呼吸生理
換気
 概念
























1回換気量
(VT)
【概念】安静呼吸で出入りするガスの量
【正常】約500ml
スパイログラム
予備吸気量
(IRV)
【概念】安静吸気位と最大吸気位との差
予備呼気量
(ERV)
【概念】安静呼気位と最大呼気位との差
深吸気量
(IC)
【概念】予備吸気量+1回換気量
残気量
(RV)
【概念】最大呼出時になお肺内に残っているガスの量
【正常】全肺気量の約30%
【異常】残気量(残気率)↑…閉塞性障害加齢
機能的残気量
(FRC)
【概念】残気量+予備呼気量
【正常】全肺気量の約50%
【変化】肥満により減少
肺活量
(VC)
【概念】予備吸気量+1回換気量+予備呼気量
【正常】性別・年齢・身長などに規定される予測値との比である%VC≧80%
【異常】%VC<80%(=拘束性障害)…間質性肺炎、胸腔内病変(胸水貯留、気胸etc.)、横隔膜の運動制限(横隔膜ヘルニア、妊娠、腹水貯留、横隔神経麻痺、重症筋無力症、多発性筋炎etc.)
全肺気量
(TLC)
【概念】最大吸気位における肺内ガス量(=肺活量+残気量)
努力性肺活量
【概念】思い切り吸った空気をできるだけ短時間で吐き出した時の肺活量
【正常】肺活量に等しい
【異常】努力性肺活量<肺活量…閉塞性障害
1秒量
(FEV1.0
【概念】努力性肺活量の測定において、呼出開始の1秒間に吐き出すことのできた肺気量
【正常】努力性肺活量で割った値である1秒率(FEV1.0%)≧70%
【異常】FEV1.0%<70%(=閉塞性障害)…吸い込んだ空気をスムーズに呼出できないための換気障害(気管支喘息COPD etc.)
解剖学的死腔
【概念】鼻腔・口腔から終末細気管支までの気道
【正常】約150ml(年齢・性別・体格などによって多少異なり、体重あたり約2mlとされる)
【変化】減少させる因子…肺切除、気管切開、気道の閉塞、仰臥位、低換気etc.
増加させる因子…加齢、肺気腫、心拍出量↑、アトロピン投与後、体幹が大きい
生理学的死腔
【概念】ガス交換に与らなかった無駄な換気量
【正常】解剖学的死腔に等しい
【異常】生理学的死腔>解剖学的死腔(肺胞死腔≠ゼロ)…換気血流不均衡
フローボリューム
曲線
フローボリューム曲線
B)閉塞性障害
   V50
   V25
C)拘束性障害
   Vmax
D)中枢気道狭窄
   プラトー形成
静肺
コンプライアンス
(Cst)
【概念】弾性の逆数で、肺の膨らみやすさ(伸展性)を表す
【正常】約0.2l/cmH2O
【異常】Cst↑…肺が膨らみやすい状態(肺気腫加齢etc.)
Cst↓…肺が膨らみにくい状態(肺線維症肺水腫etc.)

ガスの分布
 概念異常
クロージングボリューム
(CV)
努力性呼出を行った際に、N2濃度を測定すると、第T相〜第W相からなる曲線が得られる。この曲線の第V相から第W相に移行する変曲点から最大呼気位までの肺気量のことをCVといい、肺上部肺胞のガスの呼出を表す
CV↑…閉塞性障害喫煙加齢
※1秒率よりはるかに鋭敏で、早期の閉塞性障害の診断に有用
クロージングキャパシティー
(CC)
CV+残気量(RV)

肺におけるガス交換
 概念正常値異常
拡散能
(DL)
一般にCOを用いて測定する約25ml/分/mmHgDL↓…肺胞(AC)毛細血管ブロック症候群間質性肺炎etc.)、加齢
※DL↓は、低O2血症をきたすが、原則として高CO2血症にはならない
肺胞換気血流比
・   ・
(VA/Q)
肺胞換気量と毛細血管血流量の比1
VA/Q<1⇒PAO2↓、PACO2↑をきたす
VA/Q>1⇒PAO2↑、PACO2↓をきたす
肺胞動脈分圧較差
(A-aDO2
肺胞気と動脈血のO2分圧較差5mmHgA-aDO2↑…拡散能の障害(ACブロック症候群etc.)、肺胞換気血流比不均等(肺気腫、肺水腫、無気肺、肺塞栓etc.)、右→左シャント
呼吸音の聴診
 成因音の特徴病態
正常呼吸音肺胞呼吸音気体が呼吸細気管支から肺胞管・肺胞嚢に進む際の、急激なスペースの広がりによる乱気流吸気時に末梢気道で聴取される。低い音
減弱
無気肺肺気腫胸水貯留etc.
気管支呼吸音気管・気管支などの太い中枢気道での空気の振動中枢気道に近い胸壁付近で呼気時によく聴取される。高調で粗い大きな音
増強
浸潤性病変、胸膜癒着etc.
呼気延長
COPDなどによる気道狭窄



連続性ラ音
(乾性ラ音)
喘鳴wheeze狭窄した気道(比較的末梢)を空気が通過する際に発生高音の笛声音。主に呼気に聴取される気管支喘息DPB etc.
stridor狭窄した気道(比較的中枢)を空気が通過する際に発生やや低音の笛声音。主に吸気に聴取される気道狭窄(腫瘍、炎症)、声帯の浮腫・腫脹、喉頭癌etc.
rhonchus狭窄した気道(比較的中枢)を空気が通過する際に発生低音のいびき音。主に呼気に聴取される肺癌気管支炎、気道異物、一部の気管支喘息etc.
断続性ラ音
(湿性ラ音,
crackle)
coarse crackle分泌液が存在する気道を空気が通過する際に発生ボコボコと聴こえる水泡音。吸気・呼気両相で聴取される気管支炎結核気管支拡張症肺水腫etc.
fine crackle
(ベルクロラ音)
呼気に閉鎖した末梢気道が、吸気に際して急激に開放する際に発生チリチリと聴こえる捻髪音間質性肺炎
胸膜摩擦音線維素の析出によりザラザラになった胸膜が擦れあうために発生握雪音、靴底の軋む音。非常に耳に近く聴こえる胸膜炎の寛解期
呼吸困難の重症度分類(Hugh-Jones分類)
T度一応人並みの生活を送れる
U度人並みに歩けるが、階段の上り下りは辛い
V度人並みには歩けないが、自分のペースなら1kmくらい歩ける
W度休み休みでないと50m以上歩けない
X度喋るにも息切れする
胸水 pleural effusion
鑑別
滲出液と漏出液の鑑別
 細胞成分線維素蛋白量Rivalta反応LDH比重原因
滲出液濁る多い多い3g/dl以上(+)高値1.018以上毛細血管の透過性↑(悪性腫瘍、RA、細菌性肺炎、結核、膿胸etc.)
漏出液透明少ない少ない3g/dl以下(−)低値1.015以下静水圧と膠質浸透圧のバランスの崩れ(うっ血性心不全、肺塞栓、ネフローゼ症候群、肝硬変etc.)
その他の特徴的所見…LDH↑(癌性胸膜炎)、糖↓(RA、結核性胸膜炎、癌性胸膜炎、膿胸)、ヒアルロン酸↑(胸膜中皮腫)、アミラーゼ↑(膵性)、ADA↑(結核性胸膜炎)、リンパ球↑↑(結核性胸膜炎、癌性胸膜炎)etc.
他覚的
所見
視診⇒患側胸郭の拡大、呼吸運動の減少
打診⇒濁音界(Ellis-Damoiseau曲線とよばれる)の上昇、Skoda鼓音帯(Ellis-Damoiseau曲線直上は鼓音を呈する)
その他、Garlandの三角(Ellis-Damoiseau曲線と脊柱の間に肺が圧縮されるために生じる半濁音界)、Grocco-Rauchfussの三角(脊柱を越えて健側に縦隔が移動するために生じる濁音界)も認められる
聴診⇒肺胞呼吸音の減弱、やぎ音(Skoda鼓音帯の部位で「イー」と繰り返し発声させると、山羊が啼いているように聴こえる)
触診⇒声音振盪の減弱
呼吸不全 respiratory failure
 PaO2PaCO2その他の検査所見原因治療
T型60mmHg
以下
45mmHg
以下
A-aDO2
PaCO2
呼吸性アルカローシス
拡散能の障害(間質性肺炎などのACブロック症候群)
・   ・
VA/Qの不均等分布(肺気腫肺水腫重篤な肺炎無気肺肺塞栓etc.)
右→左シャント
基礎疾患のコントロール+酸素投与
U型45mmHg
を超える
A-aDO2呼吸中枢の抑制(脳血管障害、睡眠薬等の過剰投与etc.)
神経筋疾患(横隔神経麻痺、Guillain-Barre´症候群、筋ジストロフィーetc.)
基礎疾患のコントロール+酸素投与(CO2ナルコーシスに注意
A-aDO2閉塞性障害(肺気腫慢性気管支炎びまん性汎細気管支炎、気管支喘息etc.)
   ※PaO2…基準値は80〜100mmHg。60歳以上90歳以下では、1年ごとに1mmHgずつ差し引く値となる
呼吸器疾患の徴候
Biot呼吸深さが不定の呼吸と無呼吸を交互に不規則に反復する。特に橋の障害時に出現し、予後不良の徴候とされる
Cheyne-Stokes呼吸呼吸のパターンで深さが徐々に増して最大となり、ついで減少して無呼吸(5〜30秒間)となるという規則的な周期性呼吸で、交代性無呼吸ともよばれる。原因疾患としては、中枢神経疾患(特に脳幹より上部)、うっ血性心不全尿毒症などがあるが、睡眠中の健常人(特に老人)などでもみられる
Kussmaul呼吸深くて大きな呼吸。糖尿病や尿毒症などの代謝性アシドーシスに際して出現し、これを呼吸性に代償するための呼吸と考えられている
奇異呼吸胸壁動揺に伴ってみられる呼吸。折部胸壁が吸気時に陥没し、呼気時に突出するというもの
起坐呼吸仰臥位になると呼吸困難の強まる患者が上半身を起こして行う呼吸のこと。左心不全でみられる
口すぼめ呼吸慢性閉塞性肺疾患患者にみられる呼吸法
失調呼吸延髄呼吸中枢障害によって起こる不規則な呼吸。Cheyne-Stokes呼吸がより重症化したもので、救命は困難とされる
術後肺合併症
術直後⇒無気肺、嚥下性肺炎etc.
数日後⇒肺化膿症、肺水腫、乳糜胸etc.
1週間頃⇒気管支瘻、膿胸etc.
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