疾患 | 禁忌となる主な薬剤・麻酔法 |
気管支喘息 | バルビツレート…副交感神経刺激作用を有する モルヒネ…平滑筋収縮作用、ヒスタミン遊離作用を有する フェンタニールをはじめとする麻薬…気管支平滑筋の収縮を起こす クラーレ…ヒスタミン遊離作用を有する プロプラノロール(β-blocker)…平滑筋収縮作用を有する ネオスチグミン(抗ChE薬)…ムスカリン作用を有する |
糖尿病 | エーテル…血糖↑、代謝性アシドーシスを惹起 |
ポルフィリン症 | バルビツレート…急性神経症状の発作を誘発するため、絶対禁忌 |
熱傷 | スキサメトニウム(SCC)…高K血症を惹起 ※熱傷以外でも血清K↑を伴う病態(急性期の脳出血後、脊髄損傷後、尿毒症etc.)では高K血症に注意が必要 |
甲状腺機能亢進症 | 禁忌ではないが、麻酔薬全般がリスクとなる(心房細動を惹起) 特にハロタン、エーテルは避けるべき |
重症腎機能不全 | セボフルラン |
肝機能障害 | ハロタン…肝毒性あり ニューロレプト麻酔(NLA)…肝代謝性 スキサメトニウム(SCC)…通常ChEで分解されるが、それが遅延するため、遷延性無呼吸をきたす |
WPW症候群 | アトロピン(ベラドンナアルカロイド)…頻脈を来し不整脈から心停止を来すことがある |
てんかん | ケタミン…大脳辺縁系を賦活化し、痙攣を誘発 エンフルラン…特に深麻酔や過呼吸時に痙攣が誘発される 脊椎麻酔、硬膜外麻酔…発作を誘発 |
異型ChE血症 | スキサメトニウム(SCC)…SCCの分解が遅れるため筋弛緩が続き、遷延性無呼吸をきたす |
頭蓋内圧亢進症 | ケタミン…ケタミンに頭蓋内圧亢進作用があるため 脊椎麻酔…穿刺により脊柱管内の圧が下がり、脳ヘルニアを起こす |
出血傾向、DIC | 脊椎麻酔、硬膜外麻酔…穿刺により脊柱管内に血腫を作り、神経を圧迫して神経麻痺をきたす |
敗血症 | 脊椎麻酔、硬膜外麻酔…穿刺により中枢神経系の感染を起こす |
穿刺部位の感染 | |
重症筋無力症 | 非脱分極性筋弛緩薬…禁忌ではないが、感受性が亢進しているため、十分な注意が必要 |
種類 | 具体的薬剤名 | 作用 | 欠点 | |
抗コリン作動薬 (ベラドンナ薬) | アトロピン | 唾液・気道内分泌抑制や副交感神経反射の予防に効果的。抗コリン作用は強力で、前投薬の中では最も広く用いられる | 心拍数↑、発汗抑制、体温上昇がスコポラミンに比べて強い | |
スコポラミン | 唾液・気道内分泌抑制や副交感神経反射の予防に効果的。抗コリン作用はアトロピンよりも穏やかで、心拍数増加作用がないため心疾患患者などではアトロピンより好まれる。鎮静作用が強く、小児の鎮静に適する | 瞳孔散大作用が強く、緑内障には不適切。鎮静作用が強く、老人に使用すると一時的なせん妄状態を呈することがある | ||
バルビツレート (主に短時間作用型) | ペントバルビタール セコバルビタール | 鎮静作用に優れる | 鎮痛作用はない。副交感神経系の緊張を高める。呼吸・循環系を抑制する | |
麻薬 | モルヒネ | 催眠・鎮静・鎮痛(多幸)作用に優れる。消化管運動↓、気管収縮作用、瞳孔収縮作用(pin point pupil)、呼吸抑制などがあるが、心筋に対する影響は少ない | 呼吸抑制のためCO2↑を介して脳血流↑、脳圧↑、血糖値↑を引き起こすため、脳外科の手術ではあまり用いられない | |
メペリジン | 催眠・鎮静・鎮痛(多幸)作用がある。モルヒネと異なり、気管支拡張作用、瞳孔散大作用などを有する | 心筋収縮力抑制作用がある | ||
拮抗性鎮痛薬 | ペンタゾシン | 麻薬拮抗薬と似た構造をもち、麻薬と併用すると拮抗薬として作用する。天井効果があり、きわめて強い疼痛には不適 | 血圧↑、心拍数↑を来すため、虚血性心疾患には禁忌 | |
メジャー・ トランキ ライザー | ブチロ フェノン系 | ドロペリドール ハロペリドール | 交感神経節遮断作用、鎮静作用、抗ヒスタミン作用、強い制吐作用、ミネラリゼーション作用を有する | 抗ドパミン作用があり、Parkinson病には禁忌 |
フェノ チアジン系 | プロメタジン クロルプロマジン | 抗ヒスタミン薬で、交感神経節遮断作用、軽い鎮静作用、抗ヒスタミン作用、強い制吐作用、強力な抗コリン作用を有する。ただし、抗コリン作用が強すぎるため、緑内障や前立腺肥大症には禁忌 | その他、術後覚醒遅延、循環抑制などもみられ、現在ではあまり用いられていない | |
マイナー・ トランキ ライザー | ベンゾジ アゼピン系 | ジアゼパム | 鎮静作用を有する他、抗不安作用があり、吸入麻酔薬のMACを低下させる。強い抗痙攣作用があり、痙攣の治療薬としても重要。特異的拮抗薬にフルマゼニル | 肝代謝性。胎盤を容易に通過する。重症筋無力症、急性狭隅角緑内障には禁忌 |
ミタゾラム | 鎮静・抗不安作用を有する。水溶性薬剤で、静注に際して血管痛がない。半減期が短く、主にday surgeryに用いられる | 呼吸抑制作用がある。また、重症筋無力症、急性狭隅角緑内障には禁忌 | ||
ジフェニー ルメタン系 | ヒドロキシジン | 抗ヒスタミン薬で、抗ヒスタミン作用、制吐作用、気管支拡張作用、麻酔の鎮痛効果の増強作用などを有する | ||
H2-blocker | シメチジン ラニチジン ファモチジン | 胃酸分泌を抑制し、胃酸の酸度を低下することにより、化学性肺炎(Mendelson症候群)の発症を予防する | シメチジンは、中枢神経症状(昏迷、不隠、幻覚など)を起こすことがある他、肝での薬物代謝を遅延させる(他の2剤ではあまりみられない) |
種類 | 具体的薬剤名 | 薬理作用 | 特徴 | 注意点 | 適応・禁忌 |
バルビツレート (主に超短時間作用型) | チオペンタール チアミラール | 呼吸抑制、循環抑制(⇒血圧↓)、疼痛閾値の低下(⇒痛みの増強)、副交感神経刺激作用(⇒しゃっくり、喉頭痙攣、気管支痙攣など)、頻脈、(入眠量投与では)脳の保護作用、抗痙攣作用 | 分解・排泄はきわめて遅いが、中枢神経から他組織(筋肉、脂肪)への移行が速いため、作用時間は10分前後。また、胎盤通過性がある | あくまで催眠・鎮静薬で、鎮痛作用、筋弛緩作用はない。作用を増強する因子として、低蛋白血症、ショック状態、肝障害、アシドーシスなどがある | 【禁忌】ショック患者、気管支喘息、呼吸困難を伴う心不全(血圧↓)、ポルフィリン症、筋緊張性ジストロフィー(バルビツレート過敏症で強い呼吸抑制)、収縮性心膜炎 |
バルビツレート 以外 | ケタミン | 強力な鎮痛作用を有する(特に体性痛に対して)、交感神経刺激作用(気管支拡張、血圧↑、心拍数↑など)、弱い呼吸抑制作用、筋緊張の保持 | 解離性麻酔薬(新皮質・視床を抑制して、辺縁系・網様体賦活系を活性化)。経静脈的にも筋注にも両方用いることができる | 強力な鎮痛薬であって、鎮静作用、筋弛緩作用はない。欠点として、唾液分泌↑、覚醒時の不快感(悪夢など)、頭蓋内圧亢進(⇒痙攣発作を助長することも)など | 【適応】バルビツレート禁忌の患者(pre-shock状態、気管支喘息、心不全など)にも使用することができる。また、小児の導入にも有効 |
プロポフォール | 鎮静作用、脳圧・眼圧の降下作用、呼吸抑制作用、血管拡張作用、心拍数↓による血圧↓、少ない咽頭刺激作用 | 脂溶性でBBBへの移行がよく、導入がきわめて速い。また、速やかに肝代謝・腎排泄されるため、覚醒もきわめて速い | 鎮静作用はあるが、鎮痛作用はない。蓄積性が低いため、麻酔の維持にも使用することができ、全静脈麻酔が可能となった | 【禁忌】アレルギー(大豆・卵・プロポフォール)、妊産婦(←胎盤通過性が良好)、授乳中の患者(←乳汁移行が良好) | |
ベンゾ ジアゼピン | ジアゼパム フルニトラゼパム ミダゾラム | 鎮静作用、催眠作用、呼吸・循環器系への少ない負の作用 | 急性局所麻酔中毒の痙攣の第1選択。胎盤通過性が良好 | 基本的には鎮静・催眠薬で、健忘作用は強いが、鎮痛作用はない | 【禁忌】急性狭隅角緑内障、重症筋無力症、ショック患者、帝王切開 |
ニューロレプト 麻酔(NLA) 原法 | ドロペリドール | 強い鎮静・制吐作用、ミネラリゼーション(無関心)、αアドレナリン遮断効果(末梢血管拡張、血圧↓、抗不整脈作用)、軽い呼吸抑制、錐体外路症状(作用時間が7〜12時間) | 覚醒が速い。循環動態が安定しているため、高齢者やpoor riskの患者にも使える。肝・腎への影響が少ない。術後、悪心・嘔吐が少ない。術後、人工呼吸をする時によく耐えられる。フェンタニールは作用時間が短い。フェンタニールの拮抗薬にレバロルファン、ナロキソンがある | 神経遮断薬(neuroleptic)として用いられるメジャー・トランキライザー。ハロペリドールに比べて、副作用が軽く、鎮静・制吐作用が強力である | 【適応】主にpoor risk患者(特に重症心疾患患者に好まれる) 【禁忌】Parkinson病、小児、重症肝障害、麻薬中毒、気管支喘息、産科麻酔 |
フェンタニール | 強力な鎮痛作用、鉛管様硬直(腹部硬直)、副交感神経刺激作用(喘息発作を来す恐れがある)、強い呼吸抑制 | 鎮痛薬(analgesic)として用いられる非アルカロイド系麻薬。効力はモルヒネの約100倍だが、モルヒネと違い多幸作用はない。ヒスタミン遊離作用はなく、低血圧にはなりにくい |
薬剤名 | 特徴 | 使用法 | 作用増強の条件 | 拮抗薬 | 副作用 | |
脱 分 極 性 | スキサ メトニウム (SCC) | 線維束攣縮 作用発現が速い 血漿中の偽ChEにより分解 2相性作用 ヒスタミン遊離(−) | 切れが鋭いため挿管には適するが、大量投与時にはphaseUブロックを起こすため、麻酔の維持には不適。使用頻度は減少傾向 | 低体温 アルカローシス 抗ChE薬の使用 異型偽ChE 高K血症 エステル型局所 麻酔薬との併用 乳幼児 | 通常使用量では拮抗薬はないが、大量使用時にはネオスチグミンなどで拮抗される | 眼圧上昇 胃内圧上昇 高K血症 筋強直症 悪性高熱症 術後の筋痛 不整脈 |
非 脱 分 極 性 | d-ツボ クラリン | 蓄積作用 各種吸入麻酔薬との共同作用 交感神経節遮断作用 respiratory sparing effect ヒスタミン遊離(+) | 副作用が多いため、麻酔科医のトレーニング以外では使用されない | 高体温 アシドーシス 低K血症 抗生剤との併用 吸入麻酔薬との併用 低γ-globulin血症 乳幼児(特に新生児) | 抗ChE薬のエドロホニウム、ネオスチグミンなどが拮抗薬である。麻酔終了時のreversalとして通常用いられるのはネオスチグミンの方である(ムスカリン作用が発揮されるため、必ずアトロピンを併用) | 著しい血圧↓ 気管支喘息 |
パンクロ ニウム | ステロイド核をもつ respiratory sparing effect 腎排泄性 ヒスタミン遊離(−) | ベクロニウムと並んでよく使われる | 血圧↑ 脈拍↑ 腎機能障害 | |||
ベクロ ニウム | ステロイド核をもつ 作用時間が短い 肝代謝 蓄積作用が少ない ヒスタミン遊離(−) | 現在、最も一般的で広く用いられている筋弛緩薬。挿管や肝・腎障害のない患者の2時間以内の手術に適する | 肝機能障害 血圧↑ |
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薬剤名 | MAC | B/G比 | 長所 | 短所 | 使用法 | |
ガ ス 麻 酔 薬 | 亜酸化窒素 (笑気) | 105 | 0.47 | 気化器不要 揮発性(−) 鎮痛作用は強力 気道刺激(−) 肝・腎への影響(−) | 助燃性(+) わずかに甘い臭気 筋弛緩作用(−) 呼吸抑制・循環抑制(−) 長期連用により骨髄抑制 閉鎖腔拡散 拡散性低酸素症 | キャリア・ガスとしてほとんどの症例で使用される。閉鎖腔拡散のため、イレウス、気胸、空気塞栓で禁忌(副鼻腔炎、中耳炎でも注意が必要)。拡散性低酸素症防止のため、亜酸化窒素終了後5〜10分間は、純酸素の投与が必要。鎮痛作用が強いため、無痛分娩、歯科麻酔への応用も行われている |
揮 発 性 麻 酔 薬 | エーテル | 1.92 | 15.2 | 鎮痛作用が強力 気管支拡張(+) 筋弛緩作用(+++) | 空気・熱・光に不安定 爆発性(+) 気道刺激性(++) 交感神経刺激(血圧・血糖↑) | 爆発性のために、現在はほとんど使用されない |
ハロタン | 0.75 | 2.3 | 気管支拡張(+) 呼吸抑制(++) 循環抑制(++) 脳血管拡張作用(++) 非脱分極性筋弛緩薬と共同作用 | 単独では筋弛緩作用(−) 鎮痛作用(−) 交感神経抑制(徐脈) エピネフリンとの併用で催不整脈性 子宮筋の筋弛緩作用(++) 約20%が肝代謝 副作用に肝障害、悪性高熱症 ゴムによく溶ける | 1980年代までは亜酸化窒素と並んで最もポピュラーな麻酔薬であったが、最近はあまり使用されない。催不整脈性があるため、エピネフリンとの併用禁忌 | |
エンフルラン | 1.68 | 1.9 | 筋弛緩作用(+++) 気道刺激(−) 気管支拡張(+) 鎮痛作用は強力 肝・腎障害が少ない | 副作用に痙攣 | 1980年代は最もポピュラーな麻酔薬であったが、使用頻度は減少してきている | |
イソフルラン | 1.15 | 1.41 | 筋弛緩作用(+++) 肝・腎障害が少ない 脳活動抑制作用(++) 冠動脈拡張作用(+) | 副作用に悪性高熱症 coronary steal現象 | 最近、使用頻度が増えてきている。欧米では最もポピュラーになっている。肝移植、腎移植、脳外科領域などに適する一方、小児用としては不適 | |
セボフルラン | 1.71 | 0.63 | 筋弛緩作用(++) 非脱分極性筋弛緩薬と共同作用 気道刺激(−) 気管支拡張(+) | 一部が回路中で分解される | わが国でよく使用される揮発性麻酔薬。気道刺激性が少ないため、小児用の麻酔の導入に適する | |
デスフルラン | 7.25 | 0.42 | 調節性に優れる | 室温で沸騰するため、特殊な気化器が必要 | 最も新しい揮発性麻酔薬。日本ではまだ使用されておらず、現在アメリカで使用されている |
薬剤 | 呼吸抑制 | 気道刺激 | 気管支拡張 | 循環抑制 | カテコラミン 感受性 | エピネフリン 併用 | 筋弛緩作用 | 鎮痛作用 | 肝障害 |
亜酸化窒素 | − | − | − | − | − | 可 | − | ++ | − |
エーテル | − | ++ | + | − | − | 可 | +++ | ++ | (+) |
ハロタン | ++ | − | + | ++ | + | 不可 | − | − | ± |
エンフルラン | ++ | − | + | ++ | − | 可 | +++ | ++ | − |
イソフルラン | ++ | + | + | + | − | 可 | +++ | ++ | − |
セボフルラン | ++ | − | + | ++ | − | 可 | ++ | ++ | − |
喉頭痙攣 |
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気管支痙攣 |
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悪性高熱症 |
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嚥下性肺炎 |
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しゃっくり |
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バッキング |
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高血圧 |
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低血圧 |
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不整脈 |
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具体的薬剤名 | 効力 (プロカイン=1) | 毒性 (プロカイン=1) | 発現時間 (分) | 作用時間 (時間) | 使用方法 | 特徴 | ||||
エ ス テ ル 型 | コカイン | 4 | 4 | 1 | 1 | △ | 唯一血管収縮作用をもつ。臨床の現場では使用されない | |||
プロカイン | 1 | 1 | 2〜5 | 1 | × | △ | △ | ◎ | 局所刺激作用(−)。抗不整脈薬としても使用。副作用にメトHb血症 | |
テトラカイン | 10 | 10 | 5〜10 | 1.5〜2 | △ | ○ | △ | △ | 最も強力な局所麻酔薬。しかし、毒性も強い | |
ア ミ ド 型 | ジブカイン | 15 | 15 | 10 | 2.5〜3 | ◎ | △ | △ | ||
リドカイン | 2 | 1 | 2〜3 | 〜1.5 | ◎ | △ | ◎ | ◎ | 最も汎用されている局所麻酔薬。抗不整脈薬としても使用 | |
メピバカイン | 2 | 1 | 2〜5 | 1〜2 | ○ | △ | リドカインと作用はほぼ同じ | |||
ブピバカイン | 10 | 6 | 3〜5 | 3〜5 | ○ | ○ | ○ |
脊椎麻酔 | 硬膜外麻酔 | |||||
概念 | クモ膜下腔に局所麻酔薬を1回投与 | 硬膜外腔に局所麻酔薬を注入 | ||||
ブロック | 交感神経、知覚神経、運動神経がブロックされる(相対的に副交感神経の緊張が高まる) | |||||
方法 | Jacoby線(腸骨稜を結んだ線でL4に相当)を目標に、局所麻酔薬(通常は高比重液のジブカイン)をクモ膜下腔に注入 | 全身麻酔の補助として、腹部手術のほぼ全例で、硬膜外腔へ局所麻酔薬(通常はリドカイン)を注入 | ||||
特徴 | 効果の発現が早いが、調節性はあまりない | マイルドに効き、調節性に富む。分節麻酔が可能。チューブを通して持続注入が可能。手技に熟練を要する | ||||
適応 | 虫垂炎・ヘルニア・痔核など比較的小さな下腹部以下の手術 肝・腎障害、糖尿病のある場合 full stomachの患者 意識や自発呼吸を残したい場合 高度の発熱、多量の喀痰、気道障害のある場合 | 顔面と頭部を除くすべての手術 脊椎麻酔では困難な部位(頸部・胸部・上肢etc.) 脊椎麻酔による術後合併症を避けたい場合 ペインクリニックの分野 ターミナルケアの時の疼痛管理 | ||||
禁忌 |
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合併症 | 血圧低下…高位脊椎麻酔で起こりやすい。エフェドリンのよい適応 悪心・嘔吐…低酸素症、消化管蠕動亢進が原因。O2投与など 術後の頭痛…髄液漏出による頭蓋内圧の低下が原因。最も頻度が高い。治療はまず安静 術後の尿閉…神経の障害による。比較的頻度が高いが、自然軽快する 術後の馬尾症候群…馬尾神経に異常が出現するもの。頻度はまれだが、症状は重篤 | 全脊椎麻酔(TSB)…誤ってクモ膜下腔に大量の局所麻酔薬を注入してしまった場合に起こる。すべての脊髄神経とそれより上位の中枢がブロックされてしまう。適切な処置がとられれば、予後は良好 局所麻酔薬中毒…多弁、興奮状態、交感神経系刺激症状、痙攣などの症状を呈する。薬液の量が多く、血管分布が豊富なことから、脊椎麻酔に比べて起こりやすい。局所麻酔薬を低濃度で用いると起こりにくくなる 術後の硬膜外膿瘍…持続硬膜外カテーテルに伴う感染が原因 |
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