妊娠の成立と維持
【概念】受精した卵が母体内に存在し、しかも受精卵と母体との間に器質的結合が成立している状態。着床で始まり、分娩で終了する
【成立】
妊娠の成立には、排卵、排精、受精、着床という4現象が必要
排卵ovulation…第1成熟分裂(減数分裂)が起こり、卵管内に排出される
※受精直前の卵子には第1極体が1つあるのみで、第2極体が2つ完成されるのは受精直後
受精fertilization…排卵から24時間以内に、卵管膨大部において、精子と卵子が結合して、細胞質と核が融合。卵細胞の活性化が惹起され、第2成熟分裂(等数分裂)が再開される
・分割…受精後27時間から43時間後に開始され、約3日後には桑実胚になる
・輸送…卵管粘膜の線毛運動と卵管壁の蠕動運動により行われ、エストロゲンによって促進される。その結果、受精の約4日後に、子宮腔内に到達する
着床implantation…受精卵が子宮壁に接着。排卵後7〜8日後胞胚期)に開始され、胚が完全に分泌期中期の子宮内膜に埋没するまで4日間要する
胞胚期
受精現象
【維持】
妊娠の維持機構として、内分泌機構、免疫学的機構、成長因子などが関与する
・内分泌機構
 分泌細胞分泌量の推移作用
ヒト絨毛性
ゴナドトロピン
(hCG)
絨毛上皮の合胞体栄養膜細胞着床直後から分泌が始まり、その後漸増し、妊娠8〜11週でピーク(10〜20万IU/l)を示し、以後急減着床期周辺における卵巣でのステロイド合成に必要な補酵素活性を高め、妊娠黄体の機能を積極的に修飾して子宮内膜の妊娠性変化を助長する
ヒト胎盤
ラクトーゲン
(hPL)
絨毛上皮の合胞体栄養膜細胞妊娠初期より次第に漸増して妊娠末期にピークに達し、分娩後速やかに消失する強い脂質分解作用と糖源分解作用を有し、母体血中の糖を上昇させる。妊娠母体血中の糖は胎児に転送され、胎児のエネルギー源、同化の資材として、間接的に胎児の発育を促進する
エストロゲン絨毛上皮の合胞体栄養膜細胞。E3は、胎児副腎由来のDHA-Sが胎盤で芳香化されることにより生成される排卵日前日にピークを示した後、いったん低下するが再び増加し、妊娠の進行とともに著明に増加して妊娠末期まで上昇を続ける妊娠時子宮筋細胞の肥大増殖を起こし、また子宮内膜を増殖させ、脱落膜血管の繁生を促す。また筋層の収縮を促し、子宮筋のトーヌスを増強させる。妊娠維持に働く
プロゲス
テロン
妊娠6週までは妊娠黄体が主。その後は、絨毛上皮の合胞体栄養膜細胞が主排卵後漸増を続け、8〜9ヶ月でピークを示し、妊娠10ヶ月でやや減少して分娩に至るエストロゲンと共同して子宮内膜内小血管の発育を促し、子宮内膜を脱落膜に変換させる。また子宮筋収縮に対しては抑制的に作用し、妊娠維持に働く
プロラクチンの分泌は、妊娠中増加して、妊娠末期にピークとなり、産褥期には減少する
・免疫学的機構…栄養胚葉のMHC発現(−)、母体の抗体・NK細胞・CTL・Mφなどの攻撃に対する抵抗性(+)、栄養胚葉からの免疫抑制物質の産生などの機序を介して、胎児組織は母体に対して免疫寛容の状態となっている
・成長因子…脱落膜から産生される。CSF-1・GM-CSF・IL-3は絨毛の発育・機能発現を促進する。TGF-α・EGFがhCGの産生を促進するのに対し、TGF-βは栄養胚葉の発育・増殖を阻害するが、合胞体栄養膜細胞の形成を促進する
【期間】
妊娠期間…最終月経日より起算。満280日、妊娠40週0日が分娩予定日
妊娠初期…妊娠第4ヶ月まで
妊娠中期妊娠第5ヶ月〜7ヶ月末まで
妊娠末期…妊娠第8ヶ月以降
胎児付属物
胎盤
placenta
【形   成】胎児由来の繁生絨毛膜と母体由来の床脱落膜より形成される。妊娠2ヶ月末に始まり、妊娠4ヶ月末頃に完成する
【構   造】床脱落膜緻密層を底とする容器にらせん動脈由来の母体血を満たし、その中に絨毛膜板から懸垂する絨毛を浮遊させた状態。絨毛内を循環する胎児血液と絨毛間腔の母体血とは交通せず、物質交換は胎児血管の内皮、絨毛間質および絨毛上皮の3層を隔てて行われる
【内分泌】
 作用
ヒト絨毛性
ゴナドトロピン
(hCG)
黄体刺激⇒プロゲステロン分泌↑⇒妊娠維持
・胎盤のプロゲステロン、プレグネノロンなどのステロイドホルモンの産生↑
・胎児副腎に作用⇒デヒドロエピアンドロステロンの産生↑
・胎児精巣に作用⇒テストステロン産生↑⇒性腺分化促進
・胎児卵巣に作用⇒FSH様作用⇒卵巣機能を制御
・甲状腺刺激⇒妊娠中母体は甲状腺機能亢進状態
ヒト胎盤性ラク
トーゲン(hPL)
・トリグリセリドの分解↑⇒生じた遊離脂肪酸とグリセロールが母体のエネルギー源となる
   ⇒結果的に、グルコースは胎児のエネルギー源として利用される
その他、ヒト絨毛性サイロトロピン(hCT)、ACTH、PRL、GH、LH、FSH、エストロゲン、プロゲステロンなども胎盤から分泌されている
【発   育】妊娠4ヶ月で形態的・機能的に完成した後、絨毛の増殖によって増大し、妊娠10ヶ月半ばくらいまで発育を続ける。胎盤重量は妊娠初期では胎児より重いが、妊娠末期では胎児体重の約1/6(約500g)に相当するようになる
卵膜
fetal
membrane
【構造】
脱落膜 decidua
分泌期にある子宮内膜が受精卵の着床によって高度に肥大増殖したもの。大型で卵形の脱落膜細胞が緻密に子宮腺の間を埋めて存在する表層の緻密層、多数の拡大した子宮腺のみられる海綿層および基底層からなるが、分娩時には海綿層で剥離が起こる。また、脱落膜からは多量のプロラクチンが分泌されており、羊水中の高PRL血症の起源と考えられている
絨毛膜 chorion
脱落膜と羊膜の間に介在し、胎芽の栄養胚葉由来の絨毛上皮(外絨毛膜)と中胚葉由来の絨毛間質(内絨毛膜)からなり、前者は外側の合胞体栄養膜細胞(ジンチチウム)と内方の細胞性栄養膜細胞(Langhans細胞)の2層、後者は中胚葉の膠様結合織と血管から構成される
羊膜 amnion
外胚葉由来の1層の上皮細胞とこれを被包する中胚葉性の結合織からなり、卵膜の最内層をなす。血管を全く有さない強靭な膜で、胎盤胎児面より臍帯表面を覆い、臍部に達して胎児皮膚に移行する
臍帯
umbilical
cord
【形成】胎生初期に中胚葉から形成された付着茎が、胚外体腔の閉鎖とともに尿嚢および卵黄管を含んで延長したもの
【構造】2本の臍動脈と1本の臍静脈が走行している
【発育】妊娠末期には長さ50〜60cm、直径1〜2cmで、胎児の子宮内回転運動の結果、らせん状に捻転する
【異常】臍帯結節がみられる場合がある。臍帯結節は、胎児の運動などによって臍帯が結ばれて生じる真結節と、臍帯の一部に外観上結節状の肥厚が生じてできる偽結節とがある
羊水
amniotic
fluid
【概念】羊膜腔を満たす液
【性状】弱アルカリ性(pH8.0〜9.0)で、比重1.006〜1.012。妊娠初期には透明であるが、妊娠末期には胎児皮膚からの剥離物を混じてやや混濁する。羊水量は胎盤完成期以後急速に増加し、妊娠28週末でピークを迎え、以後次第に減少し妊娠末期には50〜500mlとなる(800ml以上では羊水過多とされる)
【産生】羊水の産生源は、羊膜上皮細胞と胎児の腎・呼吸器・皮膚などである
【効用】妊娠中、胎児各部分の癒着を防ぎ、臍帯、胎盤および胎児への外圧を防ぎ、胎児の運動を自由にして四肢の発育を助け、また胎児の運動が母体に及ぼす影響を緩和する機能をもつ。さらに分娩時には、軟産道の開大促進、子宮収縮による胎児などへの機械的圧迫の防止、胎盤早期剥離の防止などの作用の他、破水により産道通過を容易にする作用も有する
胎児-胎盤系の生理
胎児循環
妊娠による母体の変化
















子宮
子宮体部
子宮は筋線維の増殖肥大により、以下の表のように増大する
 子宮の大きさ子宮底の高さ恥骨結合上縁から
子宮底までの長さ1
徴候2
8週鵞卵大  Piskacek徴候、Gauss徴候
12週手拳大  Piskacek徴候、Hegar第1徴候
16週小児頭大恥骨結合上2〜3横指12cmHegar第1徴候
20週成人頭大恥骨結合と臍との中間15cm子宮収縮性増強
24週 臍高21cm子宮収縮性増強
28週 臍上2〜3横指24cm子宮収縮性増強
32週 剣状突起と臍との中間27cm子宮収縮性増強
36週 剣状突起下2〜3横指30cm子宮収縮性増強
40週 剣状突起と臍との中間33cm子宮収縮性増強
1 子宮底長…妊娠中期以降は、子宮底長=妊娠週数×3/4+3cm
2 Piskacek徴候…子宮の形が左右非対称
     Gauss徴候…子宮の可動性が著しく高まる
     Hegar第1徴候…子宮体部の軟化のために、子宮峡部が双合診で内診指と外診指が直接触れるように感じる
子宮頸部・膣部
妊娠による大きさの変化はない。体部より遅れて軟化する。子宮腟部は妊娠初期より暗紫色となる(リビド着色)。初産婦では妊娠末期に子宮腟部が前腟円蓋の方向に引き延ばされて、内診上短く触知するようになる
子宮峡部
非妊時は1cmほどであるが、妊娠末期には7〜10cmに伸展する
子宮
付属器
卵管・子宮円索・仙骨子宮靱帯・広靱帯は、子宮の増大とともに肥大・延長・上昇などをきたす。卵巣は、妊娠3ヶ月頃まではhCGの作用や、血管の肥大、間質細胞の増殖などにより増大を続けるが、以降は退縮に向かい、最終的に妊娠黄体は分娩後白体となる
無月経リビド着色(Chadwick徴候)、pHの低下(←グリコーゲン含有量の増大による)、腟分泌量の増加、白色乳汁状の帯下etc.
外陰部肥大、色素沈着(++)、皮脂腺・汗腺の分泌量↑etc.
乳房妊娠2ヶ月頃より乳房の増大が始まり、妊娠末期には非妊時の数倍の重量となる。乳腺は妊娠の比較的早期より分泌能をもつようになり、妊娠の進行とともに分泌物は乳白色から黄色味を帯び、その粘稠度も増加する








循環器系血液…血漿量↑↑、RBC↓、Hb↓(総Hb量は↑)、Ht↓(⇒妊娠貧血の原因)、WBC↑、Plt↑、TP↓(総蛋白量は↑)、A/G比↓、フィブリノゲン↑、ESR↑、T-Chol↑etc.      ※ESRは妊娠時、30mm/時が正常。15mm/時ではDICを疑う
心臓…左室肥大、心拍出量↑、左上方への挙上、肺動脈の軽度捻転、生理的収縮期心雑音、血圧↓etc.
呼吸器系横隔膜挙上、横方向拡張、胸式呼吸化、過換気(呼吸数↑、呼吸性アルカローシス)etc.
消化器系歯肉炎、歯肉腫、妊娠初期の悪心・嘔吐・流涎(軽症の場合をつわり、重症の場合を悪阻という)、胸やけ、痔疾・脱肛、便秘etc.
泌尿器系膀胱・尿管…尿意頻数、尿の滞留(⇒尿路感染をきたしやすい)
腎機能…GFR↑RPF↑、尿糖↑(←腎の糖排泄閾値↓)、BUN↓、Cre↓
皮膚色素沈着(妊娠中期以降に、顔面、乳頭、乳輪、外陰などに起こる。顔面の左右対称性のものは妊娠肝斑とよばれる)、妊娠線(妊娠末期に下腹部、乳房、大腿に現れる赤紫色の線)、妊娠皮膚掻痒症(妊娠後期に起こる。胆汁うっ滞が原因)、妊娠性痒疹(妊娠初期〜中期に掻痒を伴う小丘疹が四肢中心に発生)


性腺系FSH…排卵後3週間ですでにきわめて低値。GnRHに対する反応性も妊娠週数とともに低下
LH…妊娠初期から減少し、妊娠の進行とともにさらに低下。FSHより少し遅れてGnRHに対する反応性は消失
PRL…妊娠中から増加。乳腺に対する作用はエストロゲンにより抑制されている
甲状腺系TSH…大きな変動なし、TRHに対する反応性も非妊時と変わらない
甲状腺ホルモン…TSH様作用を有するhCG・hCTの作用により、妊娠の進行とともに増加
副腎系コルチゾール…妊娠中に漸増、日内変動(+)

糖代謝空腹時血糖↓、食後インスリン分泌↑↑、耐糖能↓、インスリン抵抗性↑
脂質代謝高脂血症(特に妊娠後期。特にTGの増加が著明)、TG分解↑
蛋白代謝蛋白の異化↑、蛋白の同化↑
※妊娠中に増加するもの…ALP、アミラーゼ、LAP、WBC、Plt、血漿量、TIBC、基礎代謝量、フィブリノゲン、ESR、Chol(特にTG)、グロブリン、エストロゲン、プロゲステロン、hPL、PRL、GFR、RPF etc.
※妊娠中に減少するもの…尿酸、Cr、BUN、RBC、Hb、Ht、鉄、Alb、A/G比、PaCO2、LH、FSH etc.
妊娠の診断
基礎体温
(BBT)
高温相が3週間以上持続すれば妊娠の可能性が高い。妊娠6ヶ月以降は基礎体温は次第に低下する
妊娠反応一般的には尿中hCGを測定するもので、免疫学的妊娠反応検査が主に用いられている。妊娠4週以降では感度はほぼ100%となるが、妊娠早期やhCGの異常高値を示す胞状奇胎、血尿や硬度の混濁尿・蛋白尿などでは偽陰性となることもある。一方、流産や分娩直後、hCG投与中、卵巣腫瘍、絨毛性疾患、異所性hCG産生腫瘍などでは偽陽性となることがある
超音波断層法妊娠5〜6週になると、胎嚢をほぼ全例で確認でき、胎児心拍も聴取可能となる。妊娠7〜8週(経腟超音波を用いると、妊娠5週以降)になると、頭殿長(CRL)の観察が可能となり、妊娠週数の指標ともなる(妊娠週数=CRL(cm)+7)。また、子宮外妊娠、流産、多胎妊娠などの鑑別にも有用である
妊婦健診




年齢18歳未満および35歳以上はハイリスク。前者では周産期死亡、妊娠中毒症、IUGRが多く、後者では染色体異常、妊娠中毒症、IUGR、遷延分娩が多い
職業職業の種類によっては妊娠中毒症や先天異常のハイリスクとなる
家族歴HT、DM、心疾患、腎疾患、肝臓病、先天異常、精神疾患etc.
既往歴HT、DM、心疾患、腎疾患、肝臓病、内分泌疾患、自己免疫疾患、先天性股関節脱臼etc.
アレルギー歴薬剤アレルギー、食品アレルギーetc.
月経歴初経年齢、月経周期、持続日数、経血の量、随伴症etc.
結婚歴近親婚の有無、配偶者の健康状態etc.
妊娠・分娩歴妊娠・分娩の回数、流早産の有無、異常妊娠・分娩の有無etc.
現病歴妊娠悪阻、性器出血、下腹部痛、最終月経、全身状態の変化etc.




全身状態身長、体重(非妊時体重を含めて)、栄養状態、食欲、睡眠、便通、脈拍、呼吸、血圧、脊柱異常の有無etc.
乳房形態、大きさ、モントゴメリー腺の発育状態、乳輪の着色状態etc.
腹部
膨隆の程度、皮膚の着色、妊娠線の有無、胎動の状態などをみる他、子宮の大きさ、胎児の位置、羊水の多少を触診にて判断する。妊娠7ヶ月以降では触診はLeopold触診法により行われる
・Leopold触診第1段…妊婦の右側に立って、子宮底の高さ・形、胎児部分を診察。頭位ではほぼ球形な塊の触知、くびれ(−)。骨盤位では硬く大きな球体の触知、くびれ(+)。横位では球形の塊の不触知
・Leopold触診第2段…胎向を診断。弓状に曲がった板のような抵抗として触知される児背が母体の左側にあれば第1胎向、右側にあれば第2胎向、頭部を左右いずれかに触知すれば横位
・Leopold触診第3段…胎児下向部の種類、大きさ、硬さ、移動性、骨盤内進入状況を確認
・Leopold触診第4段…胎児下向部の進入状況を診察


胎児由来
の音
・胎児心音…妊娠12週以降では全例聴取可能。心拍数の正常値は120〜160bpm
・臍帯雑音…胎児心音と同時に聴こえ、胎児心音と同数。臍帯巻絡、真結節、過短臍帯などがある場合に聴取される
・胎動音…胎児が子宮壁に当たった時に生じる不規則で鈍い音
母体由来
の音
・子宮雑音…妊娠16週以降に、怒張した子宮血管内を急速に血液が流れることによって生じる
・大動脈音…下腹部正中で聴取される母体大動脈弁の閉鎖音
・腸雑音…母体の腸管内容の移動により聞こえる


内診外陰…外陰部の静脈瘤・潰瘍の有無、会陰の伸展性などについて観察
腟…腟内分泌物の性状、腟壁の伸展性などについて観察
子宮…子宮頸部の硬度・長さ、外子宮口の開大の有無、子宮体部の大きさ・位置・硬さ・形状などについて観察
付属器…圧痛、卵巣腫瘍の有無などについて観察
直腸診子宮癌や卵巣癌合併妊娠において子宮傍結合組織とダグラス窩の観察は必須
一般検査身長、体重(⇒BMIの算定)、血圧、尿蛋白、浮腫の有無、尿糖、子宮底長etc.
超音波断層法異常妊娠の有無の診断、婦人科疾患の有無の診断、妊娠週数の起算、先天奇形の診断、胎盤の位置、胎位・胎向の確認、羊水量の計測、子宮胎盤循環の検査などが行われる





血液型Rh不適合妊娠(母親がRh0(D)陰性で、児がRh0(D)陽性の場合)では、分娩後72時間以内での抗D(Rh0)ヒト免疫グロブリンの筋肉注射が必要
血球算定貧血の有無、血小板数の確認etc.
子宮頸部細胞診STDの有無、子宮頸癌の有無を判定
感染症検査HBV(HBs抗原を検査)、HCV、HTLV-1(経母乳感染する)、HIV(産道感染する)、梅毒、風疹(妊娠12週までに胎児が感染すれば先天性風疹症候群を発症する)、トキソプラズマ(妊娠16週以降に感染すると、胎児感染が起こる)、B群溶連菌(産道感染する)、クラミジア(産道感染する)、HSV(産道感染する)
その他の検査羊水穿刺、胎児採血(pHは正常では7.25〜7.35)etc.
生活指導妊娠初期〜中期での乳頭への強い刺激は子宮収縮を誘発するため、禁忌
妊娠4ヶ月〜7ヶ月末までは適度な運動は有益
十分な休息・睡眠が必要(睡眠時は側臥位が推奨される)
禁煙(間接喫煙も含めて)、飲酒量の制限、コーヒー・紅茶の摂取制限etc.
エネルギー所要量…非妊時に比べ、妊娠前半期は+150kcal、妊娠後半期は+350kcal、授乳期は+700kcal
胎動…胎児躯体の部分的・全身的運動であり、胎児well-beingや中枢神経系の発達過程を知る上で重要な情報の1つとなる。胎動は、超音波検査上は妊娠9〜10週頃から出現するが、妊婦に自覚されるのは妊娠16〜20週頃からである。妊娠末期から分娩前駆期にかけては、胎動は減弱し、特に分娩経過中は胎動は明らかでなくなる
ハイリスク妊娠の管理
non-stress
test(NST)
【時期】妊娠中期〜後期に行われる
【方法】胎児にストレスをかけずに、胎児心拍数を40〜60分間計測
【評価】reactive胎児well-being。基線変動が保たれ、一過性頻脈が認められる
・non-reactive…胎児の状態が悪化し予備能が低下すると、一過性頻脈の減少or消失、基線変動の低下、遅発or変動一過性徐脈、sinusoidal patternを呈する。低酸素のみではこのような所見は呈さず、酸血症に至って初めてこのような所見を呈する。慢性胎児仮死の徴候
【特徴】感度はあまり高くないが、特異度は高い
contraction stress
test(CST)
【適応】胎児胎盤機能低下が疑われる時、NSTでnon-reactiveの時etc.      ※NSTでreactiveの時は通常行われない
【方法】オキシトシンの静脈内投与・乳頭刺激によって子宮収縮を誘発し、10分間に3回以上の子宮収縮が認められた時点で判定
【評価】・negative CST…遅発一過性徐脈(−)
positive CST…遅発一過性徐脈(+)。胎児仮死の徴候
【禁忌】早産・子宮破裂・出血を起こすような疾患、すなわち早産のハイリスク、PROM、前置胎盤、体部縦切開による帝王切開の既往、多胎妊娠、頸管無力症、羊水過多、常位胎盤早期剥離、CPD etc.
【特徴】胎児の低酸素を診断する最も鋭敏な検査法であるが、偽陽性が多い
biophysical profile
score(BPS)
【概念】胎児の状態を評価するために、@NST、超音波断層法によるA胎児呼吸様運動、B体幹の運動、C四肢の運動、D羊水量の5項目に関してそれぞれ正常・異常の評価を行い、その合計点数から胎児の評価および管理、胎児仮死・新生児仮死の予測を行おうとするもの
羊水による
胎児成熟度判定
【方法】・肺成熟度の判定…レシチン/スフィンゴミエリン比(L/S比)≧2.0なら、肺は成熟
・肝成熟度の判定…羊水上清中にはビリルビン様物質がわずかに存在する。吸光度差≦0.02なら、肝は成熟しているとされる。一方、Rh不適合妊娠で増加する
・腎成熟度の判定…羊水クレアチニン値≧2.0mg/dlなら、腎は成熟
・皮膚成熟度の判定…羊水中のオレンジ細胞数が、脂肪細胞500個あたり20個以上であれば、皮膚は成熟
   上記の他、妊婦尿中E3測定、妊婦血中hPL測定などの生化学的検査法も胎児・胎盤機能の評価に有用
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