肺・気管支の形態異常
気管支拡張症
bronchiectasis
【概念】気管支が不可逆的に拡張した病態(主に太めの中枢気道に器質的病変が認められる)
【分類】
先天性気管支拡張症
疫学…きわめてまれ
疾患…Williams-Campbell症候群(先天的な気管支軟骨の形成不全)etc.
後天性気管支拡張症
原因…重篤な呼吸器感染症(百日咳、結核、麻疹etc.)の後遺症、原発性線毛機能不全症(ダイニンの機能異常が原因。Kartagener症候群の場合には、慢性副鼻腔炎、内臓逆位症を合併)
【症状】
自覚症状…無症状のdry typeと症状を呈するwet type。症状としては、湿性咳嗽(起床時に著明)が主症状で、血痰をしばしば伴う
合併症…気道感染症、慢性副鼻腔炎etc.
他覚的所見…ばち状指、聴診にて粗い水泡音
【検査】胸部Xp⇒異常なし
胸部CT⇒輪状陰影、線路状陰影(←気管支壁の肥厚による)
呼吸生理⇒多くの場合は正常範囲。中等度以上の症例では、閉塞性障害(時に混合性換気障害)
【治療】気道クリーニング法…背部叩打、体位ドレナージ、薬物療法(去痰薬、気管支拡張薬)etc.
気道感染に対する治療…抗生物質の投与。予防的にエリスロマイシン少量持続投与も行われる
肺出血をきたす重症例に対する治療…病巣部の肺切除、気管支動脈塞栓術


















気腫性嚢胞
emphysematous
bullae and blels
【分類】
 概念疫学・原因好発部位数・大きさ
ブラ肺胞壁が破壊されて、肺胞が融合した結果生じた含気空間肺の発育過程における軽微な肺損傷が原因と考えられている肺尖・上葉しばしば巨大化
しばしば多発
ニューマ
トセル
肺胞が融合した結果生じた含気空間。肺胞壁の破壊は伴わない乳幼児に多い。肺炎(特に黄色ブドウ球菌肺炎)などの回復過程でしばしばみられる。自然消失傾向がある肺の中心部しばしば巨大化
ブレブ胸膜弾力板と限界弾力板の間に生じた含気空間多くはブラの進展肺尖・上葉 
【症状】
原則として無症状。多発した場合や巨大化した場合には労作時呼吸困難を呈し、それが慢性化した場合にはばち状指やチアノーゼがみられることもある
合併症…気胸(ブレブの場合
【検査】
胸部Xp⇒肺紋理の抜けた含気領域。境界線は明瞭で、しばしば毛髪状の線状陰影が認められ、外側に向かって凸状を呈する。巨大ブラではvanishing lungが認められる
胸部CT⇒肺内の異常スペース
【治療】基本的に経過観察。圧迫症状を伴う巨大ブラや気胸を反復するブレブに対しては外科的切除術や縫縮術を行う
ブラの胸部Xp         ニューマトセルの胸部Xp
気管支性肺嚢胞
bronchogenic
cysts
【概念】胎児期の気管支の発生過程で生じた先天性異常によって、肺内や縦隔内に嚢胞が形成された疾患
【疫学】好発部位…気管分岐部直下の右側、気管の右側(主に後縦隔)気管支性肺嚢胞の胸部造影CT(造影されない後縦隔腫瘍)
【病態】嚢胞内は気管支上皮細胞で覆われるが、多くの場合には気管支との交通はなく、嚢胞内に液体成分の貯留が認められる
【症状】原則的に無症状。巨大に成長した場合には呼吸困難、嚢胞内で感染が生じた場合には膿胸をきたす
【検査】胸部造影CT(⇒造影効果(−)。神経原性腫瘍との大きな鑑別点)
【治療】無症状でも摘出(膿胸を起こすと、重篤になるため)
肺分画症
pulmonary
sequestration
【概念】胎児期に、肺・大血管の発生過程で何らかの異常が起こった結果、異常な肺組織塊(分画肺)が生じた疾患
【分類】
 概念頻度好発部位動脈支配静脈支配発見時期症状
肺葉内
肺分画症
正常肺とともに肺胸膜に包まれた肺分画症85%左肺下葉下行大動脈
(主に胸部)
肺静脈小児期〜
成人期
気道感染を反復
肺葉外
肺分画症
正常肺とは異なる固有の胸膜に包まれた肺分画症15%左下胸腔下行大動脈
(胸部・腹部)
奇静脈、門脈、
下大静脈etc.
新生児期横隔膜ヘルニアなどの奇形を高率に合併
【検査】胸部Xp⇒境界明瞭な腫瘤状陰影
大動脈造影⇒分画肺に流入する異常血管(⇒確定診断)
【治療】無症状であっても、原則として外科的摘出術
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