心臓の血行支配
   冠循環は心拍出量の約5%。左室への血液供給は拡張期が中心。
動脈灌流域
右房左房右室心室中隔左室心尖部刺激伝導系乳頭筋
右冠動脈
(RCA)
ほぼ全部後方1/3後壁の一部
下壁
洞結節房室結節
左脚後枝
後乳頭筋
左冠動脈
(LCA)
左前下行枝
(LAD)
中隔寄りの一部前方2/3前壁His束、左脚前枝、
右脚
前乳頭筋
左回旋枝
(LCX)
側壁
後壁・下壁の一部
前乳頭筋
心臓の血管支配
心音とその異常
心音の名称音の原因音の特徴心音の異常と原因疾患






T音房室弁の閉じる音低調
長い持続時間
鈍い
【亢進】弁の狭窄(主にMS)、心拍出力↑(運動時、発熱時、甲状腺機能亢進症、貧血etc.)
【減弱】弁の閉鎖不全(主にMR)、心拍出力↓(心筋症、心筋炎、心筋梗塞、心膜液貯留、甲状腺機能低下症etc.)、第1度房室ブロック
※第3度房室ブロックではT音はさまざま。時に巨大なT音(大砲音)
U音大動脈弁と肺動脈弁の閉じる音(通常はUA→UPの順)高調
短い持続時間
比較的鋭い
【持続性分裂(吸気時にも分裂)】UPの遅延(右脚ブロックPS)、UAの早発(MR)
【固定性分裂】ASD
【奇異性分裂(UP、UAの順序)】UAの遅延(AS左脚ブロック
【UAの亢進】大動脈圧↑(AR、高血圧)
【UAの減弱】大動脈圧↓(AS)
【UPの亢進】肺動脈圧↑(PR、肺高血圧)
【UPの減弱】肺動脈圧↓(PS)






V音拡張早期(急速流入期)における心室壁の振動低調
小さい
健常な若年者心筋壁の障害(心筋症、心筋炎、心筋梗塞etc.)、拡張期の容量負荷(MR、AR、大きなVSD etc.)
W音拡張後期(心房収縮期)における心室壁の振動低調
小さい
心室への強い圧負荷(高血圧、AS、PS、HCM etc.)、心室の機能低下(陳旧性心筋梗塞、DCM etc.)      ※Afでは認められない
僧帽弁開放音形態異常のある僧帽弁が開放する時の音高調(バシィ)MS
心膜ノック音拡張早期における心室への流入を肥厚した心膜が邪魔する音高調収縮性心膜炎
駆出音心室から血液を駆出しようとする時に生じる音高調AS、PS
収縮中期クリック
収縮後期クリック
僧帽弁が左室から左房にはみ出た時に生じる音高調
短い持続時間
僧帽弁逸脱症候群
心雑音
心雑音の種類雑音の特徴原因疾患
収縮期
雑音
収縮期
駆出性雑音
漸増漸減性弁の狭窄(AS、MS)、弁の血流↑(VSD、AR)、血液の粘性↓(貧血)、心拍出力↑に伴う血流速度↑(妊娠時、甲状腺機能亢進症)、無害性心雑音
収縮期
逆流性雑音
全収縮期にわたる房室弁の逆流(MR、TR)、左→右シャント(VSD)
拡張期
雑音
拡張期
逆流性雑音
漸減性
高調
大きい
弁の逆流(AR、PR)
※ARでは、灌水様or吹鳴様と形容される高調な大きな音
※PRでは、多くの場合肺高血圧に基づく機能性逆流性雑音(Graham Steell雑音
心室充満性
雑音
低調
どろどろ
房室弁の狭窄(MS、TS)
Carey Coombs雑音=房室弁を通過する血流↑に伴う機能的雑音。VSD、MRなどによる
Austin Flint雑音=ARでも機能的MSを引き起こして、同様の雑音を呈する
連続性雑音U音を超えて連続収縮期と拡張期を通じて常時圧差が存在(PDA、大動脈肺動脈中隔欠損症、Valsalva洞動脈瘤破裂)
心電図
 定義・意義正常(大きさは1mV=10mm)異常波形と原因疾患
RR間隔心拍数に相関0.60≦RR間隔≦1.00秒【突然変動】期外収縮(RR間隔が突然短縮)、洞房ブロック(Pが突然欠落)、U度房室ブロック(QRSが突然欠落)
【徐脈】洞性徐脈U度・V度房室ブロック(PQ間隔不定)、洞房ブロック発作性洞停止心房細動(f波)、徐脈性心房粗動(F波)、持続性心房静止(P波なし)
【頻脈】洞性頻脈心室頻拍(幅広QRS、P波がはっきりしない)、発作性心房頻拍(異所性P波)、発作性上室性頻拍(P波がはっきりしない)、心房粗動(F波)、心房細動(f波)、torsades de pointes(QRSが基線を軸にねじれたように見える)、心室細動(QRSの形・大きさ・頻度が全く不定)
P波心房の興奮を表すT・U・aVF・V36で陽性、
aVRで陰性
幅<0.11秒
U誘導で高さ<2.5mm
【尖鋭増高P波】右房負荷(@尾側誘導or右側誘導)
【幅広い2峰性P波】左房負荷(@左側誘導)
【V1での陰性部分の大きい±2相性P波】左房負荷
aVFで陰性のP波】異所性調律
【P波不明瞭】心房細動心房粗動心房停止房室接合部性調律
PQ間隔P波の始まり〜QRSの始まり
洞結節の興奮から心室作業筋の
興奮までの時間間隔(房室伝導
時間)を表す
0.12≦PQ≦0.20秒【PG延長】T度房室ブロック
【PQ短縮】異所性調律(尾側誘導での陰性P波)、WPW症候群(剩g、幅広QRS)、LGL症候群(剩gなし、QRS幅正常)
QRS波QRSの始まり〜終了点(J点)
心室作業筋の脱分極を表す
0.06≦QRS≦0.10秒
−30°<電気軸<+110°
肢誘導での大きさ>5mm
胸部誘導での大きさ>10mm
Rv1<7mm
Rv5・Rv6<26mm
Sv1+Rv5<35mm
移行帯はV3〜V4
【幅の広いQRS】右脚ブロック(V1で上向きの分裂したQRS)、左脚ブロック(V6で上向きの分裂したQRS)、WPW症候群(PQ短縮、剩g)
【右側誘導での高いR波】右室肥大(右軸偏位、V4〜V6での深いS、下向性ST低下)、後壁梗塞(V1・V2での陽性T波)、右脚ブロックWPW症候群
【左側誘導での高いR波】左室肥大(左軸偏位、Sv1+Rv5≧40mm、下向性ST低下)、左脚ブロックWPW症候群
【異常Q波】心筋梗塞(冠性T波、ST上昇)、心筋症心筋炎左室容量負荷(高いR波、高いT波)、左脚ブロックWPW症候群
QT間隔QRSの始まり〜T波の終了点
実際はRR間隔で補正し、修正QT
間隔(QTC)を求める
   QTC=実測QT間隔/√RR間隔
0.36<QTC≦0.44
(QT間隔はRR間隔の約1/2)
【QT延長】低K血症(U波増高)、低Ca血症(ST部分が延長)、遺伝性QT延長症候群(時にtorsades de pointes)
【QT短縮】高Ca血症(ST部分が不明)、ジギタリス効果(ST盆状低下)
ST部分QRSの終了点〜T波の始まり
心室興奮の極期に相当
基線と一致〜2mmまでの上昇【ST上昇】急性心膜炎(広範に上方凹のST上昇)、急性心筋梗塞(上方凸のST上昇、冠性T波、異常Q波)、異型狭心症(ST部分とT波が融合)、心筋炎、高K血症、心室瘤、健常者
【ST低下】狭心症(陰性T波)、高度の低K血症(U波増高、QT延長、ST-T逆転)、ジギタリス効果(ST盆状低下)、左室肥大(左側誘導のみ、高いR波・下向性ST低下を伴う)、右室肥大(右側誘導のみ、高いR波・下向性ST低下を伴う)
T波心室筋の再分極を表すT・U・aVLaVF・V36で陽性、
aVRで陰性
肢誘導での高さ<5mm
胸部誘導での高さ<10mm
(下限はPの2倍以上
  orRの1/10以上)
【T波増高】左室拡張期負荷(高いR波)、異型狭心症(ST上昇)、極早期の心筋梗塞(ST上昇、異常Q波、冠性T波)、心膜炎(広範なST上昇)、高K血症(テント状T波)、健常者
【陰性T波】心筋梗塞(冠性T波、ST上昇、異常Q波)、肥厚型心筋症(巨大陰性T波)
U波成因不明aVRを除いてU波なしor陽性U波
陽性U波の大きさ<2mm
【U波増高】低K血症(QT延長)
【陰性U波】左室負荷(左側誘導で左室肥大・左室拡張所見)、右室負荷(右側誘導・尾側誘導で右室肥大・右室拡張所見)、強い心筋虚血(ST上昇or低下)
心電図の13のチェックポイント
@較正曲線10mm=1mVになっているかをチェック。
第T誘導でR波は10mm以下。左室肥大の場合、第T誘導でR波が11mm以上。
A心拍数正常な心拍数は60〜100回/分。
BリズムP-P間隔=R-R間隔であれば、リズムは整。
CPR間隔P波の始まり〜QorR波の始まりまでの間隔。正常は0.12〜0.20秒。
DP波第U誘導で高さが2.5mm以内、幅が0.09〜0.11秒
V1で陰性の波より陽性の波が高い
EQRS波正常な幅は、0.06〜0.10秒
Q波は、どの誘導でも3mm以内。Q波は第T誘導で出ない。Q波が3mmを超えたら心室中隔肥厚。
R波の高さは、第T誘導で11mm以内、第U誘導で16mm以内、V5で26mm以内。これを超えていれば、左室肥大。
FQT間隔QorR波の始まり〜T波の終わり。正常では0.32〜0.40秒。心臓の収縮力を表す(QT短い=収縮力↑)。
G平均電気軸第T誘導と第V誘導のR波の高さより決定。正常は0〜+90°(平均:55°)。
左室肥大の場合、左軸偏位(電気軸:0°以下)。右室肥大の場合、右軸偏位(電気軸:+90°以上)。
H胸部誘導における
   R波の増高
V1からV5まで直線的にR波が高くなる(R波の増高)。R:Sの割合が1:1になるのは、正常ではV3
心臓と電極との距離が短くなると、R波は高くなる。
I異常Q波深さがR波の1/4以上で5mm以上、幅が0.04秒を超えるもの。心筋梗塞の場合に見られる。
JST部分正常では、ST部分は−1mm〜+1mm。
心内膜側の虚血でST部分は下降し、心筋壁全体の虚血でST部分は上昇する。
KT波高さは、P波の1.5倍、R波の1/2〜1/8が正常
形は、はじめの2/3が上向き、あとの1/3が下向き。
高K血症でT波増高、低K血症or動脈硬化でT波減高、高Ca血症で先がピンと尖り、心筋虚血で陰性T波。
LU波正常ではT波の1/2を超えない高さ。
高度の低K血症で高いU波、心筋虚血で陰性U波。
心エコー
Bモード法
走査
部位
基本断面画像のチェックポイントエコー所見





















僧帽弁正中部僧帽弁・大動脈弁の形態・動き、器質的変化・逆流・乱流の有無 左室壁の動き・厚さ
中隔欠損の有無
大動脈径:左房径=1:1
胸骨傍左室長軸断面
僧帽弁前交連部僧帽弁−腱索−乳頭筋の連続性
僧帽弁の逸脱・疣贅・逆流・乱流の有無
僧帽弁後交連部





大動脈基部レベル大動脈弁・三尖弁・肺動脈弁の動き、器質的変化・逆流・狭窄の有無
左房の大きさ、血栓の有無
胸骨傍左室短軸断面
僧帽弁弁口レベル僧帽弁の動き、器質的変化・逆流・狭窄の有無
僧帽弁の弁口面積の計測
左室壁の動き・厚さ
腱索レベル腱索の断裂の有無、長さ      左室壁の動き・厚さ
大動脈弁の逆流・短絡の有無      左室・右室の大きさ
乳頭筋レベル左室壁の動き・厚さ      左室・右室の大きさ
大動脈弁の逆流・短絡の有無
心尖部レベル左室壁の動き・厚さ      左室の大きさ、短絡血流の有無
右室流出路長軸断面肺動脈弁の動き、器質的変化・逆流・狭窄の有無
右室流出路の大きさ・厚さ
胸骨傍四腔断面
右室流入路長軸断面三尖弁の動き、器質的変化・逆流・狭窄の有無
四腔断面四腔の相対的な大きさ      中隔の短絡の有無
房室弁の動き、器質的変化・逆流・狭窄の有無




四腔断面心尖の血栓・心室瘤の有無      四腔の相対的な大きさ
房室弁の動き、器質的変化・逆流・狭窄の有無      中隔の短絡
心尖部四腔断面
二腔断面左室壁の動き
左室長軸断面左室壁の動き
僧帽弁・大動脈弁の動き、器質的変化・逆流・狭窄の有無






四腔断面心膜液貯留の有無      中隔の短絡の有無心窩部四腔断面
矢状断面下大静脈と右房との連続性の確認      三尖弁の逆流の有無






長軸断面大動脈瘤、大動脈狭窄症などの大動脈疾患の有無胸骨上窩長軸断面
前額断面上大静脈の太さと右房との連続性の確認
Mモード法
 模式図正常値備考
僧帽弁位僧帽弁位DDR(E-F0 slope)…70〜150mm/s
E波振幅…20〜30mm
A/E比…0.5〜0.9
僧帽弁拡張期後退速度(DDR)は、僧帽弁狭窄症の診断に用いられてきた
左室腔位左室腔位IVSTd(心室中隔壁厚)…7〜12mm
LVPWTd(左室後壁厚)…7〜12mm
LVDd(左室拡張末期径)…40〜55mm
LVDs(左室収縮末期径)…30〜45mm
RVDd(右室拡張期径)…13〜22mm
IVSE(心室中隔振幅)…3〜9mm
PWE(左室後壁振幅)…9〜17mm
LVDdは心電図のR波の頂点に相当し、LVDsは心電図T波の終点or心音図Uaの開始点に相当する
大動脈弁位大動脈弁位AoD(大動脈径)…20〜35mm
LAD(左房径)…20〜35mm
AoDは心電図のR波の頂点に相当し、LADは心電図T波の終点or心音図Uaの開始点に相当する
肺動脈弁位肺動脈弁位e-f slope…20〜70mm/s
a波振幅…2〜7mm
肺高血圧症や右室拡大で観察が容易となる
三尖弁位三尖弁位  
心臓カテ−テル検査の正常値
 内圧測定酸素飽和度心拍出量
右心カテーテル法右房圧(≒中心静脈圧):4〜7mmHg
右室圧:25/0mmHg
肺動脈圧:25mmHg/10mmHg[平均で15mmHg]
肺動脈楔入圧(≒左房圧):5〜13mmHg
約75%CO:約5l
CI:約3.2l/分/m2
QP/QS:1.0
駆出率:60〜70%
左心カテーテル法左室圧:120mmHg/9mmHg以下95%以上
胸痛を呈する主な疾患とその鑑別
疾患胸痛の性状随伴症状検査治療
狭心症漠然とした不快感(絞扼感や圧迫感)
左肩や左腕、時には頸部に放散
持続時間は通常数分以内(長くても30分)
ニトログリセリン著効
誘因として、労作、早朝、飲酒、過呼吸など
不整脈
動悸
失神発作 など
血液検査では異常なし。心電図・運動負荷心電図・ホルター心電図でST変化。その他、負荷心筋シンチ、心カテなども発作時にはニトログリセリンの舌下錠。非発作時にはβ-blocker、Ca拮抗薬、持続型硝酸薬などによる内科的治療、PTCA、CABG
急性心筋梗塞強い痛み
肩や腕などに放散
持続時間は通常30分以上
安静にても軽快せず
ニトログリセリン無効
冷汗
顔面蒼白
強い不安感
悪心・嘔吐 など
心電図上、T波増高、ST上昇、異常Q波、冠性T波などが経時的に出現。血液検査では、WBC、ミオグロビン、CK-MB、トロポニンT、ミオシン軽鎖-T、GOT、LDH、CRP、ESRが順番に上昇する。その他、心エコー、心筋シンチ、心カテなどもまず絶対安静、酸素吸入、モルヒネによる除痛、抗不整脈投与。golden hour以内であれば、PTCAまたはt-PAによる再灌流療法を行うが、golden hour後であれば、持続型硝酸薬、β-blocker、ACE阻害薬による薬物療法を行う
大動脈弁狭窄症狭心痛失神
左心不全症状
心雑音
異常心音 など
胸部Xpにて上行大動脈の拡張。心電図上、左室肥大、左軸偏位。その他、心エコー、心カテにて左室-大動脈の圧較差左室-大動脈の平均圧較差50mmHg以上で大動脈弁置換術
急性心膜炎胸骨を中心とする刺すような痛み
頸部、背部、肩などに放散
深呼吸で増悪
上半身を前に倒すと軽減
発熱
嗄声
嚥下困難
呼吸困難 など
心電図上、広範囲に軽度のST上昇、low voltage。その他、血液検査、心エコーなども安静臥床の上、基礎疾患に対する治療を行う
心筋炎急性心膜炎合併時に生じる動悸
息切れ
不整脈 など
胸部Xp上心拡大。血液検査では炎症所見(+)、CK↑、GOT↑、LDH↑安静、不整脈・急性心不全に対する対症療法
大動脈解離突然激しい疼痛
典型的には胸・背部に最強点
顔面蒼白
血圧↑ など
血液検査で炎症所見(+)。胸部Xpにて上部縦隔陰影の著明な拡大。その他、心エコー、CT、心電図などもモルヒネによる除痛、速やかな降圧の後、Stanford A型に対してはできるだけ早期の人工血管置換術、B型に対しては保存的治療
疾患胸痛の性状随伴症状検査治療
肺血栓塞栓症呼吸困難が先行呼吸困難
発汗
頻脈
チアノーゼ
血痰 など
胸部Xpにて肺動脈陰影の急激な中断・先細り+中枢側の拡張。肺血流シンチにて欠損像。血液検査にてFDP↑、LDH↑。心電図にて右心負荷所見。血ガスにてPaCO2↓、PaO2↓、pH↑酸素吸入、モルヒネによる除痛、ウロキナーゼやt-PAによる血栓溶解療法。場合によっては外科的塞栓除去術も行われる
自然気胸突発性呼吸困難
乾性咳嗽
チアノーゼ など
胸部Xpにて萎んだ肺の所見軽度なら安静+経過観察、中等度では穿刺脱気療法、重度では持続的胸腔ドレナージ。再発防止のために外科手術も行われる
Boerhaave症候群激しい痛み呼吸困難
ショック など
胸部XpでNaclerioのV sign。内視鏡にて直視可絶飲食、胸腔ドレナージ、抗生剤投与の上、緊急の閉鎖術を行う
術後の抗凝固療法
弁置換術⇒機械弁ならば、終生ワーファリン療法。生体弁ならば、術後8週間はワーファリン療法、その後はアスピリンでO.K.
人工血管置換術⇒膝から末梢の細い血管では、ワーファリン療法が必要。太い血管では、抗凝固療法は不要
パッチ閉鎖術⇒抗凝固療法は不要
用語の定義
Adams-Stokes発作不整脈に由来する失神発作
Janeway斑点感染性心内膜炎の徴候の1つ。指趾掌側にみられる無痛性の出血性の平坦で不規則な結節
Osler結節亜急性感染性心内膜炎患者の指趾掌側に生じる、有痛性の赤紫色をしたエンドウ豆大の境界明瞭な結節
Quincke拍動 Quincke pulsation手指や足指で大動脈血流が逆流する時に認められる毛細血管の拍動。大動脈に駆出された血液が逃げてしまうために速脈を呈するARPDAで典型的に出現する
rate pressure product(RPP)心拍数×収縮期血圧。臨床的には、この値をもとに心筋の酸素需要量が評価される
気絶心筋短時間の虚血により心筋の収縮能力が損われた状態。最終的には可逆的であるが、しばらくの間動きの鈍い状態が続く
奇脈 pulsus paradoxus通常でも吸気時に収縮期血圧が小さくなるが、これが極端になった場合(一般には差が10mmHg以上の場合)を奇脈もしくはKussmaul脈という。心臓の拡張障害をきたしている心タンポナーデ収縮性心膜炎の他、重篤な気管支喘息発作などでみられる
交互脈 alternating pulse大脈と小脈が交互に出現。左心機能が著しく低下した場合などに認められる
静脈コマ音 venous hum内頸静脈などに生じるコマが回るような低張性の連続性雑音。貧血妊娠時甲状腺機能亢進症などで聴取される
徐脈 bradycardia脈拍数<60/min
電気的交互脈心タンポナーデにおいて心膜液の貯留量が多い場合に、心電図上QRS波の波形が心拍1回or数回ごとに変化する現象。大量の心膜液に囲まれた心臓が振り子様運動をするために起こる
冬眠心筋慢性的な虚血による酸素欠乏状態を乗り越えるために、心筋細胞が冬眠している状態。十分な血流量が得られれば元に戻る。ドブタミン負荷心エコーにて、低用量では壁運動の改善が、高用量では再悪化が認められる
反跳脈 bounding pulse大脈を伴った速脈のことで、Corrigan脈水槌脈ともいう。大動脈に駆出された血液が逃げてしまうARPDAなどでみられる
頻脈 tachycardia脈拍数>100/min
循環器に関する徴候
Beckの三徴静脈圧上昇+動脈圧低下+拍動数↓。心タンポナーデでみられる
Brockenbrough現象HOCMの心カテ検査でみられる特徴的な所見。正常では期外収縮後は収縮力が増強され(期外収縮後増強)、大動脈圧が上昇するが、HOCMでは期外収縮後増強により左室流出路狭窄が強められるために、かえって大動脈圧が低下するという天の邪鬼の所見が得られる
Duroziez徴候ARの時に、末梢動脈(特に大腿動脈)上で聴取される2相性の血管雑音(Traube重複音)が、動脈を圧迫するとさらによく聴こえるようになることをいう。Traube重複音は、収縮期に血液が勢いよく末梢方向に流れる際の雑音と、拡張期に血液が勢いよく中枢方向に逆流する際の雑音からなる
Homans徴候深部静脈血栓症において、患肢を伸展した状態で足関節を背屈させると、腓腹部に疼痛が現れる現象のこと
Kussmaul徴候通常とは逆で、呼気時よりも吸気時に頸静脈怒張が強くなる状態。心臓が広がりにくい心タンポナーデ収縮性心膜炎においてみられる
Lowenberg徴候深部静脈血栓症において、患肢にマンシェットを巻いて加圧した場合、低圧で腓腹部に疼痛が現れる現象のこと
Musset徴候心拍動とともに頭頸部が律動的に前後に揺れる状態。ARでみられる
Rivero-Carvallo徴候心雑音が呼気時に比べて吸気時に増大する現象。右心系の心雑音であることを示唆する
square root sign収縮性心膜炎拘束型心筋症においてみられる右室圧曲線の特異な所見のことをいう(dip and plateauともいう)。拡張早期に右室圧の急激な下降がみられた後(dip)、いったん右室圧は上昇するが、鎧兜のように硬い心膜が障害となって、ある時点以降は内圧の上昇がみられなくなってしまう(plateau)。この形態が平方根に似ているためにこのように名づけられた
循環器に関する症候群
Brugada症候群右側胸部誘導で右脚ブロックと持続的なST上昇という心電図所見を呈する疾患群。基礎疾患がないにもかかわらず、特発性Vfをきたすことがあり、青壮年の突然死の原因の1つになっている
Eisenmenger症候群シャントの右側が左側より血圧が高くなったために、チアノーゼを生じる重大な右→左シャントを伴う心不全。VSDPDAASD(Eisenmenger化はまれ)、総動脈幹遺残症大動脈肺動脈中隔欠損症などでみられる
Jervell-Lange Nielsen症候群常染色体劣性の遺伝形式をとる先天性QT延長症候群。聾を合併する
Leriche症候群腹部大動脈末端部の慢性閉塞によって、両側腸骨動脈が閉塞し、その末梢組織に虚血症状が現れる疾患。症状としては、下肢の脈拍欠損・蒼白、間欠的跛行、陰萎など
LGL症候群心房と房室結節の下部を結ぶJames束の存在により、心室の早期興奮を起こす症候群。心電図上、PQ時間の短縮がみられるのみで、剩gなし、QRS幅正常
Lutembacher症候群ASDMSを合併した病態。ASDがあるため、MS特有の聴診所見が得られない
QT延長症候群(LQTS)QT時間の延長を呈する一連の疾患。先天性と後天性に分類される。後天性の原因としては、薬剤性(Ta群、V群、テルフェナジンとエリスロマイシンやケトコナゾールの併用など)、低Ca血症などがある。致死的なVfに至りやすいTdPという特殊な心室頻拍を起こすことがある
Romano-Ward症候群常染色体優性の遺伝形式をとる先天性QT延長症候群
scimitar症候群部分肺静脈還流異常症(PAPVR)の中で、右肺静脈→下大静脈のルートをとるタイプは、横隔膜を貫通して下大静脈に合流する肺静脈が胸部Xpで三日月scimitarにみえることから、このようによばれる。右肺の低形成を伴う場合が多く、しばしば肺分画症の合併が認められる
WPW症候群心房と心室を結ぶKent束の存在により、心室の早期興奮を起こす症候群。心電図上、PQ時間の短縮、剩gの存在、QRSの延長がみられる
急性冠動脈症候群不安定狭心症+心筋梗塞
左心低形成症候群(HLHS)左心系の低形成をきたす一連の疾患群。典型的には僧帽弁閉鎖症+大動脈弁閉鎖症を基本とする。ASDまたは卵円孔開存を介して動静脈血混合が行われ、動脈管を経由して全身に混合された血液が送られる、チアノーゼ、肺うっ血に伴う呼吸困難などを呈する
徐脈頻脈症候群洞不全症候群のV型。徐脈と頻脈をくり返す
心筋梗塞後症候群心筋梗塞の後期合併症の1つで、心筋梗塞発症後2〜8週間の間に起こる心膜炎・胸膜炎(Dressler症候群)。発熱、胸痛などの症状を呈する他、胸膜摩擦音が聴取される。また、心エコーでは心膜腔や胸膜腔に貯留液が認められる。予後は良好で、副腎皮質ステロイドが著効する。心筋梗塞後症候群とよばれるが、心筋梗塞後に起こる早期合併症(PVCなどの不整脈、ポンプ失調、心破裂、乳頭筋機能不全症候群、急性心膜炎)や後期合併症(心室瘤)をさすわけではないので、注意が必要
心膜切開後症候群開心術後2〜8週の間に生じる心膜炎。開心術施行例の約30%にみられる。副腎皮質ステロイドが著効する
僧帽弁逸脱症候群(MVP)僧帽弁(特に後尖)の一部が収縮期に左房内にはみ出し、MRをきたす病態。若年のやせた体型の女性に好発するが、全身の結合組織病(Marfan症候群、Ehlers-Danlos症候群)、一部の心筋症、膠原病、右心系の拡大する先天性心疾患などに合併する場合も少なくない。予後は良好で、基本的には治療が必要ないが、多彩な不整脈、感染性心内膜炎の合併が問題となることもある
洞不全症候群(SSS)洞結節またはその周辺に病変を生じた結果、洞性徐脈、洞停止、洞房ブロックなどを来した疾患の総称。T型(持続性の洞性徐脈)、U型(一過性or持続性の洞停止or洞房ブロック)、V型(徐脈頻脈症候群)とに分類される
乳頭筋機能不全症候群虚血性心疾患などが原因となって、乳頭筋の機能が弱まり、弁尖の運動が制御できなくなった状態。突然MRをきたし、急激に左心不全に陥る
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