下垂体後葉ホルモンとその異常症
下垂体後葉ホルモン
 作用分泌促進因子分泌抑制因子
抗利尿ホルモン(ADH)
=バソプレシン
血管収縮作用
血管平滑筋に存在するV1a受容体による
ACTH分泌促進作用
下垂体前葉に存在するV1b受容体による
抗利尿作用
腎集合管細胞に存在するV2受容体による。尿浸透圧を上昇させ、血漿浸透圧を低下させる
血漿浸透圧↑
循環血漿量↓
喫煙
ストレス
クロルプロパミド(SU薬)
ビンクリスチン
クロフィブレート
カルバマゼピン
血漿浸透圧↓
循環血漿量↑
アルコール
フェニトイン
コルチゾール
高Ca血症
オキシトシン子宮収縮作用乳管から乳頭への射乳作用  

下垂体後葉ホルモンの異常症
尿崩症
diabetes insipidus
(DI)
【概念】ADHの不足⇒多尿
【分類】
続発性尿崩症…全体の約60%を占める。視床下部or下垂体後葉に生じた器質的疾患(脳腫瘍(胚細胞腫瘍、頭蓋咽頭腫etc.)、肉芽腫性病変(Hand-Schu¨ller-Christian病、サルコイドーシスetc.)、脳血管障害、脳炎、白血病、外傷etc.)に続発したもの
遺伝性尿崩症…AD遺伝のきわめてまれな疾患
特発性尿崩症…全体の約40%。原因不明
【症状】多尿(夜間尿も多い)、口渇、多飲(冷水嗜好)、皮膚乾燥が主要症状。ただし、ACTH分泌不全合併時には多尿が目立たなくなる(仮面尿崩症)。また、病変が渇中枢に及んだ場合には、水分摂取不足から極度の細胞内脱水をきたし、意識障害を呈することもある
【検査】血漿浸透圧と血漿ADH値…浸透圧・Na→〜↑(←多飲のため↑↑とはならない)、ADH↓↓
負荷試験…水制限試験高張食塩水負荷試験にてUosm<Posm、バソプレシン負荷試験にてUosm>Posm
画像診断…MRIのT1強調にて高信号域の減少            ※Uosm=尿浸透圧、Posm=血漿浸透圧
【鑑別】心因性多飲症…多飲のために多尿をきたすため、夜間の尿意はあまり目立たない
腎性尿崩症…ADH分泌↑↑、バソプレシン負荷試験で鑑別
浸透圧利尿…糖尿病、慢性腎不全などでみられる。血液・尿検査所見から鑑別は容易
【治療】デスモプレシン(DDAVP)の点鼻(ただし、水中毒の恐れがあるので、体重の増加には注意が必要)
   ※デスモプレシンは心因性多飲症には禁忌
腎性尿崩症
nephrogenic DI
【分類】遺伝性腎性尿崩症…腎集合管のV2受容体orそれ以降のシグナル伝達の異常
後天性腎性尿崩症…高Ca血症低K血症高Li血症などに起因。ADHの働きが悪くなる
【症状】(中枢性)尿崩症と同じく、多尿、口渇、多飲が主症状となるが、遺伝性腎性尿崩症の場合、発症は新生児期〜乳児期で、容易に高張性脱水に陥り、発熱、嘔吐、痙攣、意識障害などをきたす
【検査】血漿浸透圧と血漿ADH値…浸透圧・Na→〜↑↑、ADH↑↑
負荷試験…水制限試験高張食塩水負荷試験バソプレシン負荷試験にてUosm<Posm
【治療】十分な水分摂取による脱水の防止、サイアザイド系利尿薬の投与、食塩制限
ADH不適合分泌症候群
sydrome of
inappropriate
secretion of ADH
(SIADH)
【概念】ADHの過剰分泌⇒水分貯留、高張尿⇒低浸透圧血症
【原因】
視床下部からのADHの異常分泌…脳腫瘍、髄膜炎、脳出血、頭部外傷、クロルプロパミドビンクリスチン、クロフィブレート、カルバマゼピン、シクロホスファミドなどによって起こる
ADHの異所性分泌…未分化の悪性腫瘍に多くみられ、特に肺小細胞癌・膵癌に多い
【症状】水中毒(=細胞内への水分貯留)による症状…易疲労感、食欲不振、脳浮腫、傾眠傾向、痙攣、意識障害、昏睡etc.
その他の症状…体重↑はみられるが、胸腹水や浮腫はみられない
【検査】一般検査…血漿浸透圧・Na↓↓、尿浸透圧↑、尿中Na排泄↑、血漿レニン活性↓、尿酸↓
負荷試験…水負荷試験にて排泄尿量≦投与量の80%、Uosm>Posm
【鑑別】腎機能障害、副腎機能低下症、甲状腺機能低下症etc.
【治療】水制限が中心。その他、薬物療法として、デメチルクロルテトラサイクリン・炭酸リチウム・フェニトインなどの投与も行われる
※高張食塩水の静注による血漿浸透圧の急激な上昇は、橋中心髄鞘溶解をきたす危険があるので、通常行われない
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送