出路の狭窄の有無を確認する
放射線検査法
【種類】眼窩撮影…前後・左右、Waters法、断層撮影などが行われる
視神経管撮影…視神経管骨折診断の際に重要
眼窩内異物撮影…眼内異物・眼窩内異物の検索に用いられる
眼科ME
【種類】
網膜電図(ERG)
概念…網膜に光刺激を加えた際に発生する網膜の活動電流を記録したもの(網膜全体としての機能を他覚的に検査するための方法)
正常…ERP、a波(視細胞起源)、b波(ミューラー細胞起源)、OP(アマクリン細胞起源の4つの小波)
異常…網膜色素変性症(⇒各波の減弱or消失)、糖尿病網膜症・網膜中心動脈閉塞症(⇒OP消失)、視神経萎縮・高血圧眼底(⇒b波の増強)
眼電図(EOG)
概念…眼球運動を電気的に記録する方法
正常…暗順応では振幅が小さく、明順応では大きくなる
異常…網膜色素変性症(⇒明暗による変動↓↓)、眼振(⇒電気眼振図にて異常)、脳幹・小脳病変(⇒視標追跡検査・視運動眼振検査にて異常)etc.
眼筋電図(EMG)
概念…外眼筋の活動電位を記録するもの
異常…MG(⇒waning現象)
視覚誘発電位(VEP)
概念…網膜への光刺激によって、後頭葉に誘発された脳波のこと
超音波検査法
Aモードエコー⇒眼軸の長さを測定。白内障の術前検査として必ず行われる
Bモードエコー⇒網膜芽細胞腫、脈絡膜腫瘍、眼球内異物、網膜剥離、硝子体混濁、眼窩内腫瘍などの診断に用いられる
眼球突出度測定法
【方法】Hertel眼球突出計を用いて、眼窩の外側縁から角膜頂点の距離を測定。正常値は平均13〜17mm
治療
光凝固
【原理】レーザー光を眼底に集光するとそのエネルギーが熱に変換され、網膜に吸収されて、蛋白組織が凝固される
【種類】クリプトンレーザーが現在では主流。特殊なレーザーにYAGレーザーがある
【適応】未熟児網膜症…血管新生を抑制させる目的
網膜中心静脈閉塞症などの出血性疾患…出血や滲出物の吸収を促進させる目的
糖尿病性網膜症…網膜の酸素需要を減らすことにより、循環を改善させる目的
裂孔原性網膜剥離、網膜格子状変性症…網膜を固着させる目的
・その他、中心性網脈絡膜炎、老人性黄斑変性、Coats病、腫瘍etc.
※YAGレーザーの適応は、前眼部組織の切開、硝子体腔内の膜や索状物の切除etc.
【注意】黄斑中心窩は回避しなければならない
冷凍凝固
【方法】−60℃前後のチップを強膜に当てて、数秒間かけて脈絡膜や網膜を凝固させる方法
【適応】光凝固とほぼ同じ
角膜移植
【方法】透明な角膜を移し替える手術で、方法としては部分全層移植が主
【適応】円錐角膜、角膜変性症、角膜白斑、角膜炎、角膜潰瘍などが原因で角膜に変形や混濁を生じてしまい、その他の眼機能は良好なのに視力が低下してしまっている症例








散瞳薬
【薬剤】
コリン作動性神経遮断薬
硫酸アトロピン…散瞳と調節麻痺作用を有し、その効果は約2週間持続する。虹彩後癒着予防効果を期待して、虹彩毛様体炎の治療や内眼手術の前後に使用される。副作用としては、口渇、粘膜乾燥、顔面潮紅、頻脈など。禁忌としては、緑内障、前立腺肥大症など
・トロピカミド…眼底検査を行う際に散瞳目的で使用される
アドレナリン作動性神経刺激薬
・塩酸フェニレフリン…眼底検査を行う際に散瞳目的で使用される
縮瞳薬
【薬剤】
コリン作動性神経刺激薬
塩酸ピロカルピン緑内障の治療に用いられる。副作用として夜間視力の低下
コリンエステラーゼ阻害薬
・サリチル酸エゼリン・ヨウ化エコチオパート…緑内障の治療に用いられる
・臭化ジスチグミン…眼筋型重症筋無力症、緑内障、調節性内斜視に用いられる
調節麻痺薬
【薬剤】
コリン作動性神経遮断薬
・硫酸アトロピン・塩酸サイクロペントレート…小児の遠視検査の際によく使用され、単純な屈折異常と調節痙攣との鑑別に有用。同時に散瞳をきたす
薬剤性眼障害
クロラムフェニコール→中毒性視神経症
クロロキン→網膜症、角膜症、黄斑部変性症
ステロイド→白内障、緑内障(点眼の場合)
ジギタリス→視力障害、色視症(主として黄視症)、光視症
エタンブトール→視神経炎
アルコール(中毒)→軸性視神経萎縮、ラケット状中心暗点(石津暗点)、視力障害、羞明etc.
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