紅斑症
   病状の経過中、主要な病変が紅斑のみで終始するもので、真皮での血管拡張が原因
多形滲出性紅斑
erythema exsudativum
multiforme
【原因】ウイルス感染(単純疱疹etc.)、マイコプラズマ感染、細菌による病巣感染(扁桃炎、虫垂炎、鼻炎、齲歯)、薬剤が主な病因。コレラに対するアレルギー反応による
【疫学】春夏に多くみられ、女性にやや多い
【症状】前駆症状…全くない場合もあれば、感冒様症状がみられる場合もある
皮疹…四肢伸側に、左右対称性に水っぽい感じの虹彩状紅斑が多発(顔や躯幹に生じる場合はまれ)。新旧の皮疹が混在
【検査】炎症所見(ESR↑、CRP↑、WBC↑、γ-グロブリン↑etc.)、(先行感染がある場合には)抗体価↑or ASO値↑etc.
【診断】水疱性類天疱瘡、Sweet病との鑑別が必要
【治療】原疾患の治療が重要。軽症例では無治療でも2〜3週間で自然治癒するが、重症例ではステロイド全身投与なども行われる
粘膜・皮膚・眼症候群
(Stevens-Johnson症候群)
mucocutaneous ocular
syndrome
【概念】多形滲出性紅斑の重症型
【原因】原因は多彩で、薬剤やウイルス感染などを基盤にして起こる一種のアレルギー反応と考えられる。約半数は薬剤が原因と考えられ、時に非常に重篤な中毒性表皮壊死症(TEN)に移行することがあるので、注意深い経過観察が必要
【症状】全身症状…高熱、関節痛etc.
皮疹…全身に紅斑を伴う表皮下水疱が出現し、多くはびらんとなる。びらんは眼・口腔・外陰部の粘膜部で著明
【検査】ESR↑、CRP↑、WBC↑、肝機能異常、腎機能異常etc.
【診断】尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、TENとの鑑別が必要
【治療】ステロイドの全身投与、(二重感染予防のために)抗生剤の経口投与、(全身状態悪化時には)輸液etc.
【予後】死亡率は約10%
結節性紅斑
erythema nodosum
【概念】いろいろな要因により生じる皮下の脂肪組織の反応性炎症結節性紅斑
【原因】感染症(溶連菌感染が最多、他には真菌感染、ウイルス感染)、Behcet病、潰瘍性大腸炎、Crohn病、サルコイドーシス、RA、リウマチ熱、薬剤性(サルファ剤、経口避妊薬)、CMLの初期etc.
【症状】前駆症状…発熱、倦怠感、関節痛etc.
皮疹…下腿伸側などに、急激に左右対称性にえんどう豆大〜鳩卵大の熱感を伴う皮下結節〜硬結が生じる。圧痛・自発痛はあるが、掻痒感はなく、潰瘍化もしない
【検査】CRP↑、ESR↑、病理にて皮下脂肪組織へのリンパ球を主体とする炎症細胞浸潤
【治療】原疾患の治療+対症療法(安静、下肢挙上、NSAID内服、ヨードカリ内服etc.)
【予後】治療により、多くの場合は3〜6週間で皮疹は消退。ただし、Behcet病では再発性
バザン硬結性紅斑
Bazin erythema
induratum
【原因】・結核性…結核菌に対する強いアレルギー反応と局所の循環不全が重要な発症因子
・非結核性…他の微生物に対するアレルギー、循環不全、静脈血栓が誘因
【疫学】結核性では若年〜中年女性に好発。非結核性では中年女性に好発Bazin硬結性紅斑
【症状】皮疹…左右対称性、下腿の下1/3に暗紫色の皮膚硬結。慢性に経過する。結核性では痛みはほとんどなく、やがて自潰して潰瘍を形成するが、非結核性では自発痛・圧痛があり、自潰しない
その他の症状…患肢の循環不全徴候
【検査】結核性では病理にて結核性肉芽腫所見、ツ反(++)etc.
【治療】結核性では抗結核薬投与、非結核性ではステロイドやNSAID投与。その他、下肢の挙上、安静も必要
【予後】多くは予後不良で長引く
Sweet病
(急性好中球性皮膚症)
【概念】発熱、末梢血好中球増多、好中球浸潤性紅斑を3主徴とする疾患。内臓悪性腫瘍白血病、骨髄異形成症候群のデルマドロームとしてみられることがある
【症状】前駆症状…上気道感染が先行することがある
皮疹…浮腫性で扁平に隆起する紅斑が顔面・四肢に多発。時に水疱、膿疱、疼痛を伴う
全身症状…発熱、関節痛etc.
【検査】WBC↑(特に好中球)、ESR↑、CRP↑、病理にて真皮全層に著明な多核白血球浸潤
【診断】Behcet病、多形滲出性紅斑との鑑別が必要
【治療】安静、薬物治療(NSAID、ステロイド、コルヒチン、ヨードカリetc.)
Behcet病
【概念】成年男性に好発する全身性炎症性疾患
【原因】好中球の異常活性化が基礎にあり、発症にHLA-B51が関与していると考えられている
【症状】・主症状…口腔内アフタ(初発症状としてほぼ必発)、外陰部潰瘍(陽性率約80%、強い疼痛を伴う)、結節性紅斑(陽性率約80%)、無菌性のざ瘡・毛包炎、血栓性静脈炎(陽性率約30%、有痛性の皮下索状硬結として触知される)、眼症状(虹彩炎、ぶどう膜炎、前房蓄膿)
・副症状…神経症状(中枢神経の多発性炎症病変)、胃腸症状(回盲部の多発性潰瘍etc.)、血管症状(大血管の閉塞性病変)
【検査】CRP↑、ESR↑、針反応(+)
【治療】基本方針は視力低下の可能な限りの抑制。(結節性紅斑・血栓性静脈炎に対して)抗凝固薬の内服、(口腔内アフタに対して)口内炎治療薬の塗布、(陰部潰瘍に対して)ステロイド・抗生物質含有外用薬の塗布
環状紅斑
annular erythema
【概念】円形の紅斑を主症状とする疾患群
【疾患】
遠心性環状紅斑
紅斑性膨疹が遠心性に拡大していき、それに伴って中央部が褪色し環状を示すようになる紅斑。頻度はまれ。再発をくり返す場合は、内臓悪性腫瘍のデルマドロームのことがあり、検索が必要
リウマチ性環状紅斑
リウマチ熱診断基準の主症状。不規則な円形を示す紅斑であるが、2〜3日で褪色
Sjo¨gren症候群
顔面に環状紅斑がみられる
慢性遊走性紅斑
ライム病の第1期症状の1つ
匍行性迂回状紅斑
波紋状・木目状・渦巻状・唐草模様状などと表現される特異な紅斑が体幹・四肢に出現し、これが移動したり形を変えたりする。内臓悪性腫瘍のデルマドロームとして現れる
壊死性遊走性紅斑
【原因】グルカゴノーマ、消化管手術後などの吸収不良症候群によって起こるアミノ酸欠乏が原因と考えられる
【症状】皮疹…刺激の加わりやすい部位(会陰部、殿部、口囲、四肢etc.)に、環状・地図状の紅斑の形で初発し、水疱・びらんを伴い、色素沈着を残して消える(中心治癒傾向があり、亜鉛欠乏症候群の皮疹に似ている)。このような皮疹が1〜2週間の経過で出没をくり返す
【治療】原疾患の治療、欠乏している栄養素の補給
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