拘束性肺疾患
特発性間質性肺炎
idiopathic interstitial
pneumonia(IIP)
【疫学】中高年に好発。男女比は1.5:1。喫煙歴のある人がほとんど
【病理】usual interstistial pneumonia(UIP)
【症状】
自覚症状…潜行性に発病し、乾性咳嗽と体動時息切れを主訴とする。肺の拡張障害のため、呼吸は浅く速くなる(代償性過換気)。また、全身倦怠感、微熱の持続、体重減少などの不定愁訴も伴うことがある。呼吸困難は徐々に進行し、次第に安静時にも息切れを自覚するようになる
他覚的所見…ばち状指、聴診にて捻髪音(背面下部でよく聴こえる)
合併症…呼吸器感染症、低酸素血症の持続による肺性心に伴う右心不全、肺癌
【検査】
胸部Xp⇒小結節状陰影、網状陰影、スリガラス状陰影、蜂巣状陰影(初期は下肺野中心、やがて全肺野に広がる)。その他、横隔膜の挙上etc.
胸部CT⇒早期から蜂巣状陰影(肺底部に強くみられる)
呼吸生理⇒拘束性障害(%肺活量↓、静肺コンプライアンス↓、残気量↓etc.)、1秒率→、肺胞-毛細血管ブロック症候群(拡散能↓、PaO2↓、A-aDO2↑、代償性過換気のためPaCO2→〜↓
血液検査⇒ESR↑、CRP↑、WBC↑、γ-グロブリン↑(特にIgG↑)、時にRF・抗核抗体(+)LDH↑(活動性の指標)、KL-6↑・SP-A↑・SP-D↑(疾患特異性が高い)
気管支肺胞洗浄(BAL)⇒Neutro.↑
【診断】高分解能CT(HRCT)所見と胸腔鏡下肺生検(VATS)所見が診断に際して重要
【治療】有効性が確立されているのはステロイドのみ。在宅酸素療法の適応もある
【予後】息切れを自覚してからの平均生存期間は約5年
急性間質性肺炎
acute interstitial
pneumonia(AIP)
【疫学】比較的若年者に多い
【病理】びまん性肺胞損傷(DAD)…ほとんどすべての肺胞隔壁で著明な浮腫がみられ、急速に線維化が進行
【症状】発熱、咳嗽、呼吸困難で急激に発症し、数週間のうちに呼吸不全で死亡
【検査】胸部Xp⇒全肺野にスリガラス状陰影      ※蜂巣肺はあまりみられない
特発性BOOP
【疫学】中高年に好発
【病理】bronchiolitis obliterans organizing pneumonia(BOOP)…細気管支から肺胞にかけて滲出物が出現し、末梢気道が閉塞するとともに、肺胞隔壁にも炎症細胞の浸潤による肥厚(器質化)が認められる
【症状】数週間(亜急性の経過)で発熱、咳嗽、呼吸困難が出現するという例が多い
【検査】胸部Xp⇒多発浸潤陰影(固質化)、間質性陰影
【治療】ステロイドに反応し、予後良好










薬剤性肺臓炎
drug induced
pneumonitis
【概念】薬剤投与によって生じた間質性肺炎
【原因】抗癌剤(ブスルファン、ブレオマイシンetc.)、金製剤、IFNα、小柴胡湯、オウゴン(漢方薬の成分)etc.
【症状】
自覚症状…多くは潜行性に発病し、薬剤投与後数週間経過してから、乾性咳嗽と呼吸困難を訴える
他覚的所見…聴診にて肺底部中心の細かい捻髪音
【検査】
胸部Xp⇒スリガラス状などの間質性陰影(下肺野優位)
呼吸生理⇒拘束性障害、拡散障害
【治療】薬剤中止により軽快する。比較的進展したケースでは、ステロイドの適応もある
放射線肺臓炎
radiation
pneumonitis
【疫学】照射量が50Gyを超えた場合に、発生頻度が高くなる
【病理】T型肺胞上皮細胞の脱落、線維化
【症状】
自覚症状…潜行性に発病し、照射後数週間から数ヶ月を経過して、乾性咳嗽と呼吸困難を訴える
他覚的所見…聴診にて細かい捻髪音
【検査】
胸部Xp⇒照射野に一致したスリガラス状陰影、進行すれば蜂巣状陰影
呼吸生理⇒拘束性障害、拡散障害
【治療】初期にはステロイドが有効だが、進行例では根本的な治療法がない
膠原病に伴う
間質性肺炎
【原因】進行性全身性硬化症(約80%)、皮膚筋炎(約50%)、関節リウマチ(約10%)etc.
【症状】
自覚症状…ほぼIIPと同様に潜行性に発病し、乾性咳嗽と呼吸困難を訴える
他覚的所見…聴診にて細かい捻髪音(背面下部中心)
【検査】胸部Xp⇒下肺野優位の小粒状・網状・スリガラス状などの間質性陰影
【治療】ステロイド
じん肺
pneumoconiosis
【概念】粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病
【分類】
 珪肺症石綿肺症




原因石英、リン珪石、方珪石、メノウなどに含まれている遊離珪酸(SiO2)の吸入天然の珪酸塩鉱物である石綿の吸入
疫学石切場、トンネル、鉱山、ガラス工場、道路工事などの作業者に好発石綿鉱山、石綿製品工場、自動車工場、断熱材製造工場、ビルの解体作業などの従業員に好発
病理肺胞周囲を中心とする間質の線維化、珪肺結節(肉芽組織)の形成→塊状巣への成長
珪肺のH-E染色(玉ねぎ状の珪肺結節)
アスベスト小体、気管支周囲を中心とする間質の線維化
石綿肺のBALFのMay-Giemsa染色(アスベスト小体)


自覚症状遊離珪酸曝露後10〜15年以上経過して、乾性咳嗽と呼吸困難を呈する石綿曝露後10〜15年以上経過して、乾性咳嗽と呼吸困難を呈する。ばち状指が出現しやすい
聴診所見肺尖部優位の細かい捻髪音背面下部優位の細かい捻髪音
合併症肺結核、悪性腫瘍、RA(⇒Caplan症候群とよぶ)肺癌(約20%)、胸膜病変(良性胸膜病変悪性胸膜中皮腫etc.)、肺線維症



胸部Xp上肺野中心の多発性小粒状陰影(進行すると、大結節となる)、肺門部リンパ節の卵殻状石灰化、下葉の気腫性変化初期には下肺野中心に不整形陰影(細かい線状陰影、やがて索状陰影)。その他、胸膜肥厚、胸水貯留、shaggy heart、肋膜の石灰化etc.
呼吸生理拘束性障害、拡散障害、閉塞性障害(⇒混合性換気障害)拘束性障害、拡散障害
その他 喀痰・BALF・生検組織などから、石綿小体の検出
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